【人物評価】鈴木英春は将棋界でどのような存在なのか
鈴木英春氏を評価するとき、単純にプロ棋士になれなかった元奨励会員という肩書きだけでは、その実像を捉えきれない。
奨励会三段まで到達した棋力を持ちながら、プロ入りの年齢制限に阻まれた。その後、自らの研究から独自戦法を生み出し、全国規模のアマチュア大会で実績を残した。さらに、戦法を本にまとめ、後進の指導にも力を注いできた。
将棋界における鈴木氏の特徴は、既存の定跡を学ぶだけでなく、自分なりの将棋の理論を構築して実戦で証明したことにある。
プロ棋士ではなく、実績あるアマチュア強豪

まず整理しておきたいのは、鈴木氏はプロ棋士ではないという点だ。奨励会三段まで昇段したものの、1981年に年齢制限によって退会している。
一方で、アマ王将2連覇やグランドチャンピオン戦優勝など、アマチュア棋界での実績は非常に大きい。プロ棋士という資格を持たないことと、将棋の実力や研究者としての価値は別の問題だ。
マイナビ出版の2019年刊行書では、鈴木氏をアマ棋界のレジェンドとして紹介し、独自戦法とタイトル実績を取り上げている。プロ入りの成否だけでは測れない将棋人生を歩んだ人物だ。
英春流の評価ポイントは「独創性」と「実戦性」

英春流の価値は、珍しい初手を指すことだけではない。従来の定跡が前提としてきた考え方を見直し、別の駒組みや攻撃方法を組み立てた点にある。
特に、飛車先の歩交換を急がず、銀を中央へ進めるかまいたちの考え方は、相手に攻めさせてから反撃する将棋を好む人にとって興味深い。
また、カメレオン戦法では、序盤から自分の戦型を固定しない。相手の指し方を観察しながら戦術を変更するため、局面全体を見る力が求められる。
英春流が向いている人・注意したい人

英春流を学ぶのに向いている人
- 一般的な定跡とは異なる序盤の考え方を研究したい人
- 相手の攻めを受けてから反撃する将棋が好きな人
- 駒の配置や働きを重視したい人
- 居飛車・振り飛車の両方に対応できる戦法を研究したい人
- 独自の戦法を実戦で試すことが好きな人
注意したい人
- 定跡書の手順を覚えるだけで勝てる戦法を求める人
- 一般的な囲いや駒組みを優先したい人
- 相手の攻めを誘う展開に慣れていない人
- 局面ごとの判断より、決まった手順を重視したい人
特に初級者は、19手定跡だけを暗記しても、相手が違う対応を選んだ場合に困ってしまう可能性がある。最初は基本的な銀の動きや囲い、攻めと受けの切り替え方を理解することが大切だ。
【プロの結論】鈴木英春の将棋人生から見える英春流の本質
鈴木英春氏の経歴には、将棋の世界で一つの道を断たれた後、別の道を自ら切り開いたという特徴がある。
15歳で奨励会に入り、三段まで昇段。31歳で年齢制限による退会を経験し、その後3年間の空白を経て将棋界に復帰した。そして1987年、1988年のアマ王将連覇、1989年のグランドチャンピオン戦優勝へとつなげていった。
この歩みで注目すべきなのは、単に努力を続けたということではない。プロ棋士を目指して身につけた将棋の知識を、自分自身の戦法を作るために活用した点だ。
プロになれなかった経験が独自の戦法につながった
奨励会では、既存の将棋理論を理解し、その枠組みの中で勝ち続けることが求められる。一方、アマチュア大会では、相手の得意戦法を避けたり、独自の研究で相手の想定を外したりすることも勝負の大きな要素となる。
鈴木氏の英春流は、こうしたアマチュア将棋の勝負の場で独自性を発揮した。
かまいたち戦法の飛車先を急がない発想や、カメレオン戦法の変幻自在な駒組みには、相手の常識を利用して自分の得意な展開へ誘導するという共通点がある。
これは単なる奇襲とは異なる。相手が予想していない局面を作り、その局面で自分が持っている知識や経験を最大限に生かす戦い方だ。
76歳で続ける将棋普及の意味
2026年の鈴木氏は、YouTubeでの発信と金沢市での将棋指導という二つの活動を展開している。
とりわけ駒みらい将棋スクールの開講は、これまでの指導経験を次の世代へ伝える新しい機会となる。アマ王将を連覇した実戦経験だけでなく、独自戦法を作り上げた思考過程を伝えられることが、鈴木氏ならではの強みだ。
石川県支部連合会の講師紹介では、アマ王将連覇に加え、朝日アマ名人全国大会優勝の実績も掲げられている。地域の将棋指導者としても、その経歴が評価されている。
将棋の普及において、強い人が指導することには大きな意味がある。しかし、それ以上に価値があるのは、なぜその手を選ぶのか、どうすれば自分で考えられるようになるのかを伝えることだ。
英春流が持つ独創性は、こうした指導の場でも生かされる可能性がある。
【鈴木英春に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:鈴木英春はプロ棋士ですか?
A1:プロ棋士ではありません。日本将棋連盟の奨励会で三段まで昇段しましたが、1981年に当時の年齢制限によって退会しています。その後はアマチュア将棋界で活躍しました。
Q2:鈴木英春が奨励会を退会した理由は何ですか?
A2:当時の年齢制限までに四段昇段を果たせなかったためです。奨励会三段リーグで規定の成績を残せず、1981年に退会しました。この時期の経緯はNHKの「名人への遠い道」でも取り上げられています。
Q3:かまいたち戦法の19手定跡とは何ですか?
A3:飛車先の歩交換を急がず、銀を中央に進出させて相手の攻めを誘い、角交換などから反撃する序盤構想です。特定の手順で相手が対応した場合、19手目の▲5五桂が攻めの決め手となります。
Q4:カメレオン戦法とかまいたち戦法の違いは何ですか?
A4:かまいたちは中央への銀の進出を基本とする戦法です。一方、カメレオンは相手の戦型を見ながら、棒玉やダブル銀、袖飛車などに柔軟に変化する戦法です。
Q5:鈴木英春は2026年現在、どこで将棋を教えていますか?
A5:2026年10月に開講した、石川県金沢市の「まなぶ将棋 駒みらい将棋スクール」で講師を務めています。指導対局や詰将棋、感想戦などを通じて、子どもから大人まで幅広い棋力の人を対象に指導しています。
Q6:晩成塾は現在も開いていますか?
A6:晩成塾は閉塾したことが地域の将棋ブログで紹介されています。2026年の新しい指導活動としては、駒みらい将棋スクールの開講が確認できます。
Q7:鈴木英春の将棋を学ぶには、どの本がおすすめですか?
A7:2019年11月刊行の『英春流 かまいたち&カメレオン戦法』(マイナビ出版)が代表的な一冊です。かまいたちの対居飛車・対振り飛車の考え方や、カメレオン戦法の実戦例を学べます。
まとめ:鈴木英春は独自の将棋を築いたアマ棋界のレジェンド
鈴木英春氏は、奨励会三段まで昇段しながら、1981年に年齢制限でプロ入りの夢を断たれた将棋指しだ。しかし、その後も将棋を続け、独自の英春流を生み出した。
1987年・1988年のアマ王将連覇、1989年のグランドチャンピオン戦優勝は、その研究が実戦でも通用することを示した重要な実績である。
かまいたち戦法の19手定跡は、既存の定跡の常識を疑う独創性を象徴する。一方、カメレオン戦法は、相手に合わせて陣形を変化させる柔軟な発想を示している。どちらも、英春流が単なる奇襲戦法ではないことを物語る。
2026年には、YouTubeでの将棋解説に加え、金沢市の駒みらい将棋スクールでの指導活動も始まった。76歳になっても新しい方法で将棋を伝え続けている点は、鈴木氏の現在を語るうえで見逃せない。
プロ棋士になることだけが、将棋人生の成功ではない。独自の戦法を考案し、全国大会で結果を残し、後進にその技術を伝える。鈴木英春氏の歩みは、将棋の可能性を自ら広げてきた一人の勝負師の記録である。
今後は駒みらい将棋スクールでの指導や動画発信を通じて、英春流の考え方がどのように次世代へ受け継がれていくのかにも注目したい。
主な参考資料
- 日本将棋連盟「アマ王将位大会 歴代優勝者一覧」
- 日本将棋連盟オンラインストア『英春流 かまいたち&カメレオン戦法』
- マイナビ出版「英春流 かまいたち戦法ってなぁに? 必殺19手定跡 驚異の破壊力」
- 版元ドットコム『英春流 かまいたち&カメレオン戦法』著者プロフィール
- 日本将棋連盟石川県支部連合会「まなぶ将棋 駒みらい将棋スクール」2026年9月4日発表
- 鈴木英春公式YouTubeチャンネル「鈴木英春 75歳の挑戦」
- 地域将棋ブログ「ののいち奇襲マニア」晩成塾・正林寺子ども将棋教室の紹介記事