【出場決定の理由】南米予選6位で16年ぶりのワールドカップ復帰
パラグアイ代表が2026年大会への切符を手にしたのは、2025年9月4日。アスンシオンで行われたエクアドル戦を0-0で引き分け、南米予選の残り1試合を残して本大会出場を確定させた。
パラグアイにとって、これは2010年南アフリカ大会以来、実に16年ぶりのワールドカップ出場だった。2014年ブラジル大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会では出場を逃しており、長い低迷期を経ての復帰だった。
CONMEBOL南米予選で6位に入れた背景

2026年大会の南米予選では、参加する10か国がホームとアウェーでそれぞれ対戦する18試合制が採用された。
大きな変更点は、48か国に拡大した本大会の出場枠だ。CONMEBOLには6つの直接出場枠が与えられ、7位のチームには大陸間プレーオフへの進出権が用意された。
パラグアイは2024年8月に就任したグスタボ・アルファロ監督の下でチームを再建。ブラジルに1-0、アルゼンチンに2-1で勝利するなど、南米の強豪から勝ち点を獲得した。
エクアドル戦で出場権を確定させた後、最終節ではペルーにも1-0で勝利。マティアス・ガラルサが78分に決勝点を挙げ、予選を好成績で締めくくった。
最終順位は18試合7勝7分け4敗、勝ち点28の6位。得点14、失点10、得失点差プラス4という成績だった。
2026年南米予選の最終順位

| 順位 | 国 | 勝ち点 | 得失点差 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | アルゼンチン | 38 | +21 | 本大会出場 |
| 2位 | エクアドル | 29 | +9 | 本大会出場 |
| 3位 | コロンビア | 28 | +10 | 本大会出場 |
| 4位 | ウルグアイ | 28 | +10 | 本大会出場 |
| 5位 | ブラジル | 28 | +7 | 本大会出場 |
| 6位 | パラグアイ | 28 | +4 | 本大会出場 |
| 7位 | ボリビア | 20 | -18 | プレーオフ進出 |
特筆すべきは、パラグアイが6位で終えたことだけではない。ブラジル、アルゼンチンといった強豪を相手に勝利を収め、勝ち点を積み上げた点にある。
出場枠の拡大は確かに追い風だった。しかし、直接出場枠を確保したのは予選を通じた勝ち点の積み重ねがあったからだ。
【チーム再建の立役者】グスタボ・アルファロ監督と2026年代表の強み

監督就任:2024年8月19日
アルゼンチン出身の指導者。コスタリカ代表などの指導経験を持ち、パラグアイ代表の守備組織とチーム全体の戦い方を立て直した。
パラグアイの復活を語るうえで欠かせないのが、アルファロ監督の存在だ。
2024年8月19日にダニエル・ガルネロ監督の後任として就任。それまで結果が安定しなかった代表チームに、守備の規律と組織的な戦い方を持ち込んだ。
FIFAの大会関連記事では、アルファロ監督が南米予選で指揮した12試合における失点はわずか7と紹介されている。
これは、パラグアイの再建を象徴する数字だ。攻撃力だけで勝負するのではなく、相手に自由なスペースを与えず、少ないチャンスを確実に生かすスタイルを確立した。
注目された主力選手
攻撃の中心を担うアタッカー。ドイツ戦では42分に先制点を記録し、決勝トーナメントでも存在感を示した。
中盤から攻撃をつなぐ経験豊富な選手。エンシソとの連係や前線への展開で重要な役割を担った。
守備陣を統率するキャプテン。最終ラインの安定感を支えた中心人物の一人。
ゴールキーパー。ドイツ戦のPK戦での活躍やフランス戦の好セーブなど、決勝トーナメントで大きな存在感を示した。
アルファロ監督のチームづくりで特徴的なのは、4-4-2を基本とするコンパクトな陣形だ。守備時には選手間の距離を縮め、中央のスペースを消す。ボールを奪った後はアルミロンやエンシソを起点に素早く攻撃へ移行する。
一方、守備を優先する戦術には攻撃の選択肢が限定されやすいという弱点もある。2026年大会でも、この長所と短所がはっきり表れた。
【グループD全試合結果】アメリカに敗れるもトルコ撃破で突破への道を開く
パラグアイは2026年大会でグループDに入り、開催国のアメリカ、トルコ、オーストラリアと対戦した。
初戦で大敗を喫したものの、第2戦で勝利を挙げ、最終戦では引き分け。結果的に1勝1分け1敗の勝ち点4でグループ3位となった。
パラグアイ代表のグループD試合結果
| 日付 | 対戦相手 | スコア | 試合のポイント |
|---|---|---|---|
| 6月12日 | アメリカ | 1-4 ● | 開幕戦で4失点 |
| 6月19日 | トルコ | 1-0 ○ | ガラルサが先制点 |
| 6月25日 | オーストラリア | 0-0 △ | 守備で勝ち点1を獲得 |
第1戦:パラグアイ対アメリカは1-4で敗北
2026年6月12日、ロサンゼルスで行われた初戦は、開催国アメリカに1-4で敗れた。
試合序盤の7分、パラグアイのダミアン・ボバディージャのオウンゴールで先制を許すと、31分と前半アディショナルタイムにフォラリン・バログンが連続得点。前半だけで3点を失う苦しい展開になった。
後半73分にはマウリシオが1点を返したものの、試合終了間際の90分+8分にジョバンニ・レイナにも得点を許した。
初戦の結果は、守備を強みとするパラグアイにとって厳しいものだった。特に、アメリカのスピードを生かした攻撃への対応が課題として残った。
第2戦:パラグアイ対トルコは1-0で勝利
6月19日のトルコ戦では、パラグアイが本来の持ち味を発揮した。
試合開始直後の64秒、マティアス・ガラルサがゴールを決め、パラグアイが先制。その後は守備を固め、トルコの攻撃を封じ込めた。
FIFAの試合レポートによると、トルコは30本を超えるシュートを放ったが、パラグアイのGKオルランド・ヒルを中心とする守備陣が最後までゴールを許さなかった。
この試合ではアルミロンが退場処分を受ける厳しい状況もあったが、チームはリードを守り切った。
初戦の大敗から立て直し、勝ち点3を獲得したことは、グループ突破に向けた大きな転換点だった。
第3戦:パラグアイ対オーストラリアは0-0
6月25日の最終戦では、オーストラリアと対戦。結果は0-0の引き分けだった。
オーストラリアは右サイドを中心に攻撃を仕掛け、パラグアイの守備を揺さぶった。一方のパラグアイも後半に選手交代で流れを変えようとしたが、最後まで得点には至らなかった。
この引き分けによってオーストラリアはグループ2位で決勝トーナメント進出を確定。パラグアイは3位となり、他グループの結果を待つことになった。
最終的にパラグアイは勝ち点4を獲得し、各グループ3位の上位8チームに入ったため、ラウンド32への進出が決まった。
ここで押さえておきたいのは、パラグアイはグループ2位で突破したわけではないという点だ。
2026年大会は48か国参加の新方式で、12グループの上位2チームに加え、3位のうち成績上位8チームも決勝トーナメントへ進める仕組みだった。
パラグアイはこの制度を利用して次のステージへ進み、そこでドイツとの歴史的な一戦を迎えた。
【ドイツ戦のPK勝利】パラグアイが4度の優勝国を破った歴史的試合
2026年6月29日、パラグアイはラウンド32でドイツと対戦した。
ドイツはワールドカップ優勝4回を誇る強豪。戦力や大会実績を考えれば、パラグアイにとって非常に厳しい相手だった。
しかし、アルファロ監督が築いた守備組織が、ここでも力を発揮した。
120分間の戦いは1-1
試合は前半42分、フリオ・エンシソのゴールでパラグアイが先制した。
ドイツは後半54分、カイ・ハフェルツの得点で同点に追いつく。その後はドイツがボールを支配する時間が長くなったものの、パラグアイは粘り強い守備を続けた。
延長戦でも決着はつかず、試合はPK戦へ進んだ。
PK戦はパラグアイが4-3で制す
PK戦では、ドイツのハフェルツのキックをGKオルランド・ヒルがセーブするなど、パラグアイが粘りを見せた。
最後はホセ・カナレが決定的なキックを成功させ、パラグアイが4-3で勝利した。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 対戦日 | 2026年6月29日 |
| 対戦カード | ドイツ対パラグアイ |
| 90分・延長戦 | 1-1 |
| ドイツの得点 | ハフェルツ(54分) |
| パラグアイの得点 | エンシソ(42分) |
| PK戦 | ドイツ3-4パラグアイ |
| 勝利チーム | パラグアイ |
| 次の対戦 | フランス |
FIFAの公式試合レポートは、この勝利をパラグアイにとって歴史的な快挙として伝えた。ドイツサッカー連盟も、PK戦での敗退を受けて自国代表の大会終了を発表している。
ドイツ戦で評価された3つのポイント
1. エンシソの決定力
相手にボールを持たれる展開でも、限られた攻撃機会から先制点を奪った。エンシソの個人能力が、守備中心のチームに必要な得点力をもたらした。
2. オルランド・ヒルの存在感
ドイツの攻撃をしのぎ、PK戦でも重要な役割を果たした。守備組織だけでなく、最後の砦となるGKの働きも勝利の大きな要因だった。
3. チーム全体の結束
相手の攻撃を個人技で止めるのではなく、複数の選手が連動して守る。アルファロ監督が積み上げてきた戦術が、世界的な強豪を相手に結果として表れた。
なお、このドイツ戦はラウンド16ではなく、ラウンド32の試合である。ここに勝利したことで、パラグアイは初めてラウンド16へ進んだ。
【フランス戦の結果】0-1で惜敗、パラグアイの挑戦はベスト16で終了
ドイツ撃破の勢いを持ってラウンド16に進んだパラグアイ。次の相手は、キリアン・エムバペを擁するフランスだった。
試合は2026年7月4日、フィラデルフィアで開催された。
エムバペのPKが勝負を決める
フランスはボールを支配しながら攻撃を仕掛けたものの、パラグアイの守備を簡単には崩せなかった。
前半はパラグアイがコンパクトな守備陣形を維持し、フランスの攻撃を抑え込んだ。GKオルランド・ヒルも好セーブを見せ、相手に決定的な得点機会を与えなかった。
しかし、後半69分に試合が動く。
フランスのデジレ・ドゥエがペナルティーエリア内で倒され、VARによる確認を経てフランスにPKが与えられた。
キッカーを務めたエムバペがこれを成功させ、フランスが先制。その後、パラグアイは反撃を試みたものの、最後まで同点ゴールを奪えなかった。
試合はパラグアイ0-1フランスで終了した。
敗戦でも評価された守備力
この試合で注目したいのは、パラグアイがフランス相手に長時間失点を防いだことだ。
フランスにはエムバペをはじめ、個人で局面を打開できる選手がそろっていた。それに対してパラグアイは、人数をかけた守備と選手間の連係で対抗した。
FIFAの試合レポートでは、オルランド・ヒルがこの試合のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出されている。
一方、攻撃面では課題も残った。ドイツ戦ではカウンターから得点できたが、フランス戦では相手の守備を崩すための攻撃のバリエーションが十分ではなかった。
つまり、守備の完成度は高かったものの、優勝候補クラスを相手に勝ち切るには攻撃力の底上げが必要だったということだ。
パラグアイの2026年大会は、このラウンド16で幕を閉じた。
【歴代ワールドカップ成績】2010年南アフリカ大会のベスト8を超えられたのか
パラグアイ代表のワールドカップ史を振り返ると、2026年大会の成果をより正確に評価できる。
パラグアイが初めてワールドカップに出場したのは1930年のウルグアイ大会。以降、1950年、1958年、1986年、1998年、2002年、2006年、2010年、2026年と、通算9大会に出場している。
その中でも歴史的な転換点となったのが、2010年南アフリカ大会だ。
2010年大会で初のベスト8進出
2010年のパラグアイは、グループFでイタリア、ニュージーランド、スロバキアと対戦した。
イタリアとニュージーランドには引き分け、スロバキアには勝利。グループ首位で決勝トーナメントへ進んだ。
ラウンド16では日本と対戦し、延長戦を含む120分間で決着がつかず、PK戦へ突入。パラグアイが5本すべてを成功させ、日本の失敗によって勝ち上がった。
準々決勝の相手は、後に大会を制するスペインだった。
2010年7月3日の試合では、パラグアイがスペインを相手に互角に近い戦いを展開。オスカル・カルドソがPKを失敗する一方、スペインのシャビ・アロンソのPKもGKフスト・ビジャールが阻止するなど、緊迫した試合になった。
最後は83分にダビド・ビジャが得点し、スペインが1-0で勝利。パラグアイの挑戦は準々決勝で終わった。
それでも、ワールドカップ初のベスト8進出という歴代最高成績を残した。
2010年と2026年の成績比較
| 比較項目 | 2010年南アフリカ大会 | 2026年大会 |
|---|---|---|
| 出場までの経緯 | 南米予選を突破 | 南米予選6位 |
| グループステージ | 首位通過 | 3位通過 |
| 決勝トーナメント | 日本にPK勝利 | ドイツにPK勝利 |
| 最高到達地点 | 準々決勝 | ラウンド16 |
| 最終結果 | スペインに0-1で敗北 | フランスに0-1で敗北 |
| 歴史的な意味 | 初のベスト8 | 16年ぶりの本大会復帰 |
2026年大会は歴代最高成績を更新したのか
答えは、更新していない。
2010年大会は準々決勝、2026年大会はラウンド16で敗退しているため、歴代最高成績は引き続き2010年のベスト8だ。
ただし、2026年大会には別の意味がある。
16年ぶりに本大会へ復帰し、ドイツという世界的強豪をPK戦で撃破した。しかも、2010年大会と同じように決勝トーナメントでPK戦を制し、勝ち上がった。
この点はパラグアイのサッカー文化を象徴する出来事でもある。守備の粘り、最後まで諦めない姿勢、そして接戦での精神的な強さは、2010年と2026年の両大会に共通している。
一方で、準々決勝進出という結果では2010年に及ばなかった。ドイツ撃破のインパクトだけで、歴代最高成績を塗り替えたと評価するのは正確ではない。
【よくある質問】パラグアイワールドカップ2026に関するFAQ
Q1:パラグアイ代表は2026年ワールドカップに出場できましたか?
A1:出場しました。2025年9月4日にエクアドルと0-0で引き分け、16年ぶりの本大会出場を決定。南米予選は最終的に6位、勝ち点28で終えました。
Q2:パラグアイは2026年大会でどこまで勝ち進みましたか?
A2:ラウンド16、いわゆるベスト16まで進出しました。ラウンド32でドイツをPK戦4-3で破りましたが、ラウンド16でフランスに0-1で敗れました。
Q3:パラグアイ対ドイツのPK戦は何対何でしたか?
A3:延長戦まで1-1で、PK戦はパラグアイが4-3で勝利しました。エンシソが42分に先制し、ドイツのハフェルツが54分に同点ゴールを決めています。最後はホセ・カナレが決定的なPKを成功させました。
Q4:パラグアイのワールドカップ歴代最高成績は何位ですか?
A4:2010年南アフリカ大会のベスト8、準々決勝進出です。2026年大会はベスト16だったため、歴代最高記録の更新には至りませんでした。
Q5:2026年大会のパラグアイ代表監督は誰でしたか?
A5:アルゼンチン出身のグスタボ・アルファロ監督です。2024年8月に就任し、守備組織の再建を進めて南米予選突破とワールドカップでのドイツ撃破を実現しました。
まとめ:パラグアイ代表の2026年大会は復活と課題を示した大会
2026年のパラグアイ代表は、16年ぶりにワールドカップへ復帰し、グループDを3位で通過。ラウンド32ではドイツをPK戦で破り、ラウンド16ではフランスと対戦した。
最終的な結果はベスト16。2010年南アフリカ大会のベスト8には届かなかったものの、ドイツ撃破は国際舞台での存在感を改めて示す勝利だった。
今大会の評価を整理すると、次の3点が重要になる。
- 守備力: アルファロ監督が築いた組織的な守備は、ドイツやフランスを相手に十分な競争力を示した。
- 精神力: ドイツとのPK戦を制したことは、パラグアイの粘り強さを象徴する成果だった。
- 攻撃力: 強豪相手に得点機会を増やし、守備一辺倒にならずに勝ち切る力が今後の課題として残った。
パラグアイにとって2026年大会は、単なる16年ぶりの出場ではない。2010年に築いた歴史を振り返りながら、新しい世代が国際舞台で結果を残した大会でもあった。
今後の評価では、ドイツに勝ったという一試合のインパクトだけでなく、南米予選から続くチームの成長、グループステージの戦績、そしてフランス戦で露呈した攻撃面の課題まで見る必要がある。
パラグアイの2026年大会は、歴代最高成績の更新こそ逃したものの、世界の強豪と再び対等に戦うための土台を示した復活の大会だった。