【相撲の懸賞金の仕組み】1本7万円は誰にいくら配分される?

目次

相撲の懸賞金は、スポンサー企業や団体が日本相撲協会に申し込み、指定した幕内の取組に提供する賞金です。

企業が支払う金額は、1本につき7万円(税込)。そのうち6万円が勝った力士の獲得分となり、残り1万円は日本相撲協会の手数料です。

協会公式サイトでは、手数料の用途を取組表への掲載料と場内放送料として説明しています。つまり、懸賞金は単なる勝利ボーナスではなく、企業広告と力士への賞金を組み合わせた制度なのです。

7万円の内訳を計算すると?

相撲の懸賞金

1本の懸賞金を分解すると、次のようになります。

- スポンサー企業の支払額:7万円
- 勝った力士の獲得分:6万円
- 日本相撲協会の手数料:1万円

特に間違えやすいのが、力士の取り分と土俵上で受け取る現金の違いです。6万円が力士の獲得分ですが、その全額を懸賞袋から現金で受け取るわけではありません。

1場所15本ならスポンサーの負担は105万円

相撲の懸賞金

日本相撲協会が定める最低申込本数は、1日1本以上、1場所15本以上です。

15日間にわたって毎日1本ずつ懸賞を出す場合、計算は次のとおりです。

7万円×15本=105万円

このうち、力士の獲得分は90万円、協会の手数料は15万円です。

スポンサーにとっては100万円を超える広告出稿ですが、15日間にわたって企業名を取組表や場内放送で露出できることを考えれば、通常の広告とは異なる価値があります。

【力士の懸賞金の手取り】現金3万円から1万円へ!2025年の変更点

相撲の懸賞金

ここが、相撲の懸賞金を調べる際に最も注意したい部分です。

以前は、懸賞金1本につき、勝った力士が土俵上で現金3万円を受け取り、残り3万円を納税充当金として協会が本人名義で預かる方式でした。

ところが、2025年5月の夏場所から、懸賞袋に入れる現金が3万円から1万円に変更されました。

日本相撲協会が発表した変更の背景には、大量の現金を持ち歩くことによる盗難リスクや、協会側の現金管理の負担があります。十両以上の力士で構成される力士会からも、安全面への懸念が示されていました。

2026年現在の懸賞金の受け取り方

2025年5月以降の内訳は次のとおりです。

項目 金額 内容
スポンサー支払額 70,000円 企業・団体が支払う総額
協会手数料 10,000円 取組表掲載・場内放送など
力士の獲得分 60,000円 勝利した力士の取り分
土俵上の現金 10,000円 懸賞袋に入れて渡される金額
本人名義の預り・振込分 50,000円 納税資金などに備える口座への振込分

つまり、1本の懸賞金で力士が獲得する金額は6万円のままですが、実際に土俵上で受け取る現金は1万円になっています。

「懸賞金の手取りは6万円」と「懸賞袋の中身は1万円」は、どちらも異なる意味で正しい数字です。

なぜ懸賞袋の現金が3万円から1万円になったのか

変更の大きな理由はセキュリティーです。

懸賞本数が多い取組では、勝った力士が何十本もの懸賞をまとめて受け取ります。1本3万円の現金が入っていれば、50本獲得した場合には150万円もの現金を持つことになります。

そこで現金を1本1万円に減らし、残りの2万円も含めた5万円を口座に振り込む方式へ変更しました。

この結果、力士の獲得分6万円は維持したまま、現金で持ち運ぶリスクを抑えられるようになりました。

納税充当金は税金を支払い済みという意味ではない

もう一つ理解しておきたいのが、納税充当金の役割です。

懸賞金は、税務上、力士の事業所得として扱われます。給与とは別の収入であり、懸賞金については原則として力士自身が確定申告を行い、税金を納めます。

税理士ドットコムが2026年8月に掲載した税理士への取材記事でも、懸賞金は事業所得に分類され、源泉徴収されずに本人が確定申告で納税する仕組みが説明されています。

したがって、納税充当金は税金がすでに差し引かれた非課税のお金ではありません。

税金の支払いに備えて本人名義で管理する資金です。懸賞金の獲得額と、実際の税引き後の収入は区別する必要があります。

【懸賞旗とスポンサーの関係】企業名はどのように場内放送される?

懸賞金の魅力は、賞金だけではありません。

取組前に土俵を回る色鮮やかな懸賞旗には、スポンサー企業の広告としての役割があります。

日本相撲協会の公式説明によると、懸賞を出した企業・団体の提供者名は、その日の会場入場者全員に配布される取組表に印刷されます。

さらに、取組直前には場内放送で提供者名が読み上げられます。懸賞旗も呼出しによって土俵上に掲げられ、観客の目に触れます。

懸賞旗の大きさと制作ルール

懸賞旗の規格は次のとおりです。

- 横幅:70cm
- 縦幅:120cm
- 制作:スポンサー側が制作して持ち込む
- デザイン:土俵上に掲げるため一定の制限あり

協会は制作業者として、株式会社トマックと株式会社太田旗店を紹介しています。

企業のロゴやキャッチコピーを掲載する場合も、土俵上での掲出に適したデザインにする必要があります。

懸賞旗が土俵を回るタイミング

懸賞旗は、懸賞の付いた取組で、力士が塵手水(ちりちょうず)を終えた後に登場します。

呼出しが旗を掲げ、土俵上を回ることで、観客はどの企業がその取組を応援しているのかを目で確認できます。

勝負が終わると、勝った力士は勝ち名乗りを受け、行司から懸賞金を受け取ります。

このとき、力士は手刀を切る作法を行います。懸賞金を受け取る所作も、大相撲ならではの見どころです。なお、不戦勝の場合には懸賞は取り下げられます。

【幕内の懸賞金の申込条件】企業がスポンサーになるには?

懸賞を出したい企業や団体は、日本相撲協会の懸賞係に申し込みます。

誰でも好きな取組に自由に懸賞を付けられるわけではなく、協会が定める対象や本数などの条件があります。

主な申込条件

項目 条件・内容
対象の取組 幕内の取組のみ
最低本数 1日1本以上
1場所の最低本数 15本以上
追加申込 1本から受付
1本の料金 7万円(税込)
提供者名 活字15文字以内
懸賞旗 スポンサー側で制作・持ち込み

これらは日本相撲協会が公式サイトで公表している条件です。

企業は応援する力士や取組を指定できる

懸賞は、特定の力士を応援する目的で申し込むこともできます。

例えば、地元出身の力士や、企業と縁のある力士の取組に懸賞を付ける方法です。

また、特定の力士に限らず、希望する取組を指定することもできます。

この仕組みによって、懸賞旗は単なる広告ではなく、地域と力士、企業と相撲ファンをつなぐ役割も担っています。

【2026年最新】相撲の懸賞金と企業スポンサーは増えている?

2026年10月時点

2026年の大相撲では、懸賞の申し込みが非常に活発です。

象徴的なのが、2026年5月の夏場所と9月の秋場所です。

スポニチによると、2026年5月の夏場所では、15日間の懸賞申し込みが4241本に到達しました。申し込み企業数は152社で、新規のスポンサーは30社でした。

2026年の主なスポンサー動向

2026年の懸賞スポンサーには、従来からの食品・飲料関連企業だけでなく、幅広い業種が参加しています。

具体例として、次のような企業・団体が報道されています。

- ニトリホールディングス:家具・日用品分野
- 一蘭:飲食・外食分野
- 叙々苑:飲食・外食分野
- アメリカ大使館:国際的な広報活動
- 拓殖大学:卒業生の力士を応援する取り組み
- 熱海プリン、熱海ガス:地元・熱海にゆかりのある力士への応援

2026年5月には、ニトリ、一蘭、叙々苑、アメリカ大使館などが新規スポンサーとして参加しました。

9月の秋場所では、拓殖大学が卒業生の藤凌駕と朝白龍の取組に懸賞を提供することも報じられました。

2026年9月の秋場所では掲出本数が過去最多に

2026年9月の秋場所では、懸賞申し込みが141社から計3895本に達しました。

さらに、実際に掲出された懸賞は3688本。5月の夏場所の3563本を125本上回り、過去最多を更新しました。

場所前の申し込み本数と、実際に土俵に掲出された本数は異なります。休場などで予定していた取組が行われない場合があるためです。

大の里は秋場所だけで698本を獲得

2026年9月場所で特に注目されたのが、横綱・大の里の懸賞獲得数です。

ゴールドオンラインが紹介したデータによると、秋場所の力士別懸賞獲得数は次のとおりでした。

- 1位:大の里・698本
- 2位:安青錦・365本
- 3位:霧島・259本

大の里の698本を1本6万円で計算すると、力士の獲得分は4188万円になります。

さらに、企業側の支払額に換算すると4886万円です。

2025年5月以降の受け取り方式に当てはめれば、単純計算で土俵上の現金は698万円、口座への振込分は3490万円となります。税金を差し引いた最終的な収入とは異なりますが、懸賞金が力士の収入に与える影響の大きさが分かります。

スポンサーの顔ぶれが多様化している背景には、相撲中継の広告価値だけでなく、特定の力士や地域を応援するという目的もあります。

【相撲の懸賞金の歴史】昭和30年に現在の現金制度へ

懸賞金の歴史は、現在の企業スポンサー制度よりもはるかに古く、平安時代にまでさかのぼります。

日本相撲協会の公式クイズでは、懸賞の起源として平安時代の宮中行事「相撲節(すまいのせち)」が紹介されています。

当時の勝ち力士には、麻や絹などの織物、衣類、米などが贈られていました。

現在のような現金とは異なり、勝者に品物を贈る習慣だったのです。

江戸時代は「纏頭(はな)」という祝儀が盛んに

江戸時代には、ひいきの力士に祝儀を渡す習慣が広がりました。

その一つが「投げ纏頭(なげばな)」です。

力士が勝つと、観客が羽織や品物などを土俵に投げ入れ、後から持ち主と品物を引き換える形で祝儀を渡していました。

当時の相撲は、力士と観客、ひいき筋との関係が深く、懸賞の原型となる応援文化が根付いていたのです。

しかし、品物を土俵に投げ込む行為は安全面などの問題もあり、明治42年(1909年)の旧両国国技館開館時に禁止されました。

昭和30年(1955年)に現金の懸賞制度が定着

現在につながる現金中心の懸賞制度は、昭和30年(1955年)に大きな転換点を迎えます。

日本相撲協会の説明では、この年に懸賞を一律1万円、または1万円以上の商品とする基準が定められました。

それ以降、現物による懸賞はほとんど姿を消し、賞金を中心とした制度へ移行していきました。

現在の懸賞旗、企業名の場内放送、現金の授受という形式は、こうした長い歴史の上に成り立っています。

【プロの結論】相撲の懸賞金は広告と力士の収入をつなぐ制度

相撲の懸賞金を理解するうえで、押さえておきたいポイントは3つあります。

1つ目は、スポンサーが支払う7万円と力士の獲得分6万円は違うこと。

7万円は企業が負担する金額であり、そのうち1万円は協会の手数料です。

2つ目は、力士の獲得分6万円と現金1万円を混同しないこと。

2025年5月から、土俵上の現金は1万円、残り5万円は本人名義の口座への振込分になりました。以前の3万円という数字は旧制度のものです。

3つ目は、納税充当金が非課税の特典ではないこと。

懸賞金は事業所得として扱われ、最終的には力士自身の所得状況などに応じて税金が計算されます。

スポンサー企業にとっては、懸賞旗と場内放送による広告効果があり、力士にとっては勝利によって得られる収入があります。

つまり、懸賞金は単なる勝利ボーナスではなく、企業の広告活動と大相撲の興行、力士の収入を結び付ける仕組みです。


【相撲の懸賞金に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:相撲の懸賞金は1本いくらですか?

A1:2026年現在、1本7万円(税込)です。勝った力士の獲得分は6万円、日本相撲協会の手数料は1万円です。

Q2:懸賞金の現金は3万円ですか、1万円ですか?

A2:2025年5月の夏場所から1万円に変更されています。以前は3万円でした。残り5万円は本人名義の口座への振込分です。

Q3:懸賞金を15本出すにはいくら必要ですか?

A3:1本7万円なので、15本で105万円(税込)です。1日1本以上、1場所15本以上という申込条件があります。

Q4:懸賞金の納税充当金は力士が自由に使えますか?

A4:納税資金などに備えて管理される本人名義の資金です。報道によると所定の手続きを踏めば引き出すこともできます。ただし、税金の支払いが不要になるわけではありません。

Q5:懸賞金は幕内以外の力士にも付きますか?

A5:付きません。日本相撲協会の規定では、懸賞を申し込めるのは幕内の取組に限られています。

Q6:懸賞旗に企業名が書かれているのはなぜですか?

A6:スポンサーの広告宣伝のためです。提供者名は当日の取組表に掲載され、取組直前には場内放送でも読み上げられます。


まとめ:相撲の懸賞金は7万円、力士の獲得分は6万円

2026年現在、大相撲の懸賞金は1本7万円(税込)です。そのうち6万円が勝ち力士の獲得分となり、1万円が日本相撲協会の手数料として使われます。

【検証資料 1】相撲の懸賞金の当時の様子・関連報道写真(出典:Yahoo!ニュース)

2025年5月からは受け取り方法が変更され、力士が土俵上で受け取る現金は1万円、残り5万円は本人名義の口座への振込分となりました。以前の現金3万円という情報と混同しないことが大切です。

また、2026年9月場所では実際の懸賞掲出本数が3688本に達し、過去最多を更新しました。大の里が698本を獲得するなど、企業スポンサーと力士を結び付ける懸賞制度は、大相撲の興行を支える大きな存在になっています。

次に大相撲を観戦するときは、土俵を回る懸賞旗の企業名や、勝利後に受け取る懸賞袋にも注目してみてください。7万円の広告費が、どのように力士の収入につながっているのかを知ると、取組前後の風景も違って見えてきます。