【2026年日本代表の全4試合】オランダ・チュニジア・スウェーデン戦を振り返る
日本代表のグループステージは、1勝2分け、勝ち点5という成績だった。なお、2勝1分けではなく、正しくは1勝2分けである。3試合を通じて無敗を維持し、グループFの2位で決勝トーナメント進出を決めた。
第1戦:オランダ代表と2-2で引き分け

2026年6月15日(日本時間)、日本はグループF最大の強敵と目されたオランダと対戦した。
先制を許した日本は、後半に中村敬斗のゴールで同点に追いつく。その後、再びリードを奪われたものの、終盤に鎌田大地が得点して2-2。2度のビハインドを跳ね返し、貴重な勝ち点1を獲得した。
この試合で目立ったのは、相手のビルドアップを妨害する前線の守備と、ボールを奪った後の素早い攻撃への切り替えだ。JFAの公式試合レポートでも、前線の選手がオランダの中盤の組み立てを制限する役割を担ったことが紹介されている。
優勝候補の一角を相手に、2度追いついた結果は、日本の精神的な成熟と攻撃の選択肢の多さを示すものだった。
第2戦:チュニジア代表に4-0で圧勝

6月21日のチュニジア戦では、日本が攻守両面で主導権を握り、4-0で勝利した。
鎌田大地が前半4分に先制点を挙げ、31分には上田綺世が追加点。後半には伊東純也が69分にゴールを決め、83分には上田が再び得点した。
この4得点は、ワールドカップ本大会における日本代表の1試合最多得点記録を更新したものだった。それまでの記録は、2010年南アフリカ大会のデンマーク戦で記録した3得点だった。
特に注目したいのは、単純な個人技だけでなく、複数の選手が連動してゴールを生み出した点だ。前線からの積極的なプレス、ボール奪取直後の縦への展開、中央とサイドを使い分ける攻撃が機能した。
グループ突破に向けて大きな前進となった試合であり、森保ジャパンの攻撃力を印象づける一戦だった。
第3戦:スウェーデン代表と1-1で引き分け

6月26日のスウェーデン戦は、グループステージ最終戦だった。日本は引き分け以上で自力突破を確定できる状況で試合に臨んだ。
後半11分に前田大然がゴールを決めて先制したが、スウェーデンも反撃。後半17分にアンソニー・エランガが得点し、試合は1-1となった。
終盤にはスウェーデンのロングボールやセットプレーから圧力を受けたものの、鈴木彩艶が好セーブを連発。日本は同点のまま試合を終えた。
この結果、日本は勝ち点5でグループFの2位を確定。3試合を通じて敗戦なしという成績でラウンド32へ進んだ。
【グループF順位表】日本代表が2位で突破できた理由と全成績
日本代表がグループステージを突破できた最大の理由は、オランダという強豪から勝ち点を奪い、チュニジア戦で得失点差を大きく改善したことにある。
最終順位ではオランダが勝ち点7で首位、日本が勝ち点5で2位となった。日本は3試合で7得点3失点、得失点差プラス4を記録している。
2026年FIFAワールドカップ・グループF最終順位
出典:FIFA大会最終順位および公式試合結果。勝・分・敗の順。
日本の突破を支えたのは、3試合すべてで勝ち点を積み重ねた安定感だった。オランダ戦では劣勢から追いつき、チュニジア戦では大量得点を記録し、スウェーデン戦では必要な勝ち点を確保した。
一方、オランダは勝ち点7で首位。日本は首位通過こそ逃したが、2位を自力で確保したことには意味がある。3位チームの成績に依存せず、上位2チームとして次のラウンドに進んだからだ。
なお、FIFAが公表した大会最終順位では、日本の総合順位は21位となっている。グループFの2位と、大会全体の21位は異なる指標である点も押さえておきたい。
【ブラジル戦1-2で敗退】ラウンド32で何が起きたのか
グループFを突破した日本の次の相手は、ワールドカップ優勝5回を誇るブラジルだった。
ラウンド32は、2026年大会から48チーム制への拡大に伴って導入された決勝トーナメントの最初のラウンドだ。日本にとっては、従来の大会でいうラウンド16進出を懸けた試合に相当する重要な一戦だった。
佐野海舟の先制点でブラジルを追い詰める
試合は序盤からブラジルがボールを保持する展開となった。しかし、日本は守備ブロックをコンパクトに保ち、ボールを奪ってから素早くカウンターを仕掛けた。
前半29分、その狙いが結実する。佐野海舟が中盤で相手の横パスをインターセプトし、そのまま中央を持ち上がると、ペナルティーエリア外から低いシュートを放った。ボールはゴール隅に吸い込まれ、日本が1-0とリードした。
日本は前半をリードしたまま終了。ブラジルの巧みなパスワークを抑えながら、先制点を守る戦いを展開した。
後半はブラジルの修正に対応しきれず
後半に入ると、ブラジルは攻撃の組み立てを修正した。中盤の選手が日本の守備ラインと中盤の間に入り、両サイドからクロスを供給する形を増やした。
その結果、日本は自陣深くまで押し込まれる時間が長くなり、セカンドボールの回収にも苦しんだ。
後半11分、ブラジルのセンターバックが高い位置まで進出して右サイドからクロスを供給。これをカゼミーロがヘディングで合わせ、1-1の同点とした。
森保監督は後半21分に菅原由勢と鈴木淳之介を投入。その後、田中碧と町野修斗もピッチに送り出し、試合の流れを変えようとした。
しかし、ブラジルの攻勢を止めることはできなかった。延長戦突入が見え始めた後半アディショナルタイム5分、ゴール前の攻防からボールを拾ったガブリエウ・マルティネッリが決勝点を記録。日本は1-2で敗れた。
敗因は個人能力だけではなく、試合の主導権を失ったこと
ブラジル戦を単純に個人能力の差だけで説明するのは不十分だ。
日本は前半、組織的な守備とカウンターでブラジルの攻撃を抑え、先制点まで奪った。つまり、準備してきた戦術そのものは機能していた。
問題は、ブラジルが後半に攻撃の配置を変えた後、日本がその変化に対応する時間を必要としたことだ。相手の中盤にスペースを与え、サイドからのクロスを繰り返し許したことで、守備陣に負担が集中した。
さらに、自陣でボールを奪っても、前線まで運べなければ守備の時間は長くなる。攻撃によって相手を押し戻す力が不足したことも、終盤の失点リスクを高めた要因だ。
JFAの試合レポートでは、森保監督自身も世界トップレベルとの差が残っていることを認めつつ、ブラジルを相手に以前より長い時間ゲームをコントロールできた点や、守備面での改善を評価している。
敗退という結果は厳しい。しかし、強豪相手に先制し、勝利を現実的に狙えるところまで試合を進めたことは、次の強化につながる重要な材料だ。
【森保一監督の戦術とフォーメーション】3バックの強みと残された課題
2026年大会の日本代表を語るうえで欠かせないのが、森保一監督が採用した3バックを軸とする戦術だ。
基本システムは3-4-2-1
オランダ戦の先発メンバーは、3-4-2-1のフォーメーションを採用した。
3人のセンターバックを後方に配置し、両ウイングバックがサイドの攻守を担当。中央ではボランチ2人がボールを回収し、前線の2シャドーと1トップが攻撃を組み立てる。
この配置には、次のような狙いがある。
- 守備面: 3人のセンターバックで中央を固め、相手のカウンターに備える。
- 攻撃面: ウイングバックを高い位置に送り出し、サイドから攻撃の幅を確保する。
- 中盤: ダブルボランチでボールを奪い、素早く前線につなぐ。
- 前線: 2シャドーが相手の中盤と最終ラインの間でプレーし、1トップをサポートする。
ブラジル戦でも、この3-4-2-1をベースとした布陣が採用された。冨安健洋、谷口彰悟、伊藤洋輝が3バックを構成し、佐野海舟と鎌田大地が中央を担当。堂安律と中村敬斗がウイングバックに入り、伊東純也と前田大然が上田綺世の後方で攻撃を支えた。
相手によって守備の位置や攻撃の仕掛け方を変えられる点は、森保ジャパンの特徴だった。
チュニジア戦で見えた戦術の完成度
3バックのメリットが最も分かりやすく表れたのがチュニジア戦だった。
日本はボールを失った直後から素早くプレッシャーをかけ、相手の攻撃を組み立てさせなかった。中盤の選手が前に出て攻撃に参加し、上田綺世が相手DFを引きつけることで、伊東純也や鎌田大地がゴール前に入り込むスペースも生まれた。
特定の選手に得点を依存しない攻撃は、日本の大きな武器となった。
次大会へ向けて改善すべき3つのポイント
一方、ブラジル戦は3バックの運用における課題も明確にした。
第一に、相手が中盤の配置を変えてきた際の対応速度だ。守備ブロックを維持するだけでなく、相手の選手が新たなスペースに入った瞬間に誰が対応するのかを明確にする必要がある。
第二に、セカンドボールの回収力。守備を長時間続ければ、いずれ相手に決定機を与える可能性が高くなる。競り合いの後のボールを確保し、攻撃に転じる能力が欠かせない。
第三に、交代選手を含めた攻撃の継続性だ。先発メンバーが疲労した後も、前線でボールを保持し、相手を押し戻せる選手層が求められる。
森保監督の戦術は世界の強豪に対抗できる水準に近づいている。しかし、勝利をつかむためには、試合中の修正力と90分を通じた強度の維持が必要になる。
【日本代表の招集メンバー26人】海外組の注目選手とチーム構成
2026年大会に向けて、森保監督は5月15日に26人のメンバーを発表した。JFAの発表では、前回カタール大会を経験した選手と、ワールドカップ初出場となる選手が13人ずつという構成だった。
経験豊富な選手と新しい世代を組み合わせ、世界の強豪に対抗するためのチームを編成した形だ。
最終登録された26人の一覧
FIFAが公開した最終登録メンバーは以下の通り。大会直前には遠藤航が負傷離脱し、町野修斗が追加招集された。
GK(3人)
- 鈴木彩艶
- 大迫敬介
- 早川友基
DF(9人)
- 菅原由勢
- 谷口彰悟
- 板倉滉
- 長友佑都
- 渡辺剛
- 瀬古歩夢
- 伊藤洋輝
- 冨安健洋
- 鈴木淳之介
MF(9人)
- 田中碧
- 久保建英
- 堂安律
- 前田大然
- 中村敬斗
- 伊東純也
- 鎌田大地
- 鈴木唯人
- 佐野海舟
FW(5人)
- 町野修斗
- 後藤啓介
- 上田綺世
- 小川航基
- 塩貝健人
この26人はFIFAの大会最終登録リストに基づく構成であり、当初の招集発表メンバーと負傷による変更後の登録メンバーは区別して理解する必要がある。
海外組で注目された主力選手
レアル・ソシエダ/スペイン
狭いスペースでのボールコントロールと、相手の守備ラインを崩すパスが持ち味。日本の攻撃に変化を与える存在。
アイントラハト・フランクフルト/ドイツ
右サイドからの仕掛けやシュート力に加え、守備での献身性も備える。戦術上の役割を柔軟にこなす選手。
クリスタル・パレス/イングランド
中盤での判断力と攻撃の組み立てが強み。オランダ戦、チュニジア戦でも得点を記録した。
フェイエノールト/オランダ
ゴール前での動き出しとフィニッシュ能力が武器。チュニジア戦では2得点を挙げた。
パルマ/イタリア
身体能力とシュートストップに優れ、スウェーデン戦でも終盤の守備を支えた守護神。
このほか、伊藤洋輝、冨安健洋、板倉滉、渡辺剛、田中碧、前田大然、佐野海舟らも海外クラブでプレーする重要な戦力だった。
特筆すべきは、GKからDF、MF、FWまで海外で経験を積む選手がそろっていたことだ。異なるリーグで培ったプレースタイルや判断力が、代表チームの戦術的な柔軟性を支えていた。
一方、三笘薫と南野拓実は負傷の影響で本大会のメンバーから外れた。主力級の選手を欠いた状態で大会に臨んだことも、チーム編成を考えるうえで重要な背景となる。
【日本代表の歴代ワールドカップ成績】1998年から2026年までの変化
日本代表は1998年フランス大会で初めてワールドカップ本大会に出場した。それから2026年大会まで8大会連続で出場している。
グループステージを突破した大会は2002年、2010年、2018年、2022年の4回。いずれもラウンド16で敗退しており、ベスト8進出はまだ達成していない。
2026年大会では新しい大会形式のラウンド32で敗れたため、決勝トーナメント初戦で敗退したという点では過去大会と共通する課題が残った。
歴代大会の主な成績
- 1998年フランス大会: 初出場。グループステージ敗退。
- 2002年日韓大会: 初の決勝トーナメント進出。ラウンド16でトルコに敗退。
- 2006年ドイツ大会: グループステージ敗退。
- 2010年南アフリカ大会: ラウンド16進出。パラグアイとのPK戦で敗退。
- 2014年ブラジル大会: グループステージ敗退。
- 2018年ロシア大会: ラウンド16進出。ベルギーに逆転負け。
- 2022年カタール大会: ドイツ、スペインを破ってグループを突破。クロアチアにPK戦で敗退。
- 2026年北中米大会: グループFを2位で突破。ラウンド32でブラジルに1-2で敗退。
FIFAの日本代表チームプロフィールでも、2026年大会を含む8大会連続出場と、過去4回のラウンド16進出が記録されている。
2026年大会は過去のベスト16と単純比較できない
ここで注意したいのが、2026年大会から48チーム制が導入されたことだ。
従来の32チーム制では、グループステージを突破した16チームがラウンド16に進んでいた。一方、2026年大会ではグループステージの後にラウンド32が設けられ、そこから16チームがラウンド16に進む。
そのため、2026年のラウンド32敗退を、過去大会のラウンド16敗退と同じ到達段階として扱うのは正確ではない。日本は2026年大会で決勝トーナメントに進んだものの、ベスト16には到達していない。
大会の結果を比較するときは、単に「決勝トーナメント進出」という言葉だけを見るのではなく、出場チーム数とラウンド構成も確認する必要がある。
ワールドカップ終了後の日本代表はどうなった?
2026年10月30日時点で、日本代表はワールドカップ後の新しいチームづくりを進めている。
JFAの2026年試合日程によると、大会後の主な結果は次の通りだ。
- 9月24日:ウルグアイに3-1で勝利
- 9月28日:ベネズエラに2-1で勝利
- 10月1日:エクアドルと0-0、PK戦5-4で勝利
- 10月5日:ニュージーランドに2-1で勝利
ワールドカップでの敗退後も、南米や欧州など異なるタイプの相手との対戦を通じてチームの再構築が続いている。
JFAの日程表では、11月14日にブラジル、11月17日にパラグアイとの試合も予定されている。ブラジルとの再戦は、北中米大会で露呈した課題を検証する機会として注目される。
【ワールドカップ日本代表2026】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年ワールドカップで日本代表は何位だった?
A1:グループFでは2位だった。勝ち点5、1勝2分け、得失点差プラス4でグループステージを突破し、大会全体の最終順位は21位となった。
Q2:日本代表はブラジル戦で何対何で敗れた?
A2:ラウンド32でブラジルに1-2で敗れた。佐野海舟が先制したものの、カゼミーロとガブリエウ・マルティネッリに得点を許した。
Q3:2026年大会の日本代表のフォーメーションは?
A3:森保一監督は3-4-2-1を基本とする3バックを採用した。3人のセンターバックと両ウイングバックを軸に、前線の選手が連動して攻守を切り替えるスタイルだった。
Q4:日本代表の2026年大会の招集メンバーは何人?
A4:FIFAの最終登録メンバーは26人。GK3人、DF9人、MF9人、FW5人で構成され、鈴木彩艶、久保建英、堂安律、上田綺世、佐野海舟らが名を連ねた。
Q5:日本代表のワールドカップ最高成績は?
A5:2002年、2010年、2018年、2022年大会で記録したラウンド16進出が最高成績。2026年大会では新形式のラウンド32で敗退し、ベスト16進出には届かなかった。
まとめ:2026年の日本代表が残した成果と次大会への課題
2026年のワールドカップ日本代表は、グループFで1勝2分けという無敗の成績を残し、オランダ、チュニジア、スウェーデンを相手にグループ2位を確保した。チュニジア戦の4得点は大会の大きな成果であり、日本代表の攻撃力を世界に示した。
一方、ラウンド32のブラジル戦では先制しながら1-2で逆転負け。後半の守備対応、セカンドボールの回収、試合の流れを変える交代策など、世界トップクラスの相手に勝ち切るための課題が残った。
今回の大会を評価する際には、単にベスト16に届かなかったという結果だけでなく、強豪相手にどこまで戦えたか、攻守の組織がどれほど機能したか、試合中の変化にどこまで対応できたかを見る必要がある。
【プロの結論】次の日本代表に求められるのは、強豪国と互角に戦える時間を増やすことだけではない。相手が戦術を修正した後も主導権を取り戻し、試合終盤まで攻撃と守備の強度を維持することだ。
久保建英、堂安律、上田綺世、鈴木彩艶ら海外で経験を積む選手に加え、佐野海舟や塩貝健人ら新しい世代がどのように成長するかも重要になる。
8大会連続出場を果たした日本代表は、すでにワールドカップに出場すること自体を目標とする段階を越えている。次に問われるのは、決勝トーナメントで勝ち上がり、ベスト8という壁を突破できるかどうかだ。2026年大会の悔しさを、次の舞台で結果に変えられるかが森保ジャパンの今後を左右する。