【2026年最新】親の介護をしたくないのは冷たいから?高齢社会白書が示す現実

目次

親の介護に抵抗を感じる背景には、個人の性格だけでは説明できない事情があります。

代表的なのは、次の6つです。

親の介護をしたくないと感じる主な理由

親介護したくない

1.仕事や自分の生活を犠牲にしたくない

介護には、通院の付き添い、食事の準備、買い物、入浴や排せつの支援など、多くの時間が必要です。仕事を続けながら対応すれば、休日や自由時間が減り、自分の家庭生活にも影響します。

2.経済的な負担が大きい

介護用品、交通費、施設利用料、医療費などが重なると、家計への影響は小さくありません。親の年金や貯蓄だけでは不足する場合、子どもがどこまで負担するのかという問題も生じます。

3.親子関係に長年の問題がある

過去に虐待、暴言、過干渉、金銭問題などがあった場合、親の介護を引き受けること自体が精神的な苦痛になることがあります。

親だから無条件に愛情を持ち、介護をしたいと思わなければならないわけではありません。

4.きょうだいの間で負担が偏っている

遠方に住むきょうだいが協力せず、実家の近くに住む子どもだけが介護を担当するケースもあります。介護の実務だけでなく、親族間の調整そのものがストレスになることもあります。

5.自分自身の健康や年齢に不安がある

介護をする側も、体力や健康に限界があります。高齢の親を高齢の子どもが介護する「老老介護」では、介護する側が先に体調を崩す危険もあります。

6.自分の子どもや家庭を優先したい

育児、住宅ローン、仕事、配偶者との生活など、すでに多くの責任を抱えている人にとって、親の介護は新たな大きな負担です。

2026年版高齢社会白書から読み取れる介護の実態

内閣府の令和8年版高齢社会白書には、介護を取り巻く厳しい状況が数字で示されています。

統計項目 公表されている数値
要支援・要介護認定者数(2023年度) 695万2,000人
主な介護者のうち同居者 45.9%
主な介護者に占める女性 68.9%
介護・看護による離職者数 約10万6,000人
介護職員数(2024年度) ほぼ212万人台で横ばい

特に注目したいのは、介護者の男女比です。主な介護者の女性割合は68.9%で、男性の31.1%を大きく上回っています。

また、介護・看護による離職者の約75.3%は女性でした。

ただし、離職者数の約10万6,000人は2021年10月から2022年9月までの実績です。2026年に新たに発生した離職者数ではありません。白書に掲載された調査対象期間を区別して読む必要があります。

この数字から見えてくるのは、介護を家族の善意や個人の努力だけに任せることの難しさです。

親の介護をしたくないという気持ちは、必ずしも親を見捨てたいという意味ではありません。自分の生活を守りながら、親が安全に暮らせる方法を探したいという意思でもあります。


【民法877条を徹底解説】親の介護をしないと法律違反になる?

親の介護をしたくない人が最も気になるのは、法律上の責任ではないでしょうか。

「親の面倒を見ないと訴えられるのか」「介護を拒否したら犯罪になるのか」「子どもには親を施設に入れる義務があるのか」といった疑問があります。

ここで確認したいのが、民法877条です。

民法877条は親の扶養義務を定めている

民法877条1項には、次のように定められています。

直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

つまり、親と子どもは互いに扶養義務を負う関係です。親が経済的に困窮し、生活を維持できない状況になった場合、子どもにも扶養について考える法的な責任が生じる可能性があります。

しかし、ここで重要なのは、扶養義務と直接介護をする義務は同じではないという点です。

民法877条には、子どもが親と同居することや、自分の手で食事、入浴、排せつなどの介助をしなければならないという規定はありません。

親の扶養義務はどこまで及ぶ?

扶養の程度や方法については、民法879条が基準を定めています。

具体的には、次の事情などを考慮します。

- 親が生活するために必要な費用
- 親自身の年金や預貯金などの経済状況
- 子どもの収入や資産
- 子ども自身の生活費や扶養家族の有無
- その他の家庭事情

したがって、親に十分な収入や資産がある場合と、生活費にも困っている場合とでは、子どもに求められる扶養の内容が異なります。

子ども自身が低収入であったり、病気を抱えていたり、未成年の子どもを扶養していたりする事情も考慮されます。

扶養義務があるからといって、子どもが自分の生活を犠牲にして親の希望する生活水準をすべて維持しなければならないわけではありません。

きょうだいがいる場合、長男や長女だけが介護する必要はない

民法877条では、直系血族だけでなく兄弟姉妹も扶養義務者に含まれます。

そのため、長男だから、長女だから、実家に近いからという理由だけで、法的に介護の全責任を負うと決まっているわけではありません。

複数の扶養義務者がいる場合、民法878条では扶養の順位について、当事者間で協議できないときなどに家庭裁判所が定める仕組みがあります。

また、民法879条では、扶養を受ける側の必要性と扶養する側の資力などを考慮します。

例えば、次のような家庭事情が考えられます。

- 長男は遠方に住んでいるが、経済的な支援はできる。
- 長女は近所に住んでいるが、仕事と育児で時間がない。
- 次男は収入が少なく、金銭的な支援が難しい。
- きょうだいの一人が親の通院や行政手続きを担当できる。

全員が同じ金額を出すことや、同じ時間だけ介護することが法律で一律に決められているわけではありません。

話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の扶養請求調停や審判を利用できます。裁判所は、それぞれの経済状況や生活状況、親の意向などを考慮して解決を図ります。

介護放棄とネグレクトは何が違う?

もう一つ、区別しておきたいのが「介護放棄」と「ネグレクト」です。

介護放棄は一般的な表現であり、法律上の独立した犯罪名として使われるものではありません。一方、ネグレクトは高齢者虐待防止法でいう「養護を著しく怠ること」に該当する場合があります。

同法では、例えば次のような行為が高齢者虐待に該当し得るとされています。

- 高齢者を衰弱させるほど食事を与えない。
- 必要な介護をせず、長時間放置する。
- 同居人などによる虐待を放置する。
- 高齢者に対して著しく拒絶的な対応を続ける。

重要なのは、法律上の「養護者」は、実際に高齢者を養護している人を指すことです。

したがって、子どもが直接介護を引き受けず、介護保険サービスや施設などを手配して親の安全を確保することと、現に介護している人が必要な世話を著しく怠ることは、同じではありません。

親の介護を引き受けられない場合でも、親が食事や医療、生活の支援を受けられるように、市区町村や地域包括支援センターに相談することが大切です。


【親の介護をしない選択肢】地域包括支援センターと介護保険を活用する方法

親の介護を自分で行わない場合、現実的な選択肢になるのが介護保険サービスです。

介護は家族だけで担うものではありません。介護保険制度を利用すれば、専門職による訪問介護や通所介護、短期入所、施設サービスなどを組み合わせられます。

最初の相談先は地域包括支援センター

地域包括支援センターは、市区町村が設置主体となる高齢者の総合相談窓口です。

保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員などの専門職が配置され、高齢者の生活や健康、介護、権利擁護などについて相談を受け付けています。

主な相談内容は次のとおりです。

- 親の認知症が進み、日常生活が難しくなってきた。
- 親が一人暮らしをしていて心配。
- 自分では介護を続けられない。
- 親が介護サービスを拒否している。
- 施設に入所させたいが、手続きが分からない。
- きょうだいが介護に協力してくれない。

親の住民票がある地域を担当するセンターが基本的な相談先です。

まだ要介護認定を受けていない段階でも相談できます。

介護をする意思がないことや、自分の家庭を優先したいことも含めて、率直に事情を伝えて構いません。

要介護認定の申請方法と利用開始までの流れ

介護保険サービスを本格的に利用するためには、原則として要支援・要介護認定を受けます。

手続きは以下の順番で進みます。



市区町村の窓口に申請する

親が住んでいる市区町村の介護保険担当窓口に申請します。地域包括支援センターなどが申請を代行している場合もあります。


認定調査を受ける

市区町村の認定調査員が自宅などを訪問し、本人の身体状況や認知機能、日常生活の状態を確認します。


主治医意見書を作成してもらう

市区町村が主治医に依頼し、医学的な観点から本人の状態について意見書を作成してもらいます。


介護認定審査会で判定する

認定調査の結果と主治医意見書を基に審査し、要支援1・2、要介護1〜5などの区分を判定します。


ケアプランを作成してサービスを利用する

ケアマネジャーなどに相談し、本人の状態や希望に合った介護サービスを組み合わせます。

認定結果は、原則として申請から30日以内に通知されます。

なお、40〜64歳の人も、特定疾病が原因で介護が必要になった場合には、第2号被保険者として介護保険サービスの対象になることがあります。

家族が直接介護しなくても利用できるサービス



訪問介護

ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事、入浴、排せつなどの身体介護や、一定の生活援助を行います。


デイサービス(通所介護)

日中に施設へ通い、食事、入浴、機能訓練などを受けます。日中の見守りが必要な家庭にも役立ちます。


ショートステイ

短期間施設に宿泊し、介護や生活支援を受けます。家族が介護から離れる時間を確保する目的でも利用できます。


介護施設への入所

日常的な介護が必要な場合、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホームなどへの入所を検討できます。



これらを組み合わせれば、子どもが毎日実家に通ったり、親と同居したりしなくても介護体制を整えられる可能性があります。

ただし、サービスの利用には認定区分や利用条件があり、本人の状態や地域の事業所の受け入れ状況によっても異なります。


【介護費用ときょうだい問題】親の介護費用は誰が払う?施設入所の考え方

親の介護をしたくない人にとって、身体的な負担と同じくらい大きな問題が費用です。

「親の介護費用は子どもが払うのか」「長男がすべて負担するのか」「きょうだいで均等に分けるべきなのか」という疑問は、早い段階で整理しておきたいところです。

親の介護費用は誰が払うのか

介護費用については、まず親本人の年金や預貯金、その他の資産、介護保険の給付などを確認します。

介護保険サービスを利用した場合、原則としてサービス費用の1割が自己負担となり、一定以上の所得がある人は2割または3割負担です。

ただし、施設サービスの場合は、介護サービスの自己負担以外にも次の費用が発生します。

- 食費
- 居住費
- 日常生活費
- 理美容代などの実費
- 施設によっては入居一時金など

また、所得などの条件によって、食費や居住費の軽減制度、高額介護サービス費制度を利用できる場合があります。

子どもが親の介護費用をすべて自動的に負担するという一律のルールはありません。

ただし、親の資産だけで生活を維持できない場合には、民法877条に基づく扶養義務が問題になる可能性があります。その際も、扶養義務者それぞれの資力や生活状況などが考慮されます。

老人ホーム・介護施設の入所費用と特徴

施設を選ぶときは、費用だけでなく、入所条件や提供されるサービスを比較することが重要です。

施設の種類 主な特徴 費用面の注意点
特別養護老人ホーム 原則として要介護3以上が対象。長期的な生活・介護の場 公的施設で比較的費用を抑えやすいが、待機が発生する場合もある
介護老人保健施設 医療・看護・リハビリを受けながら在宅復帰を目指す 入所目的や利用期間を確認する
介護医療院 長期的な療養や医療的ケアが必要な人を対象とする 医療・介護の必要性によって条件が異なる
介護付き有料老人ホーム 施設の介護体制に応じた生活支援を受ける 月額費用や入居一時金に施設ごとの差がある
サービス付き高齢者向け住宅 高齢者向けの賃貸住宅。安否確認や生活相談などを提供 介護サービスの内容や追加費用を確認する

特別養護老人ホームは原則要介護3以上が対象ですが、一定の事情がある場合には要介護1・2でも特例入所が認められることがあります。

介護老人保健施設は、リハビリなどを通じて在宅復帰を目指す施設であり、長期居住を前提とする施設とは目的が異なります。

施設費用は、要介護度、所得、居室の種類、地域、施設独自の料金設定などによって変わります。広告に掲載された月額料金だけで判断せず、食費や居住費、医療費、追加サービス料を含めた総額を確認しましょう。

きょうだい間で介護を分担する方法

きょうだいが複数いる場合、最初に決めておきたいのは「誰が介護するか」ではなく、「何を誰が担当するか」です。

例えば、次のように役割を分けられます。

関係者 主な役割 負担を減らすポイント
親本人 生活費や介護費用の確認、サービス利用の意思表示 本人の希望と経済状況を尊重する
近くに住む子ども 必要に応じた訪問、緊急時の対応 毎日の介護まで抱え込まない
遠方に住むきょうだい 費用の相談、電話連絡、行政手続きの補助 距離があってもできる役割を担う
その他のきょうだい 通院付き添い、書類整理、施設探し 得意分野や生活状況に応じて分担する
地域包括支援センター 相談、制度案内、関係機関との連携 家族だけで解決しようとしない
ケアマネジャー ケアプラン作成、介護サービスの調整 専門職に介護の実務をつなぐ

この表から分かるように、介護は必ずしも身体的な介助だけで成り立っているわけではありません。

金銭的な支援、行政手続き、施設の情報収集、緊急連絡先の担当など、さまざまな関わり方があります。

きょうだい間で話し合う際は、次の4項目を具体的に決めるとよいでしょう。

1. 毎月の介護費用を誰がどの程度負担するか。
2. 通院や緊急時の連絡を誰が担当するか。
3. 介護サービスや施設との連絡窓口を誰にするか。
4. 親の状態が変化した場合、いつ誰が判断するか。

介護をしている人だけが時間もお金も負担する形にならないよう、役割を明確にすることが大切です。


【介護離職を防ぐ方法】介護休業・介護休暇は2026年も利用できる

親の介護をしたくない理由の一つが、仕事を辞めたくないという問題です。

仕事を続けることは、自分の生活を守るだけでなく、将来の経済的な安定にもつながります。

厚生労働省は、介護休業を単に自分で介護するための休みではなく、仕事と介護を両立する体制を整えるための期間として位置づけています。

介護休業は対象家族1人につき通算93日

育児・介護休業法に基づく介護休業では、一定の要件を満たす労働者が、対象家族1人につき通算93日まで休業できます。

この93日は、最大3回に分けて取得できます。

対象家族には、自分の父母や配偶者の父母などが含まれます。

介護休業の対象となるのは、正社員だけではありません。パートやアルバイト、有期雇用労働者も、法律で定められた条件を満たせば対象になります。

ただし、労使協定によって対象外となる場合などもあるため、勤務先の制度を確認してください。

介護休暇は年5日または10日

介護休業とは別に、介護休暇という制度もあります。

項目 内容
対象家族が1人 年5日まで
対象家族が2人以上 年10日まで
取得単位 1日または時間単位
主な利用目的 通院付き添い、介護サービスの手続き、ケアマネジャーとの面談など

介護休暇は、短時間の対応が必要な場合に便利です。

例えば、親の通院に付き添うために半日だけ休む、介護認定の調査に立ち会うために数時間休むといった使い方が考えられます。

2025年4月からは、介護休暇について、労使協定によって勤続6か月未満の労働者を対象外とする仕組みも廃止されています。ただし、週の所定労働日数が2日以下の労働者は、労使協定による除外の対象となる場合があります。

介護休業給付金は賃金の67%相当

雇用保険の被保険者で、一定の受給要件を満たす場合、介護休業給付金を受け取れます。

支給額は原則として、休業開始時賃金日額に支給日数を掛けた金額の67%相当です。

ただし、支給上限があり、休業中に賃金が支払われた場合には減額されることがあります。

また、雇用保険の被保険者期間などの条件もあります。詳細はハローワークで確認してください。

2025年の法改正で会社側の対応義務も強化

2025年4月1日から施行された改正育児・介護休業法では、介護離職を防ぐための会社側の対応が強化されました。

主な変更点は次のとおりです。

- 介護に直面した労働者への制度の個別周知と利用意向の確認。
- 介護休業などを利用しやすくするための雇用環境整備。
- 40歳など、介護に直面する前の段階での制度情報の提供。
- 介護をする労働者がテレワークを選択できるようにする事業主の努力義務。

会社には、研修や相談窓口の設置など、介護と仕事の両立を支援するための措置が求められています。

つまり、2026年現在は、介護に直面した従業員が一人で制度を調べて対応するだけでなく、企業側にも情報提供や相談体制の整備が求められているのです。

介護離職を防ぐために実践したい5つのこと

1. 親の介護が始まったら、早めに会社の人事・総務部門へ相談する。
2. 地域包括支援センターに相談して介護保険サービスを手配する。
3. 介護休業を利用して、家族だけに頼らない支援体制を整える。
4. 時短勤務や残業免除、テレワークなどの制度を確認する。
5. きょうだいと役割を分け、自分だけが介護の窓口にならないようにする。

介護のために仕事を辞めてしまうと、収入だけでなく、将来の年金やキャリアにも影響する可能性があります。

介護休業を取得して自分がすべて介護するのではなく、専門職や介護サービスを活用できる体制を作ることが、離職防止の重要なポイントです。


【プロの結論】親の介護を引き受けない選択は、自分と親の生活を守るための判断

親の介護をしたくないと感じたとき、最初に考えるべきなのは、自分が冷たい人間かどうかではありません。

親に必要な支援を確保しながら、自分の生活をどのように維持するかです。

介護の現場で重要なのは、家族が直接介護することだけではなく、本人の安全と生活の継続を実現することです。

親の介護を自分で引き受けない方がよいケース

次のような状況では、家族が無理に介護を続けるより、外部の専門職に任せる方法を優先的に検討したいところです。

- 親との関係が悪く、介護によって精神的に不安定になる。
- 仕事を辞めなければ介護できない状態になっている。
- 自分自身が病気や障害を抱えている。
- 介護によって配偶者や子どもの生活に深刻な影響が出ている。
- 身体介護の知識や技術がなく、安全に対応できない。
- 介護を続けることで親子双方に強いストレスが生じている。

こうした場合は、訪問介護、デイサービス、ショートステイ、施設入所などを組み合わせる方法が考えられます。

逆に、家族の関与が必要になるケース

一方、家族の関与を完全になくすことが難しい状況もあります。

- 親が認知症などでサービス利用の判断が難しい。
- 緊急時の連絡先や医療上の意思決定について調整が必要。
- 親の資産や支払いについて確認が必要。
- 施設への入所や転居に関して本人との話し合いが必要。
- 介護サービスだけでは生活上の問題を解決できない。

この場合も、家族が直接介護することだけが解決策ではありません。

ケアマネジャー、地域包括支援センター、医療機関、行政の福祉担当者などと連携することで、家族が担う役割を必要な範囲に絞ることができます。

親の介護をしたくない人が最初に取るべき行動

具体的には、次の順番で進めると整理しやすくなります。



親の現在の生活状況を把握する

食事、入浴、通院、買い物、金銭管理など、どの部分に支援が必要なのか確認します。


地域包括支援センターに相談する

自分が直接介護を担えないことも含め、利用できる制度やサービスを相談します。


介護保険の認定を申請する

必要に応じて要介護認定を受け、介護サービスの利用を進めます。


親の資産と介護費用を確認する

年金、預貯金、保険、介護保険の自己負担額などを整理します。


きょうだいと役割を調整する

金銭、連絡、通院、行政手続きなどを分け、自分一人に負担が集中しないようにします。

最も避けたいのは、介護をしたくないという気持ちを誰にも相談できず、問題を先送りにしてしまうことです。

親の生活に危険が迫っている場合は、本人の安全を確保するため、自治体や地域包括支援センターに早急に相談してください。


【親の介護をしたくない】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:親の介護をしないと法律違反になりますか?

A1:親子には民法877条に基づく扶養義務がありますが、子どもが必ず同居して直接介護しなければならないという規定はありません。扶養の内容や程度は、親の必要性や子どもの経済状況などを踏まえて判断されます。介護保険サービスや施設を利用することも選択肢です。

Q2:親の介護を拒否したら親から訴えられますか?

A2:親が子どもに扶養を求めることはあり得ます。ただし、扶養義務があることと、子どもが直接介護をしなければならないことは別問題です。扶養料などについて話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の扶養請求調停や審判で解決を図ることができます。

Q3:親の介護費用は長男が全額払う必要がありますか?

A3:長男だから全額負担しなければならないという一律の法律上の決まりはありません。親本人の年金や資産、扶養義務者それぞれの経済状況などを考慮します。きょうだい間で費用や役割を話し合い、必要に応じて家庭裁判所の手続きを利用する方法もあります。

Q4:親の介護をしたくない場合、最初にどこへ相談すればよいですか?

A4:親が住んでいる地域を担当する地域包括支援センターがおすすめです。要介護認定の申請、介護保険サービス、施設入所、家族の負担軽減などについて相談できます。認定を受ける前でも相談可能です。

Q5:親を老人ホームに入れれば、自分は介護しなくてもよいですか?

A5:施設に入所すれば、日常的な身体介護や生活支援を施設の職員に任せられる場合があります。ただし、契約や費用の管理、緊急時の連絡など、家族に協力が求められることもあります。本人の状態や施設の契約内容を確認しましょう。

Q6:介護を理由に会社を辞めずに済む制度はありますか?

A6:介護休業、介護休暇、短時間勤務、残業免除などの制度があります。介護休業は対象家族1人につき通算93日まで、最大3回に分割して取得できます。一定の要件を満たせば介護休業給付金も受け取れます。


まとめ:親の介護をしたくないなら、家族だけで抱え込まない仕組みを作る

親の介護をしたくないと感じることは、必ずしも親への愛情がないことを意味しません。

仕事、自分の家庭、経済状況、過去の親子関係、健康状態など、介護を引き受けられない事情は人それぞれです。

2026年版高齢社会白書が示すように、要支援・要介護認定者は695万人を超え、家族の介護や看護による離職も大きな社会問題になっています。

知っておきたいポイントは次の5つです。

- 民法877条: 親子には扶養義務があるが、必ず直接介護をするという意味ではない。
- 介護保険制度: 訪問介護、デイサービス、ショートステイ、施設入所などを活用できる。
- 地域包括支援センター: 介護を引き受けられない事情も含めて相談できる。
- きょうだい間の分担: 長男や長女だけに責任を集中させず、経済状況や生活事情に応じて役割を決める。
- 仕事と介護の両立: 介護休業や介護休暇、給付金などを活用して介護離職を防ぐ。

親の介護をすべて自分で引き受けることだけが、親孝行ではありません。

親が必要な支援を受けられる環境を整え、自分自身の生活や健康も守ることが大切です。

「自分が介護するか、親を見捨てるか」という二択で考える必要はありません。

公的な制度や専門職、介護施設、きょうだいとの協力を組み合わせ、自分だけが犠牲にならない介護の形を見つけてください。