【2025年参院選の結果】自民党39議席の内訳と与党過半数割れの実態
2025年7月20日の参院選は、改選124議席に東京都選挙区の補欠選挙1議席を加えた計125議席を争う選挙だった。自民党は選挙区27議席、比例代表12議席の合計39議席を獲得した。
注目すべきなのは、獲得議席が39議席だったことだけではない。自民党が改選対象としていた52議席から13議席を減らし、連立相手の公明党も改選14議席から8議席へ後退したことだ。
自民・公明両党の獲得議席は合計47議席。非改選議席を加えても、参議院の過半数である125議席に3議席届かなかった。
これは2024年の衆議院選挙に続く与党の過半数割れであり、衆参両院で少数与党となる厳しい政治状況を生んだ。参議院の公式資料でも、与党の議席減少と政権運営への影響が選挙後の重要な変化として整理されている。
投票率58.51%が示した有権者の関心

2025年参院選の全国投票率は58.51%だった。
2022年の前回参院選と比較すると、選挙区で6.46ポイント、比例代表で6.47ポイント上昇している。
さらに、期日前投票者数は約2,618万人に達し、国政選挙として過去最多を更新した。
この数字から読み取れるのは、単純な政治への無関心では説明できない選挙だったという点だ。
物価高、減税、現金給付、政治資金問題など、生活に直結する政策が争点となり、有権者が投票先を積極的に選んだ。自民党にとっては、投票率が上がるなかで従来の支持基盤を維持できなかったことが大きな問題だった。
【自民党の敗因を検証】物価高対策・給付金・裏金問題が重なった理由
自民党が2025年参院選で敗れた理由は、一つの政策や一人の政治家に限定できない。
選挙後の2025年9月2日、自民党は参院選総括委員会の報告書を公表した。そこでは、党自身が複数の敗因を認めている。
特に重要なのは、経済政策、政治資金問題、支持層の変化、情報発信の四つだ。
1.物価高に対する政策が有権者の期待とずれた
選挙当時、食品やエネルギーなど生活必需品の価格上昇が家計を圧迫していた。
賃金が上昇しても、物価上昇に追いつかなければ実質的な生活水準は改善しない。家計にとって重要なのは、政策の規模だけでなく、毎月の支出が実際に軽くなるかどうかだった。
自民党は物価高対策として現金給付を打ち出した。
その中心となったのが、国民1人当たり2万円を基本とする給付案だった。しかし、野党が消費税減税を訴えるなかで、給付金を中心とする自民党の政策は十分な支持を得られなかった。
党の総括報告書も、給付方針の決定が選挙直前までずれ込んだことや、党全体で政策を説明する体制が整わなかったことを問題視している。
また、与野党協議の過程で、減税に抵抗する政党という印象を与えてしまったことも反省点として挙げられた。
ここで重要なのは、給付金そのものがすべての有権者に否定されたという単純な話ではないことだ。
有権者が求めていたのは、物価高に対する迅速で分かりやすい対応だった。政策決定の遅れや説明不足が重なり、生活の苦しさに応えているという実感を十分に届けられなかったのである。
2.政治とカネ・裏金問題への不信が残った
自民党の支持回復を妨げたもう一つの大きな問題が、派閥の政治資金パーティーをめぐる収支報告書の不記載問題だ。
政治資金の不記載をめぐる問題は、2024年以降の政治不信の象徴となった。
自民党は関係議員への処分や政治資金規正法の改正などに取り組んだものの、有権者の納得を十分に得られなかった。
党の総括報告書は、この問題について、次のように厳しい認識を示している。
「自民党に対する不信の底流」
つまり、選挙のときだけ浮上する一時的な問題ではなく、党への信頼を継続的に損なう要因として捉えていた。
特に深刻だったのは、生活費の上昇に苦しむ国民から見て、政治家が自分たちの政治資金さえ適切に管理できていないという印象を与えたことだ。
政治資金問題は、単なる会計処理の問題ではない。政治家が国民に対して説明責任を果たせるのかという、政治の基本的な信頼に関わる問題だった。
3.若年層・現役世代と保守層の支持が流出した
自民党の総括報告書が特に重視したのが、従来の支持基盤の縮小である。
党の分析では、若年層から50代までの現役世代の支持が低下し、一部の保守層も他党へ流出した。
これまで自民党を支持してきた有権者の一部が、国民民主党や参政党などに投票先を変えたことが、議席減少の背景にある。
特に国民民主党は「手取りを増やす」という明確なメッセージを掲げ、経済的な負担を感じている現役世代に訴求した。
参政党も保守的な価値観や既存政治への不満を背景に支持を広げた。
自民党の報告書では、これらの新興政党が分かりやすい政策メッセージで有権者の関心を集めたことも分析されている。
4.SNS・デジタル発信への対応が遅れた
2025年参院選では、SNSや動画を通じた情報発信も重要な要素となった。
自民党の総括報告書は、他党に比べてデジタル対応が遅れたことや、政策を短く分かりやすく伝える力が不足していたことを指摘している。
政策を多く掲げても、有権者に伝わらなければ支持にはつながりにくい。
また、SNS上で拡散する批判や誤情報への対応、党所属議員が一体となった発信体制にも課題があったと分析している。
これは単にSNSの投稿数を増やせば解決する問題ではない。政策の内容、発信する人物、説明の一貫性がそろって初めて、有権者との信頼関係につながる。
【選挙区と比例代表を比較】39議席の内訳から見える自民党の弱点
参院選の結果を分析する際には、選挙区と比例代表を分けて見る必要がある。
参議院選挙では、有権者は選挙区と比例代表でそれぞれ投票する。選挙区では地域ごとの候補者が競い、比例代表では政党や候補者への支持が全国規模で議席に反映される。
2025年の自民党は、どちらでも議席を減らした。
主要政党・関係者の選挙結果と関係性
選挙区では32の1人区で14勝18敗
特に厳しい結果となったのが、1人区だった。
2025年参院選では、全国32の1人区で自民党は14勝18敗と負け越した。
1人区は、最も多くの票を獲得した候補者だけが当選する仕組みだ。そのため、複数の野党候補が票を分散させるか、候補者を一本化して自民党候補と対決するかによって、結果が大きく変わる。
自民党は地方組織の強さを生かして一定の議席を確保したものの、従来の組織票だけでは勝ち切れない選挙区が増えた。
党の総括報告書でも、1人区での敗北と、無党派層への訴求不足が課題として明記されている。
比例代表では得票数が約545万票減少
比例代表の結果は、さらに深刻な支持基盤の変化を示している。
自民党の比例代表得票数は約1,280万票だった。2022年参院選の約1,825万票から、約545万票減少した計算になる。
比例代表は全国の有権者が政党や候補者を選ぶため、特定地域の候補者事情だけでは説明しにくい。
この得票減少は、全国的な自民党支持の縮小を示す重要な材料だ。
選挙区での敗北が地域ごとの候補者調整や野党との競争に左右されるのに対し、比例代表では党そのものへの評価がより直接的に表れる。
自民党の2025年参院選敗北は、地方組織の競争力だけでなく、全国的な政党支持の低下を伴っていた。
【自民党の総括報告書と石破茂の責任】敗北後に何が変わったのか
選挙結果を受けて、自民党は2025年9月2日に参院選総括委員会の報告書を取りまとめた。
委員長は当時の幹事長だった森山裕氏。党の公式発表によると、報告書は選挙結果の分析だけでなく、党組織や政策、広報戦略などの改善課題も整理したものだった。
総括報告書が認めた主な問題点
報告書で指摘された内容は、次のように整理できる。
- 石破内閣の支持率低迷による自民党の基礎的な支持力の低下
- 従来の自民党支持層を十分に固められなかったこと
- 無党派層への訴求力不足
- 若年層・現役世代と一部保守層の他党への流出
- 物価高対策と現金給付の説明不足
- 派閥の政治資金問題による信頼の喪失
- 少数与党での政権運営による政策の独自性低下
- SNSやデジタル広報への対応の遅れ
特に注目したいのは、選挙戦術だけでなく、党と国民との距離そのものが問題視された点だ。
つまり、候補者を変えたり、選挙運動を強化したりするだけでは、根本的な支持回復につながらないという認識が示されたのである。
石破茂は参院選の責任をどう取ったのか
当時の首相であり自民党総裁だった石破茂氏は、2025年9月2日の両院議員総会で選挙結果について自身の責任を認めた。
石破氏は次のように述べている。
「総裁である私の責任であり、そのことから逃れることはできない」
選挙で失った議席について、党総裁として責任を負う姿勢を示したものだった。
その後、石破氏は2025年9月7日に自民党総裁を辞任する意向を正式に表明した。
10月21日には高市早苗氏が第104代内閣総理大臣に就任し、石破政権は終了した。
ここで押さえておきたいのは、石破氏の辞任によって2025年参院選の敗因がすべて解消されたわけではないということだ。
政治資金問題への不信、現役世代の支持離れ、物価高への対応、党の情報発信力などは、総裁が交代しても残る構造的な課題である。
【2026年最新】自民党の参議院議席数と与党勢力はどうなった?
2026年10月現在、自民党を取り巻く政治状況は2025年参院選の直後から大きく変化している。
石破政権から高市政権へ交代し、連立相手も公明党から日本維新の会へと変わった。
2026年10月30日時点の参議院勢力
参議院公式サイトの英語版が公表する2026年10月30日現在の会派別議員数によると、主要会派の構成は次のとおりだ。
| 会派 | 議員数 |
|---|---|
| 自由民主党・無所属の会 | 101 |
| 立憲民主党・無所属 | 39 |
| 国民民主党・新緑風会 | 25 |
| 公明党 | 21 |
| 日本維新の会 | 19 |
| 参政党 | 15 |
| 日本共産党 | 7 |
2026年10月30日現在。参議院公式の会派別議員数。定数248、現職247、欠員1。
ここで注意したいのは、101議席が自民党の党籍を持つ議員だけの数字ではなく、「自由民主党・無所属の会」という院内会派の人数であることだ。
会派と政党の所属議員数は必ずしも一致しないため、統計を比較するときは集計基準を確認する必要がある。
公明党から日本維新の会へ連立相手が交代
2025年10月10日、公明党は自民党との連立政権の枠組みに区切りをつけることを決めた。
背景には、政治とカネをめぐる問題への対応について、自民党との間で十分な合意が得られなかったことがある。
その後、10月20日には自民党と日本維新の会が新たな連立政権の樹立で合意した。
2026年10月現在の参議院では、自民党・無所属の会が101議席、日本維新の会が19議席となっている。
両会派を合計すると120議席だ。
参議院の過半数は125議席であるため、現行の自民・維新の枠組みでも過半数には5議席足りない。
2026年2月の衆議院選挙では、自民党が316議席を獲得する大勝を収めた。しかし、衆議院で大きな議席を確保しても、参議院で過半数を持たなければ、法案や予算関連の審議で他党との調整が必要になる。
2026年の自民党は安定政権を取り戻したのか
高市早苗氏は2025年10月に首相に就任し、2026年2月18日には第105代首相として第2次高市内閣を発足させた。
衆議院での大幅な議席増は、政権運営にとって大きな追い風となった。一方、参議院では引き続き過半数を確保できていない。
つまり、2026年の自民党は、衆議院では強い議席基盤を持つ一方、参議院では他党との協力が欠かせない状況にある。
2025年の参院選で生じた与党過半数割れは、2026年になっても参議院の勢力図に影響を残している。
【2028年参院選の展望】自民党が議席を回復するための課題
次回の2028年参院選は、自民党にとって2025年の敗北からどこまで立て直せたかを判断する重要な選挙になる。
参議院議員の任期は6年で、3年ごとに半数が改選される。2028年には2022年の参院選で選ばれた議員を中心とする124議席が改選対象となる。
参議院公式の2026年6月30日時点の会派別資料では、自由民主党・無所属の会のうち、2028年に任期を迎える議員は61人となっている。
課題1.物価高対策を実感できる政策に変える
2025年の敗因を考えれば、最優先課題の一つは経済政策への信頼回復だ。
現金給付や減税など、政策の名称や金額だけではなく、実際に家計の負担をどの程度軽減できるかが問われる。
特に現役世代や子育て世帯に対しては、賃金、社会保険料、税負担、教育費などを総合的に考えた政策が必要になる。
政策を発表するだけでなく、実施時期や財源、対象者を明確に説明できるかが重要だ。
課題2.政治資金問題への信頼回復
政治とカネの問題は、選挙が終われば自然に忘れられるものではない。
政治資金の透明性を高め、説明責任を果たし、再発防止策が実際に機能していることを示す必要がある。
特に重要なのは、問題が発覚したときだけ説明するのではなく、平時から政治資金の流れを有権者が理解できる仕組みを整えることだ。
2025年の総括報告書で党自身が認めた信頼の喪失を、どこまで具体的な改革につなげられるかが問われる。
課題3.若年層・現役世代への支持を取り戻す
2025年参院選では、若年層や現役世代の支持離れが問題になった。
この層を取り戻すには、従来の高齢者や地域組織を中心とする選挙戦略だけでは不十分だ。
雇用、賃金、住宅、教育、子育て、社会保険料など、日常生活に直結する政策を一貫して示す必要がある。
また、SNSでの発信についても、選挙期間だけの宣伝ではなく、政策決定の過程や成果を継続的に説明する姿勢が求められる。
課題4.自民党と維新の連立をどう維持するか
2028年参院選を考えるうえで、連立相手との関係も重要な判断材料になる。
現状では自民党・無所属の会と日本維新の会を合わせても120議席で、過半数に届いていない。
仮に現在の連立枠組みを維持するなら、2028年選挙では5議席以上の純増が一つの目安になる。ただし、選挙までに他会派の人数や連立関係が変化すれば、必要な議席数も変わる。
また、自民党と維新の政策が一致しない分野では、連立政権としてどのような妥協点を見つけるかも重要だ。
2028年の勝敗を左右する判断基準
今後の自民党を評価する際には、次の4点を確認したい。
- 経済政策: 物価高対策が家計の改善につながっているか。
- 政治改革: 政治資金の透明性と説明責任が実際に改善しているか。
- 支持基盤: 若年層・現役世代の支持を回復できているか。
- 選挙戦略: 地方組織、候補者調整、比例代表の得票力を立て直せているか。
2028年の選挙結果は、単純に自民党の議席が増えたか減ったかだけでなく、2025年に示された国民の不満にどこまで応えられたかによって評価する必要がある。
【参議院選挙と自民党】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2025年参院選で自民党は何議席を獲得しましたか?
2025年7月20日の参院選で、自民党は39議席を獲得しました。内訳は選挙区27議席、比例代表12議席です。改選前の52議席から13議席減少しました。
Q2:自民党が参院選で敗北した最大の理由は何ですか?
物価高対策への不満、政治資金問題による信頼低下、石破内閣の支持率低迷、若年層や現役世代の支持離れなどが重なったことです。自民党自身の2025年9月の総括報告書でも、これらが主要な敗因として挙げられています。
Q3:2026年現在、自民党の参議院議席数はいくつですか?
2026年10月30日現在、参議院の「自由民主党・無所属の会」は101議席です。これは政党所属だけではなく、院内会派としての人数です。連立相手の日本維新の会19議席を加えると120議席となり、過半数の125議席には5議席足りません。
Q4:石破茂氏は参院選敗北の責任を取って辞任したのですか?
石破氏は2025年9月2日に参院選敗北の責任を認め、同月7日に自民党総裁を辞任する意向を表明しました。その後、2025年10月21日に首相を退任しました。
Q5:自民党は2028年参院選で過半数を回復できますか?
回復する可能性はありますが、確定的な見通しはありません。物価高対策、政治資金問題への対応、若年層の支持回復、連立相手との協力などが大きく影響します。現在の自民・維新の会派合計120議席を前提にすれば、少なくとも5議席の純増が必要です。
まとめ:自民党の参院選敗北は2028年への警告だった
2025年参院選で自民党が獲得した39議席は、長年の支持基盤が揺らいだことを示す結果だった。
敗因は、物価高対策や給付金の説明不足だけではない。政治とカネをめぐる不信、石破内閣への評価、現役世代や保守層の支持離れ、SNSを含めた情報発信力の不足など、複数の問題が重なっていた。
自民党自身も2025年9月の総括報告書で、党の基礎体力や政策発信、国民との距離に問題があったことを認めている。
2026年には高市政権が発足し、衆議院では自民党が大幅に議席を増やした。しかし、参議院では自民党・無所属の会と日本維新の会を合わせても過半数に届いていない。
次の大きな節目は2028年参院選だ。
有権者が自民党を評価する際に見るべきなのは、政権の支持率や選挙公約の華やかさだけではない。物価高への具体的な成果、政治資金の透明性、現役世代への政策、そして国民への説明責任が実際に改善しているかどうかである。
39議席という結果を一時的な敗北で終わらせるのか、それとも党の構造改革につなげるのか。2028年参院選は、自民党が国民の信頼を取り戻せたかを測る重要な試金石となる。
主な資料:参議院「第27回参議院議員通常選挙結果」、自由民主党「第27回参議院議員通常選挙総括委員会報告書」、参議院会派別所属議員数、首相官邸発表資料。