【2026年3月の在宅起訴】田久保真紀被告は何の罪に問われている?

目次

市長を失職した後も、田久保氏をめぐる問題は刑事事件として続きました。

【検証資料 1】田久保市長どうなったの当時の様子・関連報道写真(出典:中日スポーツ)

2026年3月30日、静岡地方検察庁は田久保氏を有印私文書偽造・同行使罪と地方自治法違反の罪で在宅起訴しました。

起訴状などによると、問題となった行為は大きく2つに分けられます。

1.東洋大学の卒業証書を偽造・行使した疑い

田久保市長どうなった

検察側の主張では、田久保被告は2025年5月29日ごろから6月4日までの間に、東洋大学を卒業していないにもかかわらず、卒業者として自身の名前を記載した卒業証書を偽造したとされています。

その際、インターネットを通じて業者に作成させた大学関係者の印鑑を使用したとされます。

そして2025年6月4日、市役所で市議会議長や副議長、市職員らにその書類を見せたことが、有印私文書偽造・同行使の容疑につながっています。

ここでいう「行使」とは、偽造した文書を真正なものとして使用することを指します。証書を提示した行為が法律上の行使に該当するかどうかも、裁判で検討されるポイントです。

2.百条委員会で虚偽の証言をした疑い

田久保市長どうなった

もう一つの起訴内容は、2025年8月13日に開かれた百条委員会での証言です。

田久保被告は、東洋大学を除籍された事実を知ったのは2025年6月28日だったと説明していました。

しかし、検察側は、本人がそれ以前から大学を卒業していないことを認識していたにもかかわらず、宣誓した百条委員会で虚偽の陳述をしたと主張しています。

これは地方自治法違反に関する起訴内容です。単にプロフィールの学歴が間違っていたという問題から、議会の調査における証言の正確性という別の法的問題に発展しています。

在宅起訴とは?逮捕や不起訴と何が違う?

田久保市長どうなった

ニュースで使われる「在宅起訴」という言葉についても整理しておきましょう。

- 逮捕: 捜査機関が法律上の要件に基づいて身柄を拘束すること。
- 在宅起訴: 身柄を拘束しない状態で検察が起訴すること。
- 不起訴: 検察が裁判にかけないと判断すること。
- 無罪: 裁判所が審理した結果、犯罪の成立を認めない判決をすること。

田久保被告は在宅起訴されたため、身柄を拘束されたまま裁判を受けるという形ではありません。

また、起訴されたことだけで有罪が確定するわけでもありません。検察側の主張と弁護側の反論を踏まえ、最終的には裁判所が判断します。

【2026年6月の不起訴処分】なぜ一部の容疑は不起訴になった?

2026年6月10日、静岡地検は田久保氏について、公職選挙法違反など3つの容疑を不起訴処分としました。

このニュースを見て「田久保氏の学歴詐称問題は不起訴になった」「3月の起訴も取り消された」と受け取った人もいるかもしれません。しかし、それは正確ではありません。

不起訴となった3つの容疑

2026年6月4日、静岡県警は田久保氏を追加で書類送検していました。対象となったのは、次の3つの容疑です。

1. 公職選挙法違反の疑い: 2025年の市長選挙に関連し、報道機関に提出した立候補予定者調査票に虚偽の学歴を記載した疑い。
2. 虚偽公文書作成・同行使の疑い: 伊東市の広報誌に虚偽の学歴が掲載されたことに関する疑い。
3. 地方自治法違反の疑い: 百条委員会への記録不提出、出頭拒否、証言拒絶などに関する疑い。

静岡地検は6月10日、これらをいずれも嫌疑不十分として不起訴処分にしました。

不起訴処分の理由は「関与の立証が困難」

静岡地検が示した理由は、主に証拠上の問題です。

対象 検察側が示した不起訴理由
公職選挙法違反 虚偽の経歴を記載した調査票の作成や報道機関への提出に田久保氏が関与したと認めるのは証拠上困難
虚偽公文書作成・同行使 虚偽の内容を含む広報誌の作成・行使に本人が関与したと認めるのは証拠上困難
地方自治法違反 記録不提出、出頭拒否、証言拒絶の経緯や理由などから犯罪の成立を立証するのは難しい

重要なのは、検察が「嫌疑不十分」と判断した点です。

これは犯罪が絶対に存在しなかったと裁判所が認定したという意味ではありません。捜査で集めた証拠から、起訴して有罪を立証するには十分でないと検察が判断したことを意味します。

静岡新聞アットエスの2026年6月10日の報道では、検察が各容疑について関与の立証が困難だったと説明したことが伝えられています。

3月の在宅起訴と6月の不起訴は別事件として整理する

ここが今回のニュースで最も誤解されやすい部分です。



2026年3月30日
在宅起訴された事件
有印私文書偽造・同行使、地方自治法違反(百条委員会での虚偽陳述)
裁判で審理される対象


2026年6月10日
不起訴となった別の容疑
公職選挙法違反、虚偽公文書作成・同行使、地方自治法違反(記録不提出など)
嫌疑不十分で不起訴

つまり、6月の不起訴処分によって、3月に起訴された卒業証書の偽造・行使などの事件がなくなったわけではありません。

田久保被告の刑事責任を考える際は、この2つを混同しないことが大切です。

【2026年8月の新展開】押収パソコンから卒業証書データが見つかった?

2026年8月25日、田久保被告の自宅から押収されたパソコンを解析した結果、偽造された卒業証書のデータが見つかったと報じられました。

これは刑事裁判の行方を考えるうえで注目される新情報です。

パソコンから見つかったデータとは

静岡朝日テレビなどの報道によると、静岡県警が2026年2月に田久保氏の自宅から押収したパソコンをサイバー捜査によって解析したところ、偽造された卒業証書のデータが発見されたといいます。

捜査側は、パソコンで作成した文書を印刷し、注文した印鑑を押して卒業証書を作ったとみています。

検察側が主張する卒業証書の作成時期は、2025年5月29日ごろから6月4日までです。

このデータが実際に誰によって、いつ、どのような経緯で作成されたのか。データの作成履歴や関連する証拠が、今後の審理でどのように評価されるかが注目されます。

弁護側は無罪を主張

一方、田久保被告側は2026年8月24日、静岡地裁に無罪を主張する趣旨の書面を提出したと報じられています。

弁護側の主張のポイントは次のとおりです。

- 田久保被告本人は卒業証書を作成していない。
- 学長などの印鑑を自ら注文したり、受け取ったりした事実はない。
- 卒業証書が偽物だとすれば、第三者が作成した可能性がある。
- 印鑑などが注文された時期について、弁護側は学歴詐称疑惑が表面化する前であり、偽造の動機がないと主張している。
- 百条委員会での虚偽陳述に関する地方自治法違反についても無罪を主張する方針。

したがって、パソコンからデータが見つかったという報道だけで、本人による偽造が法的に確定したわけではありません。

検察側が示すデータと弁護側の説明が食い違っており、誰が作成したのか、印鑑を誰が注文したのか、証書の作成・提示をどのように評価するのかが、今後の重要な争点になります。

【静岡地裁の裁判はどうなる?】公判前整理手続きと初公判の見通し

2026年10月現在、注目されているのが静岡地方裁判所で進められている公判前整理手続きです。

公判前整理手続きとは何か

公判前整理手続きとは、刑事裁判が始まる前に、裁判官・検察官・弁護人が事件の争点や証拠を整理する制度です。

裁判が始まってから初めて証拠や主張を確認するのではなく、事前に何が争われるのかを明確にすることで、審理を効率的に進める目的があります。

田久保被告側は2026年4月、静岡地裁にこの手続きを請求しました。静岡地裁は5月18日付で実施を決定し、6月以降に実質的な打ち合わせが進められました。

6月11日の報道では、弁護人が初公判は秋ごろになるとの見通しを示していました。8月25日の報道でも、公判前整理手続きが進行中であることが伝えられています。

裁判で注目される4つの争点

今後の審理では、少なくとも次の論点が重要になると考えられます。

1.卒業証書を誰が作成したのか

パソコンから発見されたデータが、偽造されたとされる卒業証書とどのように結びつくのかが焦点です。作成者の特定やデータの作成時期、印刷・押印の経緯などが問題になります。

2.印鑑の注文・取得に本人が関与したのか

検察側は、大学関係者の名前が入った印鑑を業者に作成させたと主張しています。一方、弁護側は本人が注文・受領した事実を否定しています。注文記録などの証拠がどのように評価されるかが重要です。

3.卒業証書を議長らに提示した行為は何を意味するのか

証書を見せたとされる2025年6月4日の行為について、偽造文書の行使に該当するかが争われることになります。単なる提示ではなく、どのような目的や状況で示したのかも検討対象となります。

4.百条委員会での証言は虚偽だったのか

2025年8月13日の証言について、田久保被告が除籍の事実をいつ認識していたのか、本人の説明と客観的な証拠が整合するのかが問われます。

これらは検察側の立証と弁護側の反論を踏まえて判断されるべき問題です。現段階で有罪・無罪の結論を先取りすることはできません。

初公判はいつ?2026年内に始まる可能性は?

2026年6月時点では、弁護人が秋ごろの初公判を予想していました。しかし、その後、公判前整理手続きが続き、8月には弁護側が無罪を主張する書面を提出しています。

2026年10月30日時点で、確認できる報道からは初公判の具体的な期日や開廷を確定できません。したがって、すでに初公判が終わった、あるいは判決が出たとする情報には注意が必要です。

また、初公判の日程が決まることと、判決が出ることは別です。証拠調べや証人尋問などが必要になる場合、審理はさらに続く可能性があります。

今後の大きな注目点は、卒業証書の作成者と提示の経緯、百条委員会での証言に対する双方の主張が、法廷でどのように整理されるかです。

【伊東市の現市長】杉本憲也氏が市政を引き継いだ


氏
現伊東市長
2025年12月14日初当選・第22代伊東市長
前伊東市議会議員・行政書士

田久保氏の失職後、伊東市の市長選挙は2025年12月14日に実施されました。

この選挙で初当選したのが、元伊東市議会議員の杉本憲也氏です。国民民主党の推薦を受けて立候補し、候補者9人による選挙戦を制しました。

開票結果は以下のとおりです。

候補者 得票数
杉本憲也氏 13,522票
小野達也氏 10,962票
田久保真紀氏 4,131票

投票率は60.54%でした。田久保氏は再選を目指しましたが、3位で落選しています。

杉本憲也氏の経歴

伊東市の公式プロフィールによると、杉本氏は1982年4月24日生まれです。

- 2001年3月:静岡県立沼津東高校卒業
- 2005年3月:立命館大学法学部卒業
- 2010年3月:愛知大学法科大学院修了
- 2014年4月:あいら伊豆農業協同組合に入組
- 2019年9月:行政書士杉本かずや事務所を開設
- 2019年9月:伊東市議会議員に初当選
- 2025年12月:伊東市長に初当選

市の公式プロフィールでは、杉本氏は第22代伊東市長として紹介されています。

市長選挙で杉本氏が掲げた大きな課題の一つは、市政の正常化と停滞からの脱却でした。田久保市政で生じた議会との対立や行政の混乱をどう立て直すかが、新しい市政に引き継がれた課題です。

したがって、田久保氏の問題は個人の刑事責任だけでなく、伊東市の行政運営や市民の政治への信頼という観点からも注目されています。

【田久保市長の現在】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:田久保真紀氏は現在も伊東市長ですか?

A1:いいえ。2025年10月31日に2度目の不信任決議が可決され、失職しました。2025年12月14日の市長選挙にも立候補しましたが落選し、現在の伊東市長は杉本憲也氏です。

Q2:田久保真紀氏は2026年3月に何の罪で起訴されましたか?

A2:有印私文書偽造・同行使と地方自治法違反の罪です。東洋大学の卒業証書を偽造して議長らに提示した疑いと、百条委員会で虚偽の陳述をした疑いが起訴内容に含まれています。

Q3:2026年6月の不起訴処分で事件は終わったのですか?

A3:いいえ。6月10日の不起訴は、公職選挙法違反など別の3つの容疑についてです。3月30日に在宅起訴された卒業証書の偽造・行使などの事件は別に残っています。

Q4:田久保被告は裁判で有罪になったのですか?

A4:2026年10月30日時点で、有罪判決が確定したという情報は確認できません。弁護側は無罪を主張する方針を示しており、検察側の主張とともに裁判所で判断される問題です。

Q5:卒業証書の偽造データは本当に見つかったのですか?

A5:2026年8月25日、田久保被告の自宅から押収したパソコンの中から偽造された卒業証書のデータが見つかったと報道されました。ただし、データの発見だけで作成者や刑事責任が確定したわけではありません。

Q6:田久保真紀氏の初公判はいつですか?

A6:2026年6月には弁護人が秋ごろとの見通しを示していました。その後、公判前整理手続きが進められていますが、2026年10月30日時点で具体的な初公判の日付は確認できません。

【プロの結論】田久保市長問題から読み解くべき3つのポイント

今回の問題を理解するには、単に「学歴詐称で失職した」という一文だけでは不十分です。政治的責任、行政への信頼、刑事責任という3つの側面を分けて考える必要があります。

1.失職の原因は学歴問題と、その後の市政運営にあった

田久保氏は東洋大学法学部を卒業していなかったことを認めました。その後、卒業証書の提示や百条委員会での証言、議会との対立が問題となり、2度の不信任決議によって失職しました。

市議会の決議文や調査報告を読むと、学歴そのものだけでなく、説明責任を果たす姿勢や行政運営への信頼が大きな争点だったことが分かります。

2.不起訴と在宅起訴を混同してはいけない

2026年6月の不起訴処分は、追加で捜査されていた3つの容疑についての判断です。一方、3月の在宅起訴は卒業証書の偽造・行使などに関する別の事件です。

ニュースの見出しだけを追うと、すべての容疑が不起訴になったように誤解する可能性があります。事件名、罪名、処分日をセットで確認することが重要です。

3.最終的な焦点は法廷での証拠と反論

パソコンから卒業証書のデータが発見されたという報道は重要ですが、それだけで有罪が決まるわけではありません。

検察側がどのような証拠で作成者や行使の事実を立証するのか。弁護側が第三者による作成の可能性や本人の関与を否定する主張をどのように裏付けるのか。これらが刑事裁判の核心になります。

政治家の経歴表示や公文書の正確性は、有権者が候補者を判断するうえで重要な情報です。同時に、刑事責任を問う場合には、疑惑や報道だけでなく、証拠に基づいた司法判断が求められます。

まとめ:田久保市長はどうなった?今後の注目点

田久保真紀氏は、2025年10月31日に伊東市長を失職し、同年12月の市長選挙でも落選しました。現在、伊東市長を務めているのは杉本憲也氏です。

その後、2026年3月30日に卒業証書の偽造・行使などの罪で在宅起訴されました。6月10日には公職選挙法違反など別の3つの容疑が嫌疑不十分で不起訴となりましたが、3月に起訴された事件は継続しています。

8月には押収パソコンから卒業証書のデータが見つかったと報道され、弁護側は無罪を主張する書面を提出しました。現在の焦点は、静岡地裁で進む公判前整理手続きと、その後の刑事裁判です。

今後、特に注目したいのは次の3点です。

1. 静岡地裁での初公判の日程と審理の開始
2. 卒業証書データや印鑑の注文記録に対する検察・弁護側双方の主張
3. 百条委員会での証言をめぐる地方自治法違反の判断

田久保市長をめぐる問題は、市長職の失職によって政治的な局面が一区切りついた一方、刑事事件としてはまだ重要な判断が残されています。今後の裁判で何が明らかになるのか、引き続き注目されます。