【基本】打数とは?野球における意味・読み方・英語表記を解説
打数は、野球の公式記録における打撃成績の基本項目です。読み方は「だすう」で、英語では「At Bat」、統計上の略称は「AB」と表記されます。
NPBが公開している公認野球規則9.02では、打数を「打撃を完了した回数」として扱い、一定の結果については算入しないと定めています。
つまり、打者がバッターボックスに立った回数と、公式記録に残る打数は必ずしも一致しません。
打数として数えられる代表的なプレー

次のような結果は、原則として打数に含まれます。
- 安打(シングルヒット、二塁打、三塁打、本塁打)
- 三振
- 内野ゴロによるアウト
- 外野フライによるアウト
- 野手選択(フィルダースチョイス)
- 失策による出塁
例えば、打者がショートゴロを打って一塁でアウトになった場合、打数は1増えます。三振でも同様です。
また、打球を野手が捕球できず、失策によって打者が一塁に残った場合も、安打ではありませんが打数は記録されます。
ここで押さえておきたいのは、打数は安打の数ではなく、安打やアウトなどの打撃結果を記録するための数字だという点です。
【混同注意】打数と打席数の違いは?公式記録の内訳を比較

打数と打席数は、野球初心者が特に混同しやすい記録です。
両者の違いは、四球や犠打など、打撃以外の要素も含めて数えるかどうかにあります。
打席数はバッターの打撃機会を数える数字

打席数は、打者が1回の打撃機会を完了した回数です。
安打やアウトだけでなく、四球、死球、犠牲バント、犠牲フライ、妨害によって一塁に出た場合なども含まれます。
一方、打数は公認野球規則9.02で定められた例外を除いて記録されます。
両者の関係を整理すると、次のとおりです。
この区別はNPBの公認野球規則9.02と9.22に基づいています。
2026年のNPB公式成績にも違いが表れている
2026年度のセ・リーグ公式個人成績を見ると、打席数と打数が別々の項目として掲載されています。
例えば、佐藤輝明選手の2026年度の成績は次のとおりです。
- 打席数:614
- 打数:539
- 安打数:165
- 打率:.306
打席数614から打数539を引くと75になります。
この75打席分は、四球68、死球2、犠牲フライ5など、打数に含まれない結果によって構成されています。
このように、打席数と打数を分けて見ることで、選手がどれだけ打撃機会を得たのか、実際にどの程度打撃結果を残したのかを把握できます。
【判定一覧】四球・死球・犠打・犠飛・打撃妨害は打数に入る?
打数の数え方で重要なのが、打数に含まれないプレーの具体的な条件です。
NPBの公認野球規則9.02では、犠牲バント、犠牲フライ、四球、死球、妨害や走塁妨害によって一塁を得た場合を打数から除外しています。
四球は打数に含まれる?
四球は打数に含まれません。
四球とは、投手がストライクゾーンから外れたボールを4球投げ、打者が一塁に進むことです。
打者は安打を打ったわけではありませんが、アウトにもなっていません。四球という独立した記録が付与されます。
例えば、1打席目に四球を選び、2打席目に三振した場合は次のようになります。
- 打席数:2
- 打数:1
- 四球:1
- 三振:1
四球が打数に含まれない理由は、打率が安打を打つ能力を測る指標だからです。
四球によって出塁する能力は、打率ではなく出塁率などで評価されます。
死球は打数に含まれる?
死球も打数には含まれません。
死球は、投手の投球が打者の身体に当たり、規則に従って一塁が与えられるプレーです。
四球と同様、打者が安打を打つ機会を完了した結果とは異なるため、打数には算入されません。
ただし、打席数には含まれます。また、出塁率の計算では四球と同じく分子・分母の両方に加算されます。
犠打は打数に含まれる?
公式記録で犠牲バントと認定された場合、打数には含まれません。
犠打は、打者自身が一塁に出る機会を犠牲にして、走者を次の塁へ進めるためのプレーです。
例えば、無死一塁で打者が送りバントを行い、一塁でアウトになる一方、走者が二塁に進んだ場合、原則として犠打が記録されます。
ここで注意したいのは、バントをすれば必ず犠打になるわけではないことです。
公認野球規則9.08では、打者が安打を狙ってバントしたと記録員が判断した場合、犠打ではなく打数を記録すると定めています。
また、バントによって走者を進めようとしても、進塁を試みた走者がアウトになった場合などは、犠打ではなく打数が記録されるケースがあります。
犠牲フライは打数に含まれる?
犠牲フライも打数には含まれません。
犠牲フライとは、基本的に無死または一死の場面で、打者が外野方向へフライを打ち、捕球後に三塁走者などがタッチアップして得点するプレーです。
打者自身はアウトになりますが、チームに得点をもたらしたことが評価され、犠牲フライという記録になります。
例えば、1アウト三塁で外野フライを打ち、三塁走者が生還した場合、公式記録員が犠牲フライと認定すれば、打数は増えません。
ただし、フライを打っただけで必ず犠牲フライになるわけではありません。走者の得点やプレー状況など、公認野球規則の条件を満たす必要があります。
打撃妨害は打数に含まれる?
捕手の打撃妨害によって打者が一塁を与えられた場合、打数には含まれません。
打撃妨害とは、捕手が打者のスイングを妨げるなど、規則に反する行為をした場合に適用されるものです。
この場合、打者は安打を打ったわけではありませんが、一塁への出塁が認められます。
記録上は妨害による出塁となり、打数には算入されません。一方で、打席数には含まれます。
走塁妨害による出塁にも注意
走塁妨害によって打者が一塁を与えられた場合も、原則として打数には含まれません。
ただし、公認野球規則9.02の注には例外があります。
打球に対する野手の選択守備がすでに完了した後に走塁妨害が発生した場合には、打数を記録するケースがあります。
つまり、妨害があったという事実だけで判断するのではなく、妨害が発生したタイミングとプレーの状況も関係します。
【計算例】打数の数え方と打率の計算式を具体的に解説
打数を理解するうえで欠かせないのが、打率との関係です。
NPBが公表している公式の計算方法では、打率は安打数を打数で割って求めます。
打率の計算式
安打数 ÷ 打数で算出。通常、小数第4位を四捨五入して小数第3位まで表示します。
5打数2安打の場合の打率は?
例えば、1試合で5打数2安打を記録した選手の打率は次のようになります。
\[
2\div5=0.400
\]
したがって、打率は.400(4割)です。
同じ計算方法で、打数と安打数の関係を確認してみましょう。
| 成績 | 計算式 | 打率 |
|---|---|---|
| 5打数0安打 | 0÷5 | .000 |
| 5打数1安打 | 1÷5 | .200 |
| 5打数2安打 | 2÷5 | .400 |
| 5打数3安打 | 3÷5 | .600 |
| 5打数4安打 | 4÷5 | .800 |
| 5打数5安打 | 5÷5 | 1.000 |
5打数2安打なら、打席数に関係なく打率の計算に使う数字は2と5です。
仮に同じ試合で四球を1回選んでいた場合、打席数は6になりますが、打数は5のままです。
打数を自分で計算する方法
試合の記録から打数を計算する場合は、まず打席数を確認します。
そのうえで、四球、死球、犠打、犠飛、妨害による出塁など、打数に算入されない結果を差し引きます。
基本的な考え方は次のとおりです。
\[
\begin{aligned}
打数 = 打席数 &- 四球 - 死球\\
&- 犠打 - 犠飛\\
&- 妨害等による出塁
\end{aligned}
\]
ただし、走塁妨害については先ほど説明した例外があるため、最終的には公式記録員の判定に従います。
また、故意四球も四球の一種なので、打数には含まれません。
打率と出塁率は何が違う?
打率と混同しやすい指標が出塁率です。
NPBの公式計算式は次のとおりです。
\[
\text{出塁率}=
\frac{\text{安打数+四球+死球}}
{\text{打数+四球+死球+犠飛}}
\]
打率が安打の割合を示すのに対し、出塁率は安打や四球、死球によってどれだけ出塁したかを示します。
ここで興味深いのが、犠打と犠牲フライの扱いの違いです。
- 犠打:出塁率の計算にも含まれない
- 犠牲フライ:出塁率の分母に含まれるが、分子には含まれない
つまり、犠牲フライは出塁率を下げる方向に働きますが、犠打は出塁率を変化させません。
【2026年版】規定打席と打数の違い、規定打席の計算方法
プロ野球の個人成績を確認するとき、打数と一緒に覚えておきたいのが「規定打席」です。
規定打席とは、首位打者などの打撃タイトルや公式ランキングの対象となるために必要な打席数の基準です。
ここで重要なのは、規定打席は打数ではなく、打席数を基準に決まるということです。
NPBの規定打席はチーム試合数×3.1
NPBの公式個人成績ページでは、規定打席を次の計算式で示しています。
\[
\text{規定打席}=\text{チーム試合数}\times3.1
\]
2026年のレギュラーシーズンで143試合を消化した球団の場合は、
\[
143\times3.1=443.3
\]
端数を四捨五入すると、規定打席は443打席です。
この基準は選手自身の出場試合数ではなく、所属チームの試合数を基準に計算します。
規定打席に達しない選手は首位打者になれない?
原則として、打撃タイトルの獲得には規定打席への到達が必要です。
ただし、公認野球規則9.22には例外も定められています。
規定打席に満たない選手でも、不足している打席数を打数に加えて打率などを計算した結果、ほかの選手を上回る場合には、タイトル獲得が認められる仕組みです。
そのため、規定打席に届いていないという理由だけで、タイトル獲得の可能性が完全になくなるわけではありません。
打数と規定打席を混同してはいけない理由
例えば、同じ143試合のシーズンで、ある選手が500打数を記録していても、四球や犠打などを含めた打席数が443未満であれば、規定打席には到達していない可能性があります。
逆に、打数が少なくても四球や犠打が多ければ、規定打席に到達することがあります。
この違いを理解するには、次のように整理すると簡単です。
- 打数:打率などの打撃成績を計算するための数字
- 打席数:打者が打撃機会を完了した回数
- 規定打席:打撃タイトルなどの対象になるための基準
NPBの2026年度公式成績でも、打率、打席、打数はそれぞれ独立した項目として掲載されています。
【プロの結論】打数だけで打者の実力を判断してはいけない
野球の打撃成績を正しく読み解くには、打数を単独で評価するのではなく、ほかの指標との関係を見ることが大切です。
打数が多い選手は、それだけ打撃結果を記録する機会が多かったことを意味します。しかし、打数の多さだけで打者の能力が高いとは判断できません。
打数と一緒に確認したい3つの指標
1. 打率
安打を打つ割合を示す指標です。
打数が多くても安打数が少なければ打率は低くなります。安打を打つ能力を比較するときに基本となる数字です。
2. 出塁率
安打だけでなく、四球や死球による出塁も評価します。
打率がそれほど高くなくても、四球を多く選べる打者は高い出塁率を記録することがあります。
3. 長打率
塁打数を打数で割って計算します。
単打は1、二塁打は2、三塁打は3、本塁打は4として評価するため、打者の長打力を確認できます。
この3つを組み合わせることで、安打を打つ能力、出塁する能力、長打を生み出す能力を分けて評価できます。
よくある誤解は「打席数が多いほど打数も多い」という考え方
四球を多く選ぶ打者は、打席数に対して打数が少なくなる傾向があります。
これは必ずしも打撃機会を無駄にしているわけではありません。四球によって出塁し、チームの得点機会を増やしている可能性があります。
また、犠打を多く記録する選手は、チームへの貢献が打率や打数だけでは見えにくくなります。
打者を評価するときは、数字の大小だけでなく、その数字が何を測定しているのかを理解する必要があります。
【打数とは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:打数とは簡単にいうと何ですか?
打数とは、野球で打撃結果が公式記録上の打数として認められた回数です。安打、三振、ゴロアウトなどが含まれ、四球や死球、犠打、犠牲フライなどは含まれません。
Q2:打数の読み方は何ですか?
「だすう」と読みます。英語ではAt Bat、統計上の略称はABです。
Q3:四球や死球は打数に含まれますか?
どちらも打数には含まれません。ただし、打席数には含まれます。四球や死球は出塁率の計算にも反映されます。
Q4:5打数2安打の場合、打率はいくつですか?
2÷5=0.400となるため、打率は.400(4割)です。
Q5:犠打と犠牲フライは打数に含まれますか?
どちらも公式記録で犠打・犠飛と認定された場合は打数に含まれません。ただし、バントをしたからといって必ず犠打になるわけではなく、公式記録員の判断によって打数が記録される場合もあります。
Q6:規定打席と打数は同じ意味ですか?
違います。打数は打率の計算に使う数字で、規定打席は打撃タイトルなどの対象となるための打席数の基準です。四球や犠打なども規定打席には含まれます。
まとめ:打数と打席数の違いを理解すれば野球の成績がもっとわかる
打数とは、野球における打撃結果を記録するための基本的な数字です。読み方は「だすう」、英語表記はABです。
覚えておきたいポイントは次の5つです。
1. 打数は打席数と同じではない。
2. 四球と死球は打数に含まれない。
3. 犠打と犠牲フライも打数に含まれない。
4. 打撃妨害によって一塁を得た場合も、原則として打数には含まれない。
5. 打率は安打数÷打数で計算する。
2026年のNPB公式成績でも、打席数と打数は別々に記録されています。
プロ野球の成績表を見るときは、打率だけでなく、打数、打席数、出塁率も一緒に確認してみてください。それぞれの数字が持つ意味を理解すれば、選手の打撃スタイルやチームへの貢献度まで、より深く読み取れるようになります。