【國學院大學陸上競技部の指導方針】対話・育成・スカウト戦略の実態

目次

前田監督の指導力を理解するうえで注目したいのが、選手との距離感です。単に練習量を増やして速い選手を育てるのではなく、選手一人ひとりの考え方やコンディションを把握し、自分で考えて行動できるチームをつくることを重視しています。

【検証資料 1】國學院大學駅伝監督の当時の様子・関連報道写真(出典:Yahoo!ニュース)

1. 選手との本音の対話を重視する

國學院大學駅伝監督

前田監督は2024年12月の「ランナーズオンライン」のインタビューで、若い選手とのコミュニケーションについて次のように語っています。

「お互いノーガードで打ち合うぐらいのイメージで話します。それが一番大事。」

これは、指導者が一方的に命令するのではなく、選手も本音を出せる関係をつくるという考え方です。

選手に信頼を寄せる一方で、発言と行動が伴っているかどうかも見極める。選手の希望を何でも受け入れるのではなく、理由を聞き、納得できる形でチームの方針を決めていく姿勢が特徴です。

また、トレーナーによる技術面の5段階評価と取り組み面の4段階評価を組み合わせ、マネージャーや学年長、主将からも情報を集める方法を取り入れています。走行タイムだけでは見えない努力も評価する仕組みです。

2. 選手のコンディションを数値で把握する

國學院大學駅伝監督

2025年1月に公開された船橋市のインタビューでは、当時60人以上の部員が在籍していたことや、体重・筋肉量などのデータを一人ひとり把握していることが紹介されています。

主力選手だけでなく、普段は目立たない部員とも時間を共有し、変化があれば声をかける。こうした日常的な管理が、故障の予防や選手の成長を支える土台になっています。

さらに、選手には毎週手書きの報告書を提出させ、集合時間も10分前を基本としています。競技成績だけではなく、社会人として必要な時間管理や責任感を身につけさせる教育的な側面もあります。

3. スカウト戦略は高校指導者との信頼関係が鍵

國學院大學駅伝監督

大学駅伝では、優秀な高校生を獲得できるかどうかが長期的なチーム力を左右します。

しかし、前田監督が就任した当初は、強豪大学に比べて知名度や人脈が十分ではありませんでした。本人も高校の指導者との関係構築に苦労したと語っています。

そこで大切にしてきたのが、入学後の選手を責任を持って育てる姿勢です。調子が良いときだけではなく、故障したときや結果が出ないときにどう支えるか。高校側から安心して選手を預けてもらえる関係を築くことが、スカウトの基盤になっています。

また、前田監督の著書『歴史を変えた挑戦 國學院大學陸上競技部で僕が実践した 非エリートで強いチームをつくる方法』では、スカウト、人材育成、一般入試組の資質、チーム組織などが取り上げられています。

この考え方の重要な点は、入学時点の実績だけで選手の将来を決めないことです。高校時代の持ちタイムが突出していなくても、大学での練習や環境によって成長する可能性を見極めています。

4. エントリーされない選手もチームの一員として育てる

箱根駅伝に出場できるのは各大学10人です。しかし、部員全員が選手として箱根路を走れるわけではありません。

前田監督は、走る選手だけでなく、補助やサポートに回る選手の役割も重視しています。自分が走れなくても、チームの勝利に貢献できることがあるという考え方です。

この方針は、大学4年間を競技成績だけで評価しないという教育観にもつながっています。卒業後の人生を見据え、組織の中で自分の役割を果たす経験を大切にしているのです。

國學院大學が強くなった理由は、エースを集めることだけではありません。主力と控え、上級生と下級生が互いに役割を理解し、チーム全体で戦える環境をつくってきたことにもあります。

【箱根駅伝・出雲駅伝・全日本大学駅伝】國學院大學の優勝歴と成績

前田監督の指導実績を測るうえで、学生三大駅伝の成績は欠かせません。

國學院大學は、箱根駅伝のシード権を獲得する段階から、出雲駅伝や全日本大学駅伝で優勝を争うチームへと成長しました。特に2019年以降は、大学駅伝の優勝候補として名前が挙がる存在になっています。

出雲駅伝は2019年に初優勝、2025年までに3度の頂点


2019年・初優勝

第31回大会
國學院大學が大学三大駅伝で初めて優勝。アンカーの土方英和選手が逆転し、2時間9分58秒でゴールしました。



2024年・5年ぶり2度目

第36回大会
2時間9分24秒で優勝。野中恒亨選手、上原琉翔選手、平林清澄選手らの走りが勝利を引き寄せました。



2025年・大会2連覇

第37回大会
2時間9分12秒で優勝。國學院大學初の出雲駅伝2連覇となり、通算3度目の優勝を達成しました。

2019年の初優勝は、國學院大學が大学駅伝の強豪として認知される大きな転換点でした。

2024年は5年ぶりの優勝、2025年は連覇と、異なる世代の選手たちが結果を残しています。特定の学年や一人のエースだけに依存しないチームづくりが、継続的な優勝につながっています。

全日本大学駅伝は2024年に悲願の初優勝

2024年11月3日に開催された第56回全日本大学駅伝で、國學院大學は総合5時間9分56秒を記録し、初優勝を果たしました。

この大会では、5区の野中恒亨選手が区間賞を獲得。6区の山本歩夢選手は区間新記録をマークし、大会MVPにも選ばれました。7区の平林清澄主将がトップに立ち、最終8区の上原琉翔選手が駒澤大学の追い上げをかわして優勝を決めています。

同年の出雲駅伝と合わせ、國學院大學は大学三大駅伝の二冠を達成しました。

一方、2025年11月2日の第57回大会では、連覇を目指したものの総合4位。5時間9分45秒という大学記録を更新しながらも優勝には届きませんでした。

この結果は、國學院大學が高い競技力を維持している一方で、全日本大学駅伝の連続優勝には選手層の厚さや区間配置など、さらなる改善が求められることを示しています。

箱根駅伝は2026年に大学史上最高の総合2位

國學院大學にとって、箱根駅伝は長年の目標であり続けています。

2019年の第95回大会では総合7位、2020年の第96回大会では総合3位に入り、チームとしての最高順位を更新しました。その後も上位争いを続け、2025年の第101回大会では総合3位となっています。

そして2026年1月2日・3日に開催された第102回箱根駅伝では、ついに総合2位に躍進しました。


第102回箱根駅伝・2026年

総合2位


10時間40分07秒


往路
4位・5時間20分02秒


復路
2位・5時間20分05秒


大会記録
大会新記録


大学の過去最高順位
更新

出典:國學院大學陸上競技部・第102回大会公式結果

1区では青木瑠郁選手が区間賞と区間新記録を獲得。7区の高山豪起選手も区間賞を獲得し、復路では大会新記録を記録しました。

この2位は國學院大學にとって箱根駅伝の歴史を塗り替える成績です。ただし、総合優勝にはあと一歩届いていません。前田監督が掲げてきた箱根駅伝制覇という目標は、2026年大会終了後も残された大きなテーマです。

【國學院大學駅伝監督の2026年最新動向】出雲2位から全日本大学駅伝へ

2026年10月30日現在、前田監督が率いる國學院大學は、箱根駅伝2位に続き、秋の出雲駅伝でも総合2位という成績を残しています。

2026年出雲駅伝は3連覇を逃すも総合2位

2026年10月12日に開催された第38回出雲全日本大学選抜駅伝競走。國學院大學は、2024年・2025年の優勝に続く3連覇を目指して出場しました。

結果は、早稲田大学に次ぐ総合2位。記録は2時間6分54秒で、大会新記録を樹立しました。

レースでは、序盤に順位を落とす場面がありましたが、4区の野中恒亨主将が区間2位・区間新記録の走りでチームを押し上げます。5区の飯國新太選手も区間新記録を記録し、最終6区の高石樹選手が総合2位まで順位を上げてフィニッシュしました。

優勝した早稲田大学の2時間5分56秒とは58秒差。3連覇は逃したものの、チーム全体として大会新記録を出した点は評価できます。

2026年全日本大学駅伝は11月1日開催予定

次の大きな舞台は、2026年11月1日に開催予定の第58回全日本大学駅伝です。

國學院大學は2024年に初優勝し、2025年は総合4位でした。2026年は再び優勝を目指す重要な大会となります。

出雲駅伝では序盤の順位を後半区間で巻き返しましたが、全日本大学駅伝は8区間106.8キロの長距離戦です。各区間で安定して力を発揮できる選手層と、後半まで競争力を維持できる配置が問われます。

10月30日時点では大会開催前のため、2026年の全日本大学駅伝の順位はまだ確定していません。出雲2位からどのような修正を施して伊勢路に臨むのかが、前田監督の采配を評価するポイントになります。

前田康弘監督の評判と指導力はどう評価できる?

前田監督の指導力を評価する際には、単純な優勝回数だけではなく、就任当初と現在のチームを比較することが重要です。

箱根駅伝の予選落ちを経験したチームを、出雲駅伝3度の優勝と全日本大学駅伝初優勝を達成するチームへと成長させました。2026年の箱根駅伝でも総合2位に到達しています。

また、指導者としての評価につながるのは、選手との信頼関係を重視する姿勢です。朝日新聞社の4years.やランナーズのインタビューでは、以前の上意下達型の指導から対話を重視する方法への変化が紹介されています。

特に注目したいのは、結果を出した選手だけを評価するのではなく、チームへの取り組みや日常の努力も判断材料にしていることです。こうした姿勢は、競技面だけでなく組織づくりの観点からも評価できるポイントです。

一方、2025年の全日本大学駅伝4位や2026年の出雲駅伝2位を見ると、三大駅伝すべてで優勝を続けることの難しさも明らかです。箱根駅伝の総合優勝もまだ実現していません。

前田監督の指導力を判断するなら、次の3点を見ていくとよいでしょう。

- 育成力: 入学時の実績だけではなく、大学在学中に選手がどこまで成長するか。
- 組織力: 主力選手だけでなく、控え選手やサポートメンバーまでチームとして機能しているか。
- 継続性: 主力が卒業した後も、次の世代が駅伝で上位争いを続けられるか。

この3つを総合すると、前田監督の特徴は、短期的な勝利だけでなく、世代交代を繰り返しながら強い組織を維持することにあります。

【國學院大學駅伝監督・前田康弘に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:國學院大學の駅伝監督は誰ですか?

前田康弘監督です。2009年8月に監督へ就任し、2026年現在も國學院大學陸上競技部を率いています。

Q2:前田康弘監督は駒澤大学出身ですか?

はい。駒澤大学出身で、1998年・1999年の全日本大学駅伝2連覇に貢献しました。2000年の箱根駅伝では主将として駒澤大学の初総合優勝を経験しています。

Q3:國學院大學は箱根駅伝で優勝したことがありますか?

2026年大会終了時点では、箱根駅伝の総合優勝はありません。2026年の第102回大会で総合2位となり、大学史上最高順位を更新しました。

Q4:國學院大學の出雲駅伝優勝は何回ですか?

2019年、2024年、2025年の計3回です。2025年には大会2連覇を達成しました。2026年大会は総合2位でした。

Q5:國學院大學は全日本大学駅伝で優勝していますか?

2024年の第56回大会で初優勝しています。2025年の第57回大会は総合4位でした。2026年の第58回大会は11月1日に開催予定です。

Q6:前田康弘監督の指導方針の特徴は何ですか?

選手との本音の対話、個人のコンディション管理、日常生活の規律、部員全員が役割を果たすチームづくりを重視しています。競技力だけでなく、卒業後の成長も見据えた指導が特徴です。

まとめ:前田康弘監督が目指す國學院大學の駅伝新時代

國學院大學の駅伝監督・前田康弘は、駒澤大学時代に全日本大学駅伝2連覇と箱根駅伝総合優勝を経験した元主将です。富士通での社会人経験を経て2009年に監督へ就任し、予選落ちを経験したチームを大学駅伝の優勝争いに加わる強豪へと成長させました。

2019年の出雲駅伝初優勝、2024年の出雲駅伝・全日本大学駅伝二冠、2025年の出雲駅伝2連覇。そして2026年の箱根駅伝総合2位という実績は、長期的なチーム強化の成果を示しています。

前田監督の指導の核心は、選手を一方的に管理するのではなく、対話を通じて信頼関係を築き、個々の能力を組織全体の力に変えることです。

今後の最大の注目点は、まだ手にしていない箱根駅伝の総合優勝です。2026年11月1日の全日本大学駅伝、そして次回の箱根駅伝へ向けて、出雲駅伝で見えた課題をどう修正するかが問われます。

國學院大學の駅伝を追うなら、目先の順位だけではなく、選手の育成、世代交代、チーム全体の成長にも注目してください。前田康弘監督が築いてきたチームが、次にどのような歴史を刻むのか。その挑戦は続いています。