自民党総裁選の決選投票とは?2025年の票数・ルール・逆転の理由を徹底解説
2026年10月現在、自民党総裁選の決選投票を理解するうえで重要なのが、2025年10月4日に実施された高市早苗氏と小泉進次郎氏の対決です。1回目の投票では高市氏が183票、小泉氏が164票を獲得しましたが、いずれも過半数に届かず、上位2人による決選投票に進みました。最終的には高市氏が185票、小泉氏が156票を獲得し、第29代自民党総裁に選出されています。
自民党総裁選の決選投票は、単純に1回目の投票をやり直す制度ではありません。最初の投票で重視される党員・党友の意向と、決選投票で大きな比重を持つ国会議員の判断では、票の構成が異なります。2025年の制度では、国会議員票295票と都道府県連票47票、合計342票を争う仕組みでした。
2026年10月31日現在、高市早苗氏は自民党総裁および内閣総理大臣を務めています。2025年の総裁選を振り返ることは、党内の意思決定と日本の政権運営の関係を理解するうえでも重要です。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 決選投票の基本:1回目で過半数を獲得した候補者がいなければ、上位2人で最終投票を行う。
- 2025年の票数:国会議員票295票と都道府県連票47票の合計342票が決選投票の基本枠だった。
- 党員票との違い:1回目は党員・党友の票をドント方式で295票に換算するが、決選投票では各都道府県に1票ずつ配分する。
- 2025年の結果:高市早苗氏が185票、小泉進次郎氏が156票を獲得し、高市氏が29票差で勝利した。
- 逆転の可能性:1回目の首位候補が決選投票で敗れるケースもあり、2012年と2024年の総裁選が代表例となっている。
【基本の仕組み】自民党総裁選の決選投票はなぜ行われる?

自民党総裁選の決選投票とは、最初の投票で当選に必要な過半数を獲得した候補者がいなかった場合に、得票上位2人に絞って実施する追加投票です。
自民党の総裁公選規程に基づく制度であり、総裁を1人に決定するための最終段階に位置付けられています。
第1回投票で過半数が必要な理由
通常の総裁選では、国会議員による議員投票と、全国の党員・党友による党員投票を組み合わせます。
2025年の総裁選では、次のような票数で争われました。
- 国会議員票:295票
- 党員算定票:295票
- 合計:590票
候補者は、この合計の過半数を獲得すれば総裁に選出されます。
ただし、候補者が複数いる場合には票が分散します。最も多くの票を獲得しても、過半数に達しなければ、その時点では当選が決まりません。
そこで、得票数が多かった上位2人だけを残し、決選投票を実施します。
決選投票では上位2人だけが争う
決選投票に進めるのは、第1回投票の得票上位2人です。
3位以下の候補者は対象外となり、候補者を2人に絞って改めて投票します。
ここで重要なのは、1回目に落選した候補者に投じられた票が、そのまま決選投票の候補者に移るわけではないことです。
国会議員は改めて投票先を判断し、都道府県票については規程に基づく配分が行われます。
つまり、1回目で有利だった候補者が、決選投票でも必ず勝つとは限りません。
【2025年のルールを解説】国会議員票295票と都道府県連票47票の違い
2025年の自民党総裁選で特に注目されたのが、1回目と決選投票で投票の仕組みが変わる点です。
自民党が公表した2025年版の「総裁公選の仕組み」によると、1回目は国会議員票と党員算定票を同数に設定し、決選投票では国会議員票と都道府県連票を組み合わせます。
国会議員票295票の内訳
2025年の総裁選では、自民党所属の国会議員295人が、それぞれ1票を投じる方式でした。
内訳は次のとおりです。
- 衆議院議員:195人
- 参議院議員:100人
- 合計:295人
国会議員は候補者の政策、政権運営能力、党内での調整力などを踏まえて投票します。
決選投票でも、国会議員1人につき1票という基本構造は変わりません。
党員票・党員算定票295票とは?
党員票は、全国の自民党員・党友などによる実際の投票です。
ただし、実際に投じられた党員票の数が、そのまま総裁選の得票数に加算されるわけではありません。
全国の投票結果を集計したうえで、国会議員票と同じ295票に換算します。
この換算によって生まれる票が「党員算定票」です。
したがって、党員・党友の実際の投票数と、総裁選の集計で使われる党員算定票は区別する必要があります。
都道府県連票47票はどう配分される?
決選投票では、党員算定票295票に代わって、47都道府県連にそれぞれ1票が割り当てられます。
この47票は、各都道府県の党員投票の結果を基準に配分されます。
具体的には、決選投票に残った2候補のうち、その都道府県で党員票を多く獲得した候補者に1票が加算されます。
例えば、ある都道府県で次の結果になったとします。
- 候補者A:党員票1万票
- 候補者B:党員票8,000票
この場合、その都道府県の1票は候補者Aに加算されます。
全国の党員票を295票に比例換算する第1回投票とは異なり、決選投票では都道府県ごとの勝敗が直接反映される仕組みです。
2025年の決選投票は合計342票
2025年の制度を整理すると、次のようになります。
| 投票区分 | 第1回投票 | 決選投票 |
|---|---|---|
| 国会議員票 | 295票 | 295票 |
| 党員算定票 | 295票 | なし |
| 都道府県連票 | なし | 47票 |
| 合計 | 590票 | 342票 |
ここで注意したいのは、295票という国会議員票の数字は2025年の選挙時点のものだという点です。
国会議員の人数は選挙時期や党の所属議員数によって変わるため、将来の総裁選でも必ず295票になるとは限りません。
2024年の総裁選では国会議員票368票と党員算定票368票が設定されていました。制度の基本構造と、その時点の議員数に応じた票数は分けて理解する必要があります。
【ドント方式と過半数】決選投票は何票で決まる?
総裁選の仕組みで混同されやすいのが、ドント方式による党員算定票の配分と、決選投票の当選条件です。
この2つは異なる仕組みです。
ドント方式による党員票の配分方法
ドント方式とは、各候補者の実際の党員投票得票数を1、2、3、4……という整数で順番に割り、その商の大きい順に票を割り振る方法です。
2025年の場合、国会議員票と同数の295票を党員算定票として配分しました。
例えば、候補者Aが多くの党員票を獲得すれば、その得票数を1、2、3……で割った商も大きくなり、より多くの算定票を獲得しやすくなります。
この方式は、候補者の党員支持を一定のルールに従って295票に反映させるためのものです。
単純に都道府県ごとに同じ票数を配る方式ではありません。
過半数に届かない場合はどうなる?
第1回投票では、議員投票の有効票と総党員算定票の合計に対して過半数を獲得する必要があります。
2025年の総裁選では、5人の候補者が争いましたが、最も多くの票を獲得した高市氏も183票にとどまりました。
そのため、1位の高市氏と2位の小泉氏による決選投票が行われました。
決選投票は何票取れば勝てる?
2025年の決選投票では、国会議員票295票と都道府県連票47票を合わせた342票が基本的な投票枠でした。
342票すべてが有効であれば、過半数は172票です。
ただし、決選投票の当選条件は、総裁公選規程上、2候補のうち得票数が多い者が当選するというものです。
つまり、1回目のような過半数獲得を当選の独立した条件としているわけではありません。
実際、2025年の決選投票では有効票341票となり、高市氏185票、小泉氏156票という結果で高市氏が勝利しました。
決選投票は、単に172票を目指す選挙ではなく、最後に相手を上回る票を獲得できるかが勝敗を決めます。
【2025年総裁選の結果】高市早苗と小泉進次郎の決選投票を徹底比較
2025年10月4日の自民党総裁選は、決選投票の仕組みを理解するうえで重要な事例です。
候補者は小林鷹之氏、茂木敏充氏、林芳正氏、高市早苗氏、小泉進次郎氏の5人でした。
第1回投票の結果
最初の投票では、高市氏が183票で1位、小泉氏が164票で2位となりました。
3位の林氏は134票、4位の小林氏は59票、5位の茂木氏は49票でした。
高市氏は党員算定票で119票を獲得し、小泉氏の84票を上回っています。
しかし、183票では過半数に届かず、決選投票に進むことになりました。
決選投票の最終結果
| 投票段階 | 候補者 | 国会議員票 | 党員算定票/都道府県票 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 第1回 | 高市早苗 | 64 | 119 | 183 |
| 第1回 | 小泉進次郎 | 80 | 84 | 164 |
| 第1回 | 林芳正 | 72 | 62 | 134 |
| 第1回 | 小林鷹之 | 44 | 15 | 59 |
| 第1回 | 茂木敏充 | 34 | 15 | 49 |
| 決選 | 高市早苗 | 149 | 36 | 185 |
| 決選 | 小泉進次郎 | 145 | 11 | 156 |
出典:自由民主党の2025年総裁選挙公式結果。
決選投票では、高市氏が185票、小泉氏が156票を獲得しました。
その内訳を見ると、国会議員票では高市氏が149票、小泉氏が145票で、わずか4票差でした。
一方、都道府県連票では高市氏が36票、小泉氏が11票となり、25票の差がついています。
最終的な29票差を生んだ大きな要因は、この都道府県票の差でした。
高市早苗氏が勝利した理由は?
高市氏は第1回投票でも党員算定票119票を獲得しており、党員・党友からの支持が強い候補でした。
決選投票でも、その支持の広がりが都道府県票36票という結果に表れています。
さらに、国会議員票でも小泉氏を上回りました。
つまり、高市氏の勝利は地方票だけによるものではなく、国会議員票と都道府県票の両方で優位に立った結果です。
小泉氏も国会議員票145票を獲得しており、議員の支持が大きく離れていたわけではありません。しかし、都道府県票の差を埋めることはできませんでした。
【歴代の決選投票と逆転の理由】2012年・2021年・2024年を比較
自民党総裁選では、第1回投票の首位候補が決選投票で敗れるケースがあります。
その理由は、1回目と決選投票では票の構成が異なり、候補者を取り巻く支持関係も変化するためです。
2012年:石破茂氏が首位から安倍晋三氏に逆転された
2012年9月26日の総裁選では、石破茂氏が第1回投票で199票を獲得し、首位となりました。
安倍晋三氏は141票で2位でした。
しかし、過半数を獲得した候補者がいなかったため、決選投票が実施されました。
当時の決選投票は、現在の制度とは異なり、党所属国会議員のみが投票する方式でした。
その結果、安倍氏が108票、石破氏が89票を獲得し、安倍氏が逆転で総裁に選ばれました。
第1回投票で石破氏が獲得した党員票の優位性が、議員だけによる決選投票では同じ形で反映されなかったことが大きなポイントです。
2021年:岸田文雄氏が河野太郎氏を破る
2021年9月29日の総裁選では、岸田文雄氏が256票、河野太郎氏が255票を獲得しました。
両者の差はわずか1票でした。
第1回投票の党員算定票を見ると、河野氏が169票、岸田氏が110票で、河野氏が優位でした。
しかし、決選投票では岸田氏257票、河野氏170票となり、岸田氏が総裁に選出されました。
内訳は次のとおりです。
- 岸田文雄氏:議員票249票、都道府県票8票
- 河野太郎氏:議員票131票、都道府県票39票
この結果は、党員支持の強さと国会議員の支持の強さが、必ずしも一致しないことを示しています。
2024年:高市早苗氏が石破茂氏に逆転を許す
2024年9月27日の総裁選では、9人が立候補しました。
第1回投票では高市早苗氏が181票で1位、石破茂氏が154票で2位でした。
しかし、決選投票では石破氏が215票、高市氏が194票を獲得し、石破氏が逆転しました。
内訳は以下のとおりです。
- 石破茂氏:国会議員票189票、都道府県票26票
- 高市早苗氏:国会議員票173票、都道府県票21票
高市氏は第1回投票では党員算定票109票を獲得し、石破氏の108票をわずかに上回っていました。
それでも決選投票では、国会議員票で石破氏が大きく上回り、勝敗が逆転しました。
歴代事例から分かる逆転の3つの条件
過去の総裁選から、逆転が起きる背景には主に3つの要素があることが分かります。
1. 国会議員票の構成が変わる
1回目では党員票が大きな影響を持ちますが、決選投票では国会議員票の比重が高まります。議員の支持が集まる候補者は、決選投票で有利になります。
2. 3位以下の候補者の支持者が投票先を再判断する
1回目で敗退した候補者を支持していた議員も、決選投票では2人のどちらかを選びます。
ただし、敗退候補者の支持が自動的に移るわけではありません。政策的な距離、党内の人間関係、今後の党運営など、複数の要因が判断に影響します。
3. 都道府県票の配分が変わる
決選投票では47都道府県がそれぞれ1票を持ちます。
全国の党員算定票で優位だった候補者が、必ずしも都道府県の過半数を獲得できるわけではありません。
このため、党員の総得票数だけでなく、各都道府県でどちらの候補者が優勢だったかも勝敗を左右します。
2025年の高市氏と小泉氏の対決は、こうした制度の特徴が明確に表れた事例でした。
【総裁選と首相指名選挙の違い】総裁になれば自動的に総理大臣になる?
自民党総裁選と首相指名選挙は、どちらも政治のトップを決める重要な選挙ですが、制度上はまったく別の手続きです。
自民党総裁選は党内の代表を選ぶ選挙
自民党総裁選は、自民党という政党の代表者を選出するための党内選挙です。
投票できるのは、規程に基づく自民党所属の国会議員や党員・党友などです。
決選投票になった場合も、国会議員票と都道府県連票によって総裁を決定します。
首相指名選挙は国会が内閣総理大臣を選ぶ手続き
一方、首相指名選挙は、日本国憲法第67条に基づき、国会が内閣総理大臣を指名する手続きです。
衆議院と参議院の両院で投票を行います。
1回目の投票で過半数を獲得した候補者がいなければ、上位2人による決選投票が行われます。
両院の指名結果が異なり、両院協議会でも一致しない場合などには、憲法の規定により衆議院の議決が優先されます。
2025年の高市早苗氏はどうやって総理大臣になった?
高市氏は2025年10月4日の自民党総裁選で勝利し、第29代総裁に就任しました。
その後、2025年10月21日の首相指名選挙で内閣総理大臣に指名され、第1次高市内閣が発足しました。
2026年10月現在は第2次高市改造内閣が発足しており、首相官邸の公式情報でも高市氏が第105代内閣総理大臣として掲載されています。
ここで押さえておきたいのは、総裁選で勝利しただけで法律上、自動的に首相になるわけではないということです。
自民党が国会で十分な支持を得ている場合は、総裁が首相に指名される可能性が高くなりますが、最終的な指名は国会の議決によって決まります。
【自民党総裁選の決選投票】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:自民党総裁選の決選投票は何票で決まりますか?
A1:2025年の制度では、国会議員票295票と都道府県連票47票の合計342票が基本です。決選投票では2候補のうち得票数が多い候補者が当選します。
Q2:決選投票で党員は直接投票できますか?
A2:決選投票では、党員・党友が第1回投票と同じ形式で全国一律の党員算定票を投じるわけではありません。47都道府県連に各1票が割り当てられ、各県の党員投票結果で上位2候補のうち得票が多い候補者に加算されます。
Q3:ドント方式とは何ですか?
A3:候補者ごとの党員投票得票数を1、2、3などの整数で順番に割り、商の大きい順に議員票と同数の党員算定票を配分する方式です。2025年は295票を配分しました。
Q4:2025年の高市早苗氏と小泉進次郎氏の決選投票は何票差でしたか?
A4:高市氏が185票、小泉氏が156票で、差は29票でした。国会議員票では4票差でしたが、都道府県連票では25票差がつきました。
Q5:第1回投票で1位だった候補者が決選投票で負けることはありますか?
A5:あります。2012年は石破茂氏が第1回投票で首位でしたが、決選投票で安倍晋三氏に敗れました。2024年も高市氏が第1回投票で首位だったものの、決選投票で石破氏に逆転されています。
Q6:2025年の決選投票で高市氏が勝利した最大の理由は何ですか?
A6:国会議員票で小泉氏を4票上回ったことに加え、都道府県連票で36票を獲得し、小泉氏の11票を大きく上回ったことです。党員支持と国会議員の支持の双方で優位を確保したことが勝利につながりました。
まとめ:【プロの結論】決選投票を理解するには票の構成と逆転の構造が重要
自民党総裁選の決選投票は、第1回投票で過半数を獲得した候補者がいない場合に、上位2人で行われる最終投票です。
2025年の制度では、1回目が国会議員票295票と党員算定票295票、決選投票が国会議員票295票と都道府県連票47票という構成でした。
制度を正しく理解するためには、次の3点が重要です。
第一に、党員票と都道府県連票は同じものではありません。
1回目は全国の党員・党友の投票結果をドント方式で295票に換算します。決選投票では、各都道府県に1票ずつ割り当てられ、県内の党員投票結果が反映されます。
第二に、1回目の首位が決選投票でも勝つとは限りません。
2012年と2024年には逆転が発生しました。決選投票では国会議員の判断や地方票の分布が勝敗に大きく影響します。
第三に、総裁選と首相指名選挙は別の手続きです。
自民党総裁は党内で選ばれますが、内閣総理大臣は憲法に基づいて国会が指名します。
2025年の高市早苗氏と小泉進次郎氏の対決は、決選投票における国会議員票と地方票の重要性を示す事例でした。
2026年以降の総裁選を読み解く際にも、候補者の知名度や第1回投票の順位だけで判断するのではなく、議員票、党員支持、都道府県ごとの支持状況、そして決選投票での票の構成を確認することが欠かせません。
自民党総裁選の本当の勝負は、単に1回目で何票を獲得したかではなく、最終投票で国会議員と地方組織の双方からどれだけ支持を集められるかにあります。
主な根拠資料: 自由民主党「総裁公選の仕組み(2025年版)」「自民党の歴史」「2025年総裁選挙結果」、首相官邸「内閣制度の概要」「歴代内閣」。