【2026年大会の放送全体像】テレビとネット配信はどう分担された?
2026年大会の放送体制を理解するうえで押さえたいのは、テレビ局による試合ごとの中継と、DAZNによる全試合配信が並行していた点だ。
大会はカナダ、メキシコ、アメリカの3カ国、16都市で開催された。参加国は従来の32カ国から48カ国に拡大し、試合数も104試合に増加。日本との時差によって早朝や午前中のキックオフが多く、録画や見逃し配信を利用する視聴者にとっても、配信サービスの役割は大きかった。
日本サッカー協会(JFA)の公式放送情報では、日本代表のグループステージ3試合について、NHK総合、日本テレビ、NHK BSがそれぞれ中継を担当。決勝トーナメントではフジテレビとNHK BSによる中継も行われた。
放送局ごとの基本的な担当範囲は次のとおりだ。
- NHK:総合テレビで34試合、BSP4Kで全104試合を生中継・録画放送。
- 日本テレビ系列:日本代表戦1試合を含む15試合を地上波中継。
- フジテレビ系列:グループステージと決勝トーナメントを合わせて10試合を地上波中継。
- DAZN:国内で全104試合をライブ配信。
なお、各局の放送対象は重複する場合があるため、局ごとの試合数を単純に合計して大会の総試合数と比較することはできない。
【ワールドカップ放送局一覧】NHK・日本テレビ・フジテレビの中継実績

テレビ放送を担当した各局の実績を詳しく見ていこう。
NHK総合テレビは34試合を生中継

NHKは1次リーグで19試合、決勝トーナメントで15試合、合計34試合を総合テレビで生中継した。
1次リーグでは、開幕戦のメキシコ対南アフリカをはじめ、スペイン、アルゼンチン、フランスなどの強豪国の試合も放送。日本代表戦では、オランダ戦とスウェーデン戦を総合テレビで中継した。
日本対チュニジアはNHK BSで生中継されている。日本代表の試合を地上波だけでなくBSでもカバーする放送体制だった。
決勝トーナメントでは、1回戦8試合、2回戦3試合、準々決勝、準決勝、3位決定戦、決勝を地上波で放送。日本代表が勝ち進んだ場合の中継についても、1回戦はBS、2回戦以降は地上波という編成が案内されていた。
さらに、NHK BSプレミアム4Kでは大会全104試合を生中継と録画放送で取り扱った。地上波で放送する34試合は、BSP4Kでも同時生中継された。
このため、NHKの放送実績は地上波34試合だけで評価できない。高精細な映像で大会全体をカバーするBSP4Kも、大きな特徴だった。
日本テレビ系列は15試合を中継

日本テレビは2025年12月4日、FIFAワールドカップ2026の地上波中継権を獲得したと発表した。
同局がワールドカップの中継を担当するのは2018年ロシア大会以来、2大会ぶり。今大会はグループステージの日本代表戦1試合を含む計15試合を放送した。
日本代表戦では6月21日の日本対チュニジアを担当。日本テレビ系列の地上波放送に加えて、NHK BSとDAZNでも同じ試合を視聴できる体制だった。
また、試合中継だけでなく、開幕前の特別番組や大会期間中の情報番組、ハイライト企画も展開。竹内涼真をスペシャルナビゲーターに起用するなど、サッカーに詳しくない視聴者にも大会の魅力を伝える編成が組まれた。
フジテレビ系列は10試合を担当
フジテレビ系列は合計10試合を地上波で生中継した。
内訳はグループステージ5試合、決勝トーナメント5試合。グループステージではフランス対セネガル、ポルトガル対コンゴ民主共和国、スコットランド対モロッコなどを放送した。
決勝トーナメントでは、日本がグループステージを突破した場合のラウンド32も中継対象となっていた。実際に日本はラウンド32へ進出し、6月30日午前2時(日本時間)の日本対ブラジルがフジテレビとNHK BSで生中継された。
日本はこの試合でブラジルに1対2で敗れた。日本代表の大会はここで終了したが、フジテレビ系列の中継は引き続き他国の試合でも行われた。
各局の発表資料とJFAの放送情報を照合すると、放送体制は以下のように整理できる。
| 放送局・サービス | 試合数・担当範囲 | 主な中継実績・特徴 |
|---|---|---|
| NHK総合 | 34試合 | 日本戦2試合を含む。決勝まで地上波中継 |
| NHK BS | 日本代表戦など | 日本対チュニジア、ラウンド32の日本対ブラジルなど |
| NHK BSプレミアム4K | 全104試合 | 生中継と録画放送。地上波34試合は同時生中継 |
| 日本テレビ系列 | 15試合 | 日本対チュニジアを含む |
| フジテレビ系列 | 10試合 | グループステージ5試合、決勝トーナメント5試合 |
| DAZN | 全104試合 | 全試合ライブ配信。日本代表戦は無料配信 |
出典:NHKの2026年6月8日発表、日本テレビの2025年12月4日発表、フジテレビの2026年5月14日発表、日本サッカー協会の大会放送情報。
【DAZN全104試合ライブ配信】日本代表戦は無料で見られた?
2026年大会の配信面で大きな注目を集めたのが、DAZNによる全104試合のライブ配信だ。
DAZNは2025年12月4日、日本国内におけるFIFAワールドカップ2026の全104試合の配信権を獲得したと発表した。大会期間中は全試合をライブ配信し、日本代表戦については全試合を無料で提供する方針も明らかにしていた。
日本代表戦はDAZNの有料契約なしでも視聴可能
DAZNの公式案内では、有効な有料サブスクリプションを持っていない利用者でも、日本代表戦を無料でストリーミング視聴できると説明されていた。
つまり、日本代表の試合を見るために必ずしもDAZN Standardへ加入する必要はなかった。
さらに、大会終了後に公開されたDAZNの総括レポートでは、日本代表戦だけでなく、準決勝、3位決定戦、決勝も無料配信の対象だったことが報告されている。
ただし、無料で視聴できる試合と、有料契約に含まれる全104試合の視聴権は別の話だ。海外代表同士の試合を含めて大会をすべて追いかける場合には、契約プランの確認が必要だった。
DAZN Standardの料金と契約プラン
2026年2月2日以降に案内されたDAZN Standardの基本料金は、月額4,200円。年間プランには一括払いと月々払いの2種類が設定されていた。
- 月間プラン:月額4,200円
- 年間プラン(一括払い):年額32,000円
- 年間プラン(月々払い):月額3,200円、12カ月合計38,400円
DAZNのワールドカップ視聴に関する公式FAQでは、Standard契約者は全104試合を追加料金なしで視聴できると案内されていた。
一方、DAZN Baseballは通常の契約だけではワールドカップの全試合を視聴できず、対象者はWorld Cup Add-Onを別途購入する仕組みだった。
DAZN GLOBALもStandardとは異なるプランであり、全104試合の視聴権が含まれるものではない。プラン名だけで視聴可能と判断しないことが大切だ。
見逃し配信とフルリプレイにも対応
DAZNの公式FAQでは、全104試合についてライブ配信だけでなく、フルリプレイ形式の見逃し配信と拡張ハイライトも提供すると案内されていた。
また、日本語実況と解説、HDR配信、マルチカメラなどの機能も用意された。試合映像のダウンロードには対応していないため、オフライン環境で後から視聴する用途には制約があった。
北米開催の大会は、日本時間の深夜から早朝にかけて試合が行われるケースも多い。リアルタイムで観戦できない人にとって、フルリプレイの存在は大きな利点となった。
【NHK ONE同時配信】テレビがなくてもワールドカップを視聴できた?
NHKのインターネット配信サービス「NHK ONE」も、大会の視聴手段の一つだった。
NHKは1次リーグから決勝まで、総合テレビで生中継する計34試合をNHK ONEで同時・見逃し配信すると発表していた。
対象は地上波中継の34試合であり、BSP4Kが取り扱った全104試合すべてをNHK ONEで配信したわけではない。この違いは混同しやすいポイントだ。
NHK ONEで利用できた主な配信内容
- NHK総合で中継する対象34試合の同時配信
- 対象試合の見逃し配信
- 大会期間中のデイリーハイライト
- 試合を約2分にまとめた短時間ハイライト
これにより、テレビの前にいなくても、スマートフォンやタブレット、パソコンなどを通じて対象試合を視聴できる環境が整った。
NHK ONEの利用条件にも注意
NHK ONEは、単純な無料動画サイトとは異なるNHKのインターネットサービスだ。利用登録や受信契約に関する条件、対応端末、配信対象番組などを確認する必要がある。
特に、NHKのテレビ放送とインターネット配信では、視聴できる番組の範囲が異なる。NHK ONEを登録すればワールドカップの全試合が見られるという理解は正しくない。
NHK ONEの最大の特徴は、NHK総合で放送された試合を同時・見逃し配信で補完できることだった。DAZNの全104試合配信とは役割が異なっていた。
【地上波とネット配信の比較】どの視聴方法が利用しやすかった?
ワールドカップの視聴方法は、料金だけでなく、見たい試合の範囲や観戦する時間帯によって使い勝手が変わる。
地上波・BS放送の特徴
NHK総合、日本テレビ系列、フジテレビ系列の地上波放送は、対応するテレビがあれば視聴できる点が大きな特徴だ。追加の動画配信契約を必要とせず、家族や友人と大画面で観戦しやすい。
NHK BSやBSP4Kも、対応する受信環境があれば利用できる。特にBSP4Kでは大会全104試合を生中継と録画放送で扱ったため、地上波で放送されない試合も含めてテレビで楽しめる機会があった。
ただし、地上波の放送対象は大会の全試合ではない。特定の海外代表やグループステージの試合をすべて追いかけたい場合には、別の視聴手段が必要になる。
DAZNとNHK ONEの特徴
ネット配信は、テレビの前にいる時間を確保しにくい人に適した視聴方法だ。
DAZNは全104試合をカバーするため、日本代表以外の試合も含めて大会を追いかけたい人に対応していた。NHK ONEは地上波で放送する対象34試合を同時・見逃し配信で補うサービスとして機能した。
両者の大きな違いは、配信対象となる試合数と契約条件にある。
- 地上波:追加の配信契約なしで対象試合を視聴できる。
- NHK BS・BSP4K:受信環境に応じてBS放送や高精細映像を楽しめる。
- NHK ONE:総合テレビの対象34試合を同時・見逃し配信で視聴できる。
- DAZN:全104試合をライブ配信し、対象試合の見逃し配信にも対応する。
視聴目的別に考える選択基準
日本代表戦を中心に観戦する場合は、地上波放送とDAZNの無料配信が有力な選択肢だった。日本代表戦の無料配信を利用すれば、全試合を視聴するための有料契約を結ばずに済んだ。
海外の強豪国の試合や決勝トーナメントを含め、104試合すべてを追いかけたい場合はDAZN Standardが選択肢となる。月額料金だけでなく、年間契約の総額や契約期間も確認する必要がある。
NHKの対象試合をスマートフォンで見たい場合はNHK ONEが候補になる。ただし、DAZNと異なり、配信対象はNHK総合で放送する34試合に限られていた。
【ワールドカップ放送・配信実績】DAZNの視聴データから見えた変化
2026年大会の放送・配信体制を振り返るうえで、注目したいのが大会終了後に公表されたDAZNの総括レポートだ。
DAZNによると、大会を通じた同サービスの延べ視聴者数は6,700万人。SNS上の関連動画の総再生回数は18.4億回を超え、全国1,000カ所以上で開催されたパブリックビューイングには20万人以上が参加した。
さらに、大会全体の総視聴数は4億5,000万を突破。日本戦以外の試合が全体の80%を占めたという。
この数字から読み取れるのは、視聴者の関心が日本代表の試合だけにとどまらなかったことだ。強豪国同士の対戦や決勝トーナメントにも幅広い関心が集まり、全試合配信という仕組みが大会全体を楽しむ機会を広げた。
深夜・早朝開催が見逃し配信の利用を後押し
DAZNの発表では、大会全体の視聴のうちライブ視聴が54%を占め、テレビでの視聴も41%に達した。
この結果は、インターネット配信がスマートフォンだけのサービスではなく、テレビ画面でも利用されていたことを示す。
一方、北米開催による時差の影響で、リアルタイム観戦が難しい試合も少なくなかった。フルリプレイやハイライト、モバイル視聴が活用された背景には、こうした生活時間とのずれがあった。
テレビとネット配信の対立というより、両方を使い分ける視聴スタイルが大会の特徴になったと考えられる。
【プロの結論】放送権の分散と全試合配信が示したもの
今回の大会で注目すべきなのは、テレビ局による中継とDAZNによる包括的なライブ配信が、それぞれ異なる役割を担ったことだ。
NHKは幅広い視聴者に向けた地上波放送とBS放送を展開し、日本テレビとフジテレビは独自の中継カードや関連番組を編成した。一方、DAZNは104試合すべてをライブ配信し、日本代表戦などの無料配信も組み合わせた。
特に重要なのは、無料で視聴できる試合が存在することと、全試合を無料で視聴できることは同じではないという点だ。
視聴者が放送サービスを選ぶ際には、次の3点を確認することが合理的だ。
- 日本代表戦だけでなく、海外代表同士の試合も視聴したいか。
- リアルタイム視聴が中心か、見逃し配信を利用したいか。
- 月額料金だけでなく、年間契約や追加オプションの費用も許容できるか。
大会全体を楽しむ人にとってはDAZNの網羅性が大きな意味を持ち、日本代表戦を中心に観戦する人にとっては無料配信や地上波中継が実用的な選択肢となった。
【ワールドカップサッカーの放送】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ワールドカップ2026は日本でどこのテレビ局が放送した?
A1:NHK総合、日本テレビ系列、フジテレビ系列が地上波中継を担当した。NHK BSでも日本代表戦などを放送し、NHK BSプレミアム4Kでは全104試合を生中継と録画放送で取り扱った。
Q2:ワールドカップ2026の全104試合を無料で見ることはできた?
A2:全104試合を無料で視聴できる仕組みではなかった。DAZNでは日本代表戦の全試合が無料ライブ配信され、準決勝、3位決定戦、決勝も無料配信の対象だった。一方、全104試合を視聴するにはDAZN Standardなど対象プランが必要だった。
Q3:DAZNのワールドカップ2026の料金はいくらだった?
A3:2026年2月2日以降のDAZN Standardの基本料金は月額4,200円、年間一括払い32,000円、年間月々払い3,200円だった。Standardには全104試合の視聴権が含まれていた。Baseballプランは別途World Cup Add-Onが必要だった。
Q4:NHK ONEではワールドカップの全試合を見逃し配信で見られた?
A4:NHK ONEの対象はNHK総合で中継した34試合と大会期間中のハイライト番組だった。全104試合の見逃し配信に対応していたわけではない。全104試合のフルリプレイはDAZNの配信対象だった。
Q5:日本代表戦はどのテレビ局で放送された?
A5:グループステージでは、日本対オランダがNHK総合、日本対チュニジアが日本テレビとNHK BS、日本対スウェーデンがNHK総合で中継された。ラウンド32の日本対ブラジルはフジテレビとNHK BSが担当し、DAZNでもライブ配信された。
Q6:海外からDAZNで日本のワールドカップ中継を視聴できた?
A6:DAZNの公式案内では、ワールドカップの試合は放送権の関係で契約者の居住国内でのみ視聴でき、海外旅行中の視聴には対応しないとされていた。日本国内向けの配信権と海外での視聴権は区別する必要がある。
まとめ:ワールドカップ2026の放送を振り返る
2026年のFIFAワールドカップは、NHK、日本テレビ、フジテレビによるテレビ中継と、DAZNによる全104試合のライブ配信が組み合わされた大会だった。
NHKは総合テレビで34試合を生中継し、NHK BSやBSP4K、NHK ONEでも視聴機会を提供。日本テレビ系列は15試合、フジテレビ系列は10試合を担当した。
DAZNは全104試合をライブ配信し、日本代表戦などは無料視聴の対象とした。さらにフルリプレイやハイライトも提供し、北米開催による時差の問題にも対応した。
大会を通じて明らかになったのは、地上波とネット配信が異なる役割を持ちながら、互いに観戦機会を補完していたことだ。
今後のワールドカップでも、放送局ごとの中継カード、無料配信の対象試合、見逃し配信の範囲、契約料金を分けて確認することが、視聴方法を選ぶうえで重要になる。
2026年大会の放送実績は、日本のサッカー観戦がテレビ中心から、テレビとネット配信を組み合わせる形へ広がったことを示す一つの節目となった。
主な情報源: 日本サッカー協会(JFA)、NHK公式発表、日本テレビ公式発表、フジテレビ公式発表、DAZN公式プレスリリース・視聴ガイド、FIFA公式大会記録。各社の大会発表と終了後の実績を区別して構成している。