【マーガリンとバターのトランス脂肪酸を比較】健康面で選ぶならどっち?

目次

マーガリンとバターの比較で見落とされがちなのが、両方にトランス脂肪酸が含まれるという事実です。

大きな違いは、原料と生成される過程にあります。

トランス脂肪酸の由来が異なる

マーガリントランス脂肪酸

マーガリンは、主に大豆油や菜種油などの植物油脂を原料に製造されます。精製工程や油脂加工工程で微量のトランス脂肪酸が生成されることがあります。

一方、バターは牛乳などから得られる乳脂肪を原料とします。

牛や羊などの反すう動物は、胃の中にいる微生物の働きによって天然のトランス脂肪酸を生成します。そのため、バターや牛乳などの乳製品にも天然由来のトランス脂肪酸が含まれています。

数値で見るとバターのほうが安全なのか

農林水産省の平成18・19年度調査では、バターのトランス脂肪酸含有量の中央値は1.9g/100g、マーガリンは8.7g/100gでした。

当時はマーガリンのほうが高い傾向にありました。

しかし、ここには重要な注意点があります。

平成26・27年度調査では、天然由来のトランス脂肪酸のみを含むと考えられるバターや牛肉は調査対象から除外されています。令和4・5年度調査でも、一般的なバターの数値は掲載されていません。

したがって、2026年現在のマーガリン0.65gと、2006~2007年度のバター1.9gを並べて、現在の両者の優劣を判断することはできません。

マーガリンとバターの比較表

比較項目 マーガリン バター
主な原料 植物油脂 乳脂肪
トランス脂肪酸の主な由来 油脂の精製・加工 反すう動物由来
トランス脂肪酸 商品によって異なる 天然由来のものを含む
飽和脂肪酸 商品によって異なる 多く含む
製造方法 乳化・冷却・練り合わせなど 乳脂肪の分離・練圧など
2026年の公的調査 令和4・5年度のデータあり 同調査に一般的なバターの数値なし

※成分の一般的な特徴を整理した比較です。個別商品の含有量や脂質構成を示すものではありません。

ここで覚えておきたいのは、バターに変えれば健康問題がすべて解決するわけではないという点です。

バターには飽和脂肪酸が多く含まれます。飽和脂肪酸もLDLコレステロールや冠動脈疾患との関係が指摘されており、2025年版の食事摂取基準では摂取エネルギー比7%以下が目標量の上限です。

農林水産省の推計では、日本人成人の飽和脂肪酸摂取量は平均8.2%エネルギーに相当し、この上限を超えているとされています。

バターかマーガリンかという二者択一ではなく、トランス脂肪酸と飽和脂肪酸の両方を見て選ぶことが合理的です。

【買う前に確認】マーガリンのトランス脂肪酸の見分け方と低減方法

スーパーでマーガリンを選ぶとき、パッケージのどこを見ればよいのでしょうか。

実際には、トランス脂肪酸の表示制度を理解しておくことが重要です。

1. トランス脂肪酸の含有量表示を確認する

日本では、トランス脂肪酸の表示は義務化されていません。

そのため、一般的な栄養成分表示だけでは、含有量が分からない商品もあります。

消費者庁は2011年に「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」を公表し、食品事業者による自主的な情報開示を促しています。

また、食品100g当たりの含有量が0.3g未満であれば、0gと表示しても差し支えないという取り扱いがあります。

つまり、パッケージに「トランス脂肪酸0g」と書かれていても、化学的に完全なゼロであるとは限りません。


「0g表示」の正しい理解

0.3g未満


0g表示が可能

食品100g当たりの基準。微量のトランス脂肪酸が含まれていても、条件を満たせば0gと表示できます。

2. 原材料名で部分水素添加油脂を確認する

トランス脂肪酸をできるだけ避けたい場合、原材料名も確認しましょう。

特に注意したいのが「部分水素添加油脂」です。

この油脂は製造工程でトランス脂肪酸が生成されやすいため、使用されている商品では含有量を確認する価値があります。

ただし、原材料表示に「部分水素添加油脂」という記載がないからといって、トランス脂肪酸が完全にゼロとは限りません。

植物油の精製工程でも微量に生成されるためです。

より確実に比較するには、メーカーが公開している商品別のトランス脂肪酸含有量を確認する方法があります。

3. ファットスプレッドも選択肢に入れる

マーガリンと混同されやすい商品に、ファットスプレッドがあります。

両者は食品表示上の定義が異なります。

- マーガリン:油脂含有率80%以上
- ファットスプレッド:油脂含有率80%未満

農林水産省の令和4・5年度調査では、ファットスプレッドのトランス脂肪酸含有量の中央値は0.48g/100gでした。

マーガリンの0.65g/100gより低い数値です。

ただし、ファットスプレッドにも0.20~1.3g/100gという幅があり、マーガリンの範囲と重なっています。

したがって、ファットスプレッドという名称だけで、必ずトランス脂肪酸が少ないと判断することはできません。

4. 日常生活でトランス脂肪酸を減らす5つの方法

マーガリンを完全にやめることだけが対策ではありません。

食品安全の観点では、普段の食生活全体を見直すことが有効です。

1. 使用量を調整する: パンに塗るマーガリンの量を必要以上に増やさない。
2. 商品別の含有量を比較する: メーカーの公式情報から、100g当たりだけでなく1食当たりの量も確認する。
3. 部分水素添加油脂の使用状況を確認する: 使用していない商品や低減対策を公表している商品を選ぶ。
4. 菓子類や揚げ物の頻度を見直す: マーガリン以外にも、トランス脂肪酸を含む加工食品がある。
5. 飽和脂肪酸にも注意する: トランス脂肪酸を減らすために、バターなどの飽和脂肪酸が多い食品を増やしすぎない。

特に見落としやすいのが、菓子パンや焼き菓子、ショートニングを使用した加工食品です。

農林水産省の2005~2007年度の摂取量推計では、トランス脂肪酸の摂取源として油脂類が20%、菓子類が18%を占めていました。

マーガリンだけを避けても、食生活全体の改善にはつながらない可能性があります。

【プロの結論】マーガリンを避けるより脂質の質と摂取量を見直す

2026年のマーガリンを評価するうえで、最も重要なのは過去のイメージと現在の実態を区別することです。

かつてのマーガリンには、部分水素添加油脂に由来するトランス脂肪酸が多く含まれる商品がありました。

しかし、現在は製造技術の改善によって含有量が大きく減少しています。

農林水産省の調査が示す0.65g/100gという中央値は、その変化を裏付ける重要なデータです。

一方で、すべての商品が同じ品質ではありません。調査範囲にもばらつきがあり、0.33~1.3gという差が確認されています。

ここから導ける判断基準は、次の3点です。

第一に、マーガリンという食品名だけで危険性を判断しないこと。

商品ごとの含有量やメーカーの低減対策を確認することが大切です。

第二に、トランス脂肪酸だけに注目しないこと。

2025年版の食事摂取基準が示すように、飽和脂肪酸の過剰摂取も健康管理上の課題です。トランス脂肪酸を減らしても、飽和脂肪酸が増えてしまえば、別の問題が生じる可能性があります。

第三に、食品単体ではなく食生活全体で考えること。

マーガリンを少量使用することよりも、脂質の多い加工食品や菓子類を毎日大量に食べる習慣のほうが、食生活全体のバランスを崩す要因になる場合があります。

2026年現在、マーガリンは一律に避けるべき食品ではありません。含有量を把握し、適量を使い、脂質の種類を意識することが現実的な選択です。

マーガリンのトランス脂肪酸に関するよくある質問(FAQ)

Q1:2026年現在、マーガリンのトランス脂肪酸は何g含まれていますか?

農林水産省の最新公表調査である令和4・5年度調査では、マーガリン100g当たりの中央値は0.65gです。調査商品の範囲は0.33~1.3gで、商品によって差があります。

Q2:マーガリンのトランス脂肪酸はバターより危険ですか?

一概には比較できません。マーガリンは主に植物油脂の加工・精製工程に由来し、バターは牛の胃内の微生物によって生成された天然由来のものを含みます。また、バターは飽和脂肪酸が多い食品です。トランス脂肪酸と飽和脂肪酸の両方を考慮して選びましょう。

Q3:マーガリンのトランス脂肪酸0g表示は本当にゼロですか?

必ずしもゼロではありません。日本の表示指針では、食品100g当たり0.3g未満なら0gと表示できます。微量に含まれている可能性があります。

Q4:ファットスプレッドならトランス脂肪酸は少ないですか?

農林水産省の令和4・5年度調査では、ファットスプレッドの中央値は0.48g/100gで、マーガリンの0.65gより低い結果でした。ただし、調査範囲は0.20~1.3gであり、商品ごとの確認が必要です。

Q5:日本人はWHOの基準を超える量のトランス脂肪酸を摂取していますか?

食品安全委員会による推定では、日本人の平均摂取量は総エネルギー比0.31%です。農林水産省の別の推計でも0.44~0.47%で、WHOの推奨する1%未満を下回っています。ただし、これらは過去の調査に基づく推定値であり、2026年の全国実測値ではありません。

まとめ:2026年はマーガリンの含有量を確認して賢く選ぼう

マーガリンのトランス脂肪酸は、過去と比べて大幅に減少しています。農林水産省の令和4・5年度調査で示された0.65g/100gという中央値は、食品メーカーによる長年の低減努力の成果です。

一方、トランス脂肪酸には冠動脈疾患のリスクを高める作用があり、摂取量をできるだけ少なくすることが望まれます。日本人の平均摂取量はWHOの目標を下回っていますが、個人の食生活によって摂取量は異なります。

これからマーガリンを購入する際は、メーカーの含有量情報、原材料、飽和脂肪酸の量を確認しましょう。バターに変えれば安心という単純な話でもありません。

大切なのは、特定の食品を必要以上に怖がることではなく、科学的なデータを参考に、脂質の種類と摂取量を適切に管理することです。

主な参考資料:農林水産省「令和4・5年度トランス脂肪酸含有実態調査結果」「食品中のトランス脂肪酸の低減」「トランス脂肪酸の摂取と健康への影響」、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、食品安全委員会「食品に含まれるトランス脂肪酸」、WHO「Trans fat」(2024年1月24日)。