【映画『九龍城寨之圍城』】実際のロケ地はどこ?映画セットとの違い
2024年公開の香港映画『九龍城寨之圍城』は、取り壊された九龍城砦を1980年代の姿で再現した作品です。日本でも『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』として知られ、独特の都市景観や迫力あるアクションが話題になりました。
監督は鄭保瑞(ソイ・チェン)。作品では、九龍城砦を単なる犯罪の舞台として描くだけでなく、住民同士のつながりや、そこで暮らす人々にとっての居場所という側面も表現しています。
映画は実際の九龍城砦で撮影されたのか

答えは、基本的には違います。九龍城砦は1994年に解体されているため、映画の主要な舞台となる密集市街は撮影用セットによって再現されました。
鄭保瑞監督のインタビューによると、主な制作場所は次のとおりです。
- 西貢の映画スタジオ:九龍城砦の街並みを再現した屋外セットを建設。
- 元朗の廃校:校舎内部を改装し、寺院などの撮影空間を制作。
- 実際の史跡付近:歴史的な跡地の入口近くに地上・地下部分のセットを制作。
- CGI:複数の撮影場所で作った映像を組み合わせ、巨大な都市空間を表現。
つまり、映画の九龍城砦は、実際の場所で撮影した映像とスタジオセット、CGIを組み合わせた映画的な再構築なのです。
映画に登場する実在のロケ地
一方、九龍城地区には映画の撮影に使われた実在の場所もあります。香港の地域観光案内で紹介されている代表例は次の2か所です。
楽口福酒家(Lok Hau Fook Restaurant)
1954年創業の潮州料理店です。映画では宴会の場面に使用され、主人公の陳洛軍が父親の仇と初めて対面するシーンに登場します。侯王道にある歴史ある飲食店で、映画ファン以外にも香港の食文化を楽しめる場所です。
念敬佛社(Nim King Buddhist Society)
南角道にある仏教施設で、映画では陳洛軍が仲間の行方を探す場面の背景として使われました。
この2か所は実在の撮影場所ですが、映画の中心となる九龍城砦そのものが現存しているわけではありません。公園内の映画セット展と実際のロケ地巡りを組み合わせると、作品の世界をより立体的に楽しめます。
2026年には続編の新しいセットも話題に
2026年8月の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道では、続編『Twilight of the Warriors: The Final Chapter』のために、元朗のInnoParkに新たな九龍城砦の大型セットが建設されたことが紹介されました。
この続編用セットは、2025〜2028年に九龍寨城公園で公開されている映画セット展とは別のものです。公園の展示は一般向けの観光・文化展示、元朗のセットは映画制作に使われる撮影用施設という違いがあります。
【現地訪問ガイド】九龍寨城公園へのアクセス・営業時間・見学のポイント
九龍城砦の跡地を訪れる場合は、まずMTRを利用するのが便利です。香港政府の公園案内で紹介されている最寄り駅は、宋王台駅(Sung Wong Toi Station)のB3出口です。
アクセス情報
- 最寄り駅:MTR宋王台駅(Sung Wong Toi)
- 推奨出口:B3出口
- 住所:Tung Tsing Road, Kowloon City, Kowloon, Hong Kong
- バス:九龍バスやシティバスなど複数路線が利用可能
- 公園内駐車場:一般利用できる駐車場はありません。
営業時間と料金
| 施設 | 営業時間 | 料金 |
|---|---|---|
| 九龍寨城公園 | 6:30〜23:00 | 無料 |
| 九龍城寨光影之旅 | 9:00〜19:00 | 無料 |
公園と映画セット展はどちらも無料です。ただし、映画セット展は入場人数の制限があり、当日の整理券が必要になる場合があります。
おすすめの見学順序
初めて訪問する場合は、次の順番で回ると歴史と映画の両方を理解しやすくなります。
- 南門遺構:城砦の原型を伝える石碑や基礎部分を確認する。
- 屋外展示エリア:城砦の模型や影壁を見て、当時の建築構造を把握する。
- 旧衙門:清朝時代の行政施設としての歴史を知る。
- 九龍城寨光影之旅:映画のセットを通じて1980年代の街並みを体験する。
- 公園内の散策:現在の庭園と、かつての密集市街との違いを感じる。
訪問のポイントは、映画セットだけを見て終わらせないことです。南門や衙門などの本物の遺構を先に見ておくと、映画がどのような歴史的空間を再現しようとしたのかが理解しやすくなります。
【九龍城砦の現在】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:九龍城砦は2026年現在も残っていますか?
A1:いいえ。九龍城砦は1993年3月に解体工事が始まり、1994年4月に解体が完了しました。現在は跡地が九龍寨城公園として整備されています。ただし、旧衙門と南門の遺構は保存されています。
Q2:九龍寨城公園の入場料はいくらですか?
A2:公園の入場料は無料です。2025年から2028年まで開催される映画セット展「九龍城寨光影之旅」も無料で見学できます。ただし、映画セット展には入場人数の制限と整理券の運用があります。
Q3:九龍城砦の跡地へ行くには、どの駅が最寄りですか?
A3:MTR宋王台駅(Sung Wong Toi Station)のB3出口が最寄りのアクセスとして香港政府から案内されています。
Q4:映画『九龍城寨之圍城』の撮影場所は現在も見学できますか?
A4:一部の実在ロケ地である楽口福酒家や念敬佛社は、九龍城区にあります。一方、映画の主要な城砦の街並みはスタジオなどで制作されたセットで、すべてが一般公開されているわけではありません。公園内では映画の再現セット展を見学できます。
Q5:九龍城砦の当時の建物は何階建てでしたか?
A5:研究資料では最大14階程度の建物が確認されています。エレベーターがない建物も多く、建物同士が複雑につながっていました。
Q6:映画セット展はいつまで開催されていますか?
A6:2025年5月24日から2028年5月23日までの3年間です。2026年11月現在も開催期間内です。
まとめ:九龍城砦の現在を知るなら、歴史的遺構と映画展示の両方を見る
2026年現在、九龍城砦はかつての密集した都市としては存在しません。跡地は九龍寨城公園となり、旧衙門や南門の遺構、模型、歴史展示を通じて、その独特な歴史を伝えています。
さらに、2025年から2028年まで開催される「九龍城寨光影之旅」によって、映画『九龍城寨之圍城』の世界を実際に体験できるようになりました。
九龍城砦を深く理解するためには、次の3つの視点が欠かせません。
- 歴史:1847年の軍事拠点としての誕生から、1994年の解体までの変遷。
- 生活:約3万人以上が暮らした高密度都市の構造と、そこに存在した独自の経済・コミュニティ。
- 文化:歴史的遺構の保存と、映画による現代的な再現。
特に、映画の再現セットと実際に残る歴史的遺構を混同しないことが、現地見学を充実させるポイントです。
かつて世界でも類を見ない都市空間だった九龍城砦。その場所はいま、緑豊かな公園へと姿を変えています。しかし、残された遺構や写真、住民の生活の記録、そして映画作品を通じて、その記憶は2026年の香港にも受け継がれています。
主な参考資料・事実確認に使用した資料
- 香港康楽及文化事務署(公園の営業時間・アクセス・展示案内)
- 香港古物古蹟事務監督(旧衙門・南門の歴史)
- 香港政府年鑑・政府記録サービス(解体計画と1994年の解体完了)
- 香港文化創意産業発展庁(映画セット展の公式情報)
- 九龍城地区観光資料(当時の生活と映画ロケ地)
- 日本都市計画学会・建築研究資料(人口密度と建築構造)
- 2026年の続編制作に関する報道