思い出の記は誰の作品?小泉セツの回想録と同名書籍を2026年版で徹底解説
「思い出の記」は誰が書いた作品なのか。小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻、小泉セツが夫との暮らしや怪談創作の思い出を綴った回想録として知られています。しかし、同じ題名の書籍はほかにも存在し、2024年には清水書院から加納邦光の『思い出の記』が刊行されたほか、2025年には興陽館から『小泉八雲のこわい話・思い出の記』も登場しました。
2026年10月現在、国立国会図書館の書誌情報や各出版社の刊行記録を照合すると、特に区別したいのは、小泉セツ本人の回想録、2025年刊行の怪談集に収録された回想部分、そして加納邦光による同名の別作品です。読み方や言葉の意味から、書籍の著者・出版社・ISBN、耳無芳一や雪女などの怪談との関係まで整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 作品の正体:小泉セツの『思い出の記』は、小泉八雲との結婚生活や怪談創作の舞台裏を伝える回想録。
- 2025年の注目書籍:興陽館の『小泉八雲のこわい話・思い出の記』には、18編の怪談と小泉セツによる「思い出の記」が収録されている。
- 同名書籍に注意:清水書院の加納邦光著『思い出の記』は、ドイツ文学や教育、異文化理解などを扱う別の著作。
【まず結論】「思い出の記」は誰の作品?読み方と本来の意味

「思い出の記」の読み方は「おもいでのき」です。青空文庫の作品情報でも、小泉節子の著作として登録され、作品名の読みが「おもいでのき」と示されています。
この作品を小泉八雲との関係で調べている場合、中心となる著者は小泉セツ(小泉節子)です。夫である八雲の人柄、家庭での暮らし、怪談を聞かせたときの様子などを妻の視点から記した文章であり、八雲の伝記を補う貴重な回想資料でもあります。
一方、2025年に刊行された『小泉八雲のこわい話・思い出の記』は、八雲とセツの怪談作品をまとめた書籍です。書名に「思い出の記」が含まれていますが、書籍全体と、その中に収録されたセツの回想部分は区別する必要があります。
「記」という漢字が表す意味
「記」は、事柄を書き留めること、または書き留めた文章や記録を意味する漢字です。小学館の『デジタル大辞泉』でも、記録や手記、伝記などに使われる意味が説明されています。
したがって「思い出の記」は、文字どおりに解釈すれば、過去の出来事や記憶を書き記した文章という意味になります。
「思い出の記」という題名だけでは特定の著者や作品が決まるわけではありません。自伝、回想録、個人の記録など、異なる著者が同じ題名を使うこともあります。検索するときには、著者名や出版社、刊行年を合わせて確認することが大切です。
【書誌情報を徹底比較】小泉セツ版と加納邦光版など同名書籍の違い
「思い出の記」をめぐる混乱の理由は、同じ、あるいは旧仮名遣いの異なる題名を持つ書籍が複数存在することです。
国立国会図書館の書誌情報には、小泉節子著の『思ひ出の記』や、2025年刊行の『小泉八雲のこわい話・思い出の記』が登録されています。また、清水書院の公式書籍情報には、加納邦光著の『思い出の記』が掲載されています。
代表的な書籍を刊行順に整理すると、次のようになります。
| 書籍・資料名 | 著者・出版社 | 刊行情報 | 内容・特徴 |
|---|---|---|---|
| 『小泉八雲』収録「思ひ出の記」 | 田部隆次著・早稲田大学出版部 | 1914年 | 小泉節子の回想を収録した伝記 |
| 『思ひ出の記』 | 小泉節子著・ヒヨコ舎 | 2003年10月 ISBN 4-434-03614-9 |
セツの回想録を収録した書籍 |
| 『思ひ出の記』 | 小泉節子著・小泉八雲記念館監修・ハーベスト出版 | 2024年9月 ISBN 978-4-86456-533-2 |
回想録に加え、2編の手記を初の全文掲載 |
| 『小泉八雲ラフカディオ・ヘルン』 | 田部隆次著・中央公論新社 | 2025年3月24日 ISBN 978-4-12-207631-0 |
小泉セツの「思い出の記」を収録した文庫版伝記 |
| 『小泉八雲のこわい話・思い出の記』 | 小泉八雲・小泉セツ著・興陽館 | 2025年8月15日 ISBN 978-4-87723-344-0 |
18編の怪談とセツの回想を収録 |
| 『思い出の記』 | 加納邦光著・清水書院 | 2024年12月25日 ISBN 978-4-389-43071-9 |
自伝的内容、ドイツ文学、教育、異文化理解など |
| 『思い出の記』などの同名資料 | 安倍源基・藤子・基雄、服部敏良ほか | 1988年・2000年など | 小泉セツとは別の著者による同名書籍 |
出典は国立国会図書館サーチ、中央公論新社、興陽館、清水書院の各書誌・刊行情報です。なお、2025年の興陽館版は出版社の案内で240頁、国立国会図書館の書誌では237頁と記録されています。書誌のページ数は登録上の数え方によって差が生じる場合があります。
特に間違えやすいのは小泉セツ版と加納邦光版
検索上で混同されやすいのが、2024年12月に清水書院から刊行された加納邦光の『思い出の記』です。
清水書院の公式情報によれば、この書籍はB6判、208ページ、税込1,320円。自伝的な内容を中心に、著者の研究やその現代的な影響をまとめたものです。
内容には、ビスマルクに関する北海道植民地化案、ドイツの作家ヴォルフガング・ボルヒェルトの短編、日本とドイツの教育比較、異文化理解、情報操作、『万葉集』の恋歌についての考察などが含まれます。
つまり、小泉八雲や小泉セツの怪談、夫婦生活を扱った本ではありません。著者も研究分野も異なる、独立した著作です。
検索結果に「思い出の記」「清水書院」「加納邦光」という情報が表示された場合は、小泉セツの回想録と取り違えないようにしてください。
【小泉セツの回想録を解説】執筆の背景と1914年の初出
小泉セツの「思い出の記」を理解するには、夫の小泉八雲が日本でどのような人生を送り、どのように怪談文学を生み出したのかを知る必要があります。
小泉八雲の本名はラフカディオ・ハーン。1850年にギリシャ西部のレフカダ島で生まれ、アメリカで新聞記者として活動した後、1890年に来日しました。
同年8月には松江の島根県尋常中学校で英語教師となり、小泉セツと出会います。1896年にはセツと正式に結婚し、日本に帰化して小泉八雲と名乗るようになりました。
八雲は熊本、神戸、東京へと生活の拠点を移しながら、英文学教育と日本文化に関する執筆活動を続けました。1904年9月26日、心臓発作により54歳で亡くなっています。
「思い出の記」が初めて収録されたのは田部隆次の伝記
小泉セツの回想録は、八雲の死後、田部隆次が1914年に早稲田大学出版部から刊行した伝記『小泉八雲』に収録されました。
国立国会図書館の次世代デジタルライブラリーで確認できる同書の目次には、「思ひ出の記」という章が設けられています。セツ自身の文章が、八雲の生涯を記録する伝記の一部として位置付けられていたことが分かります。
田部隆次は八雲に師事した英文学者であり、八雲の著作や生涯を研究した人物です。2025年3月には、中央公論新社から同じ伝記の文庫版『小泉八雲ラフカディオ・ヘルン』が刊行され、セツの「思い出の記」も再び収録されました。
この回想録の価値は、単に有名作家の妻が夫を懐かしんだ文章という点にとどまりません。八雲の家庭での姿や創作の習慣を、最も近くで見ていた人物が記録しているところにあります。
回想録だからこそ伝わる八雲の素顔
八雲の作品を読めば、日本の伝承や怪異に対する深い関心が伝わってきます。しかし、作品がどのような家庭環境や会話から生まれたのかは、文学作品だけでは分かりません。
セツの回想には、怪談を聞かせる場面や、八雲が日本語の表現を大切にした様子、夫婦の日常生活などが描かれています。
八雲は日本語を流暢に操れたわけではありません。そのため、セツが語る内容や言葉の響きは、作品を生み出すうえで大きな役割を担っていました。
小泉八雲記念館の展示でも、セツの存在は単なる妻という立場に限定されず、文学創作を支えた「リテラリー・アシスタント」として紹介されています。
「思い出の記」は、八雲の文学を読むための補助資料であると同時に、セツ自身の人生や仕事を理解するための重要な資料でもあるのです。
【小泉八雲のこわい話との関係】耳無芳一・雪女・ろくろ首の誕生
2025年刊行の『小泉八雲のこわい話・思い出の記』が注目される理由は、怪談とセツの回想を一冊で読める構成にあります。
興陽館の公式紹介によると、本書には小泉八雲と小泉セツに関係する18編の怪談が収録されています。さらに、怪談の執筆に関する裏話を記した「思い出の記」も収録されています。
掲載されている代表的な作品には、次のようなものがあります。
- 『耳無芳一の話』:琵琶法師・芳一を主人公とする、平家の怨霊をめぐる怪談。
- 『雪女』:雪の夜に現れる不思議な女性と、人間との出会いを描いた物語。
- 『ろくろ首』:首が胴体から離れるという、日本の伝承に基づいた怪異譚。
- 『おしどり』:人間と動物の関係を通して、命や情を描く物語。
- 『茶碗の中』:日常の中に不気味な出来事が入り込む怪談。
- 『死霊』『生霊』:人間の思いや執念が怪異につながる物語。
ほかにも『幽霊滝の伝説』『葬られたる秘密』『夏の日の夢』などが収録されています。原文を読みやすい現代仮名遣いに改め、編集部による注釈を付けている点も特徴です。
セツは怪談を伝え、八雲は文学作品へと再構成した
小泉八雲の怪談文学を考える際に見落とせないのが、セツの語り部としての役割です。
2026年2月7日に開催された島根大学総合博物館の第157回アシカル講座では、八雲の創作活動におけるセツの役割が取り上げられました。同大学の2026年2月17日付の開催報告では、セツが伝えた日本各地の伝承が、八雲の解釈を経て『怪談』に収録されたことが紹介されています。
同報告では、セツの「思い出の記」に記された夫婦の創作風景についても説明されています。セツが本を見ながら怪談を語ろうとした際、八雲は自分の言葉で語るよう求めたとされています。
「本を見る、いけません。ただあなたの話、あなたの言葉、あなたの考えでなければいけません」
これは島根大学の講座報告で紹介された、セツの回想に基づく八雲の言葉です。八雲が重視したのは、単に既存の文章を翻訳することではなく、セツが記憶し、語る日本の伝承そのものだったことがうかがえます。
セツが物語を語り、八雲がその内容を英語文学として再話する。この共同作業によって、地域に伝わる怪談が国境を越えて読まれる文学作品へと発展しました。
『怪談』は単純な翻訳作品ではない
八雲の代表作『怪談』は1904年に出版された再話文学の作品集です。日本の昔話や伝承をそのまま翻訳したものではなく、八雲自身の文学的な解釈や表現が加わっています。
島根大学の講座報告では、英語の書名が「Kaidan」ではなく「Kwaidan」と表記されている点にも触れています。セツが語った当時の日本語の響きが関係していると考えられ、言葉の音や語り方まで創作の素材になっていたことが分かります。
こうした背景を知ったうえで「思い出の記」を読むと、怪談の完成品だけでは見えてこない、夫婦の創作過程やセツの文学的な貢献が浮かび上がります。
【2025~2026年最新情報】関連書籍の刊行と小泉セツへの再評価
2025年から2026年にかけて、小泉セツと小泉八雲を扱う書籍や文化活動が相次いでいます。特に、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』の放送と、セツの回想録を再編集した出版物が、関連資料を読み直すきっかけになっています。
2024年9月:ハーベスト出版が『思ひ出の記』を新装版として刊行
2024年9月26日、ハーベスト出版から小泉節子著、小泉八雲記念館監修の『思ひ出の記』が刊行されました。
ISBNは978-4-86456-533-2。国立国会図書館の書誌では132ページ、19cmの書籍として登録されています。
この新装版の特徴は、旧仮名遣いを現代表記に改め、注釈を設けて読みやすくしたことです。さらに、池田記念美術館が所蔵するセツの手記「オヂイ様のはなし」「幼少の頃の思い出」が初めて全文掲載されました。
「オヂイ様のはなし」では、母方の祖父・塩見増右衛門に関する逸話が取り上げられています。「幼少の頃の思い出」では、幼い頃の記憶や養父母との関係、西洋人ワレットとの出会いなどが描かれています。
従来の夫婦の回想録だけでなく、セツの幼少期や家族の歴史に触れられる点で、人物研究の資料としても意味のある刊行です。
2025年3月:田部隆次の八雲伝記が中公文庫から刊行
2025年3月24日には、中央公論新社から田部隆次著『小泉八雲ラフカディオ・ヘルン』が刊行されました。
488ページ、税込1,320円、ISBN978-4-12-207631-0の文庫版です。八雲の生涯を詳しく紹介し、坪内逍遙や西田幾多郎らの序文とともに、妻・小泉節子の「思い出の記」も収録しています。
回想録だけでなく、八雲の生涯や作品が生まれた背景まで理解したい読者に適した一冊です。
2025年8月:興陽館から怪談18編と回想録を収録した本が登場
2025年8月15日には、興陽館から『小泉八雲のこわい話・思い出の記』が刊行されました。税込1,320円、ISBN978-4-87723-344-0です。
『耳無芳一の話』『雪女』『ろくろ首』など18編の怪談と、小泉セツによる「思い出の記」を収録しています。難しい表現を現代仮名遣いに改め、編集部注を付けた構成です。
なお、興陽館は刊行後に書籍の誤記について訂正告知を出しています。P164のセツの出生に関する記述について、誤った「旧会津藩士・小泉一馬の長女」という記述を、「松江藩士・小泉弥右衛門の次女」に訂正しました。こうした訂正情報も、2025年版を読む際に押さえておきたい点です。
2025年9月:NHK連続テレビ小説『ばけばけ』が放送開始
2025年9月29日には、NHK連続テレビ小説第113作『ばけばけ』の放送が始まりました。
主人公のモデルは小泉セツで、外国人の夫ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)とともに怪談を愛し、明治の日本を生きる夫婦の物語が描かれています。
ただし、NHKの番組情報では、実在の小泉セツをモデルとしながらも、登場人物名や団体名などを一部変更して再構成したフィクションであり、原作はないと説明されています。
そのため、『ばけばけ』のストーリーと小泉セツの実際の回想録を完全に同一視することはできません。ドラマの人物像をより深く理解したい場合には、実際のセツが残した「思い出の記」を読むことで、史実と創作の違いも見えてきます。
2026年:島根大学の講座や小泉八雲記念館の展示も展開
2026年2月には、島根大学で小泉八雲とセツの創作活動をテーマにした講座が開催されました。夫婦の関係だけでなく、セツの語りが八雲の文学に与えた影響を考える内容です。
また、小泉八雲記念館では企画展「小泉セツ―ラフカディオ・ハーンの妻として生きて」が開催され、第2期は2025年6月13日から2026年9月6日まで実施されました。2026年10月現在、この第2期展示は終了しています。
展示では、セツの生い立ち、八雲との出会い、文学創作のパートナーとしての活動、夫の死後の暮らし、「思い出の記」を綴るまでの歩みなどが取り上げられました。
2026年の研究・文化活動を通じて、セツは八雲の妻という肩書だけでなく、作品の成立を支えた語り手、回想録の書き手としても改めて評価されています。
【どの本を読むべき?】目的別に選ぶ小泉セツの回想録と関連書籍
同名書籍が複数あるため、購入や図書館での検索では、何を知りたいのかによって選ぶ本を変えると効率的です。
小泉セツ本人の回想をじっくり読みたい人
おすすめは、ハーベスト出版の『思ひ出の記』です。
小泉節子の回想録に加え、「オヂイ様のはなし」「幼少の頃の思い出」という2編の手記を収録しています。八雲との暮らしだけでなく、セツ自身の幼少期や家族の背景にも関心がある人に向いています。
怪談を読みながら創作の裏側も知りたい人
興陽館の『小泉八雲のこわい話・思い出の記』が適しています。
『耳無芳一の話』『雪女』『ろくろ首』などをまとめて楽しみながら、セツが怪談をどのように語り、八雲の創作を支えたのかを知ることができます。
怪談文学を初めて読む人や、ドラマをきっかけに小泉八雲の作品に触れたい人にも読みやすい構成です。
小泉八雲の人生全体を理解したい人
田部隆次著『小泉八雲ラフカディオ・ヘルン』の文庫版がおすすめです。
八雲の生涯を軸に、来日前の経歴、日本での生活、文学活動、交友関係などを広く把握できます。セツの「思い出の記」も収録されているため、伝記と回想録を一緒に読みたい人に適しています。
加納邦光の『思い出の記』を探している人
この場合は清水書院の書籍を選びます。小泉八雲や小泉セツの回想録とは別作品で、加納邦光自身の自伝的な内容や研究分野を扱っています。
著者名が「加納邦光」、出版社が「清水書院」、ISBNが「978-4-389-43071-9」であることを確認すれば、取り違えを防げます。
また、古い版や原文に近い表記を探している人は、2003年刊行のヒヨコ舎版や、1914年の田部隆次の伝記に収録された「思ひ出の記」も調べる価値があります。
【思い出の記に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:小泉セツの「思い出の記」は誰が書いた作品ですか?
A1:小泉セツ(小泉節子)が書いた回想録です。夫の小泉八雲との生活や、怪談の創作を支えた経験などを記録しています。1914年刊行の田部隆次著『小泉八雲』に収録されたことで知られています。
Q2:「思い出の記」と「思ひ出の記」は違う作品ですか?
A2:小泉セツの回想録については、現代表記と旧仮名遣いの違いがあります。2024年のハーベスト出版版は『思ひ出の記』という表記です。一方、2025年の興陽館版は『小泉八雲のこわい話・思い出の記』という別の書籍名で、怪談18編と回想部分を収録しています。
Q3:加納邦光の『思い出の記』も小泉八雲に関係する本ですか?
A3:いいえ。清水書院から2024年12月25日に刊行された加納邦光の著作です。自伝的内容、ドイツ文学、教育、異文化理解、情報操作、『万葉集』などを扱っており、小泉セツの回想録とは別の作品です。
まとめ:思い出の記は小泉セツの回想録と同名書籍を区別して読む
「思い出の記」は「おもいでのき」と読み、思い出や過去の出来事を書き記した文章を意味します。小泉八雲との関係でこの作品名を調べている場合、中心となるのは妻・小泉セツ(小泉節子)の回想録です。
ただし、2024年のハーベスト出版版、2025年の興陽館版、田部隆次の伝記に収録された回想部分は、それぞれ刊行形態や収録内容が異なります。さらに、清水書院から刊行された加納邦光の同名書籍は、まったく別の著作です。
小泉セツの回想録を読む最大の意義は、小泉八雲の怪談文学がどのような人間関係と創作活動から生まれたのかを知ることにあります。『耳無芳一の話』『雪女』『ろくろ首』などの物語も、セツの語りと八雲の再話という共同作業の背景を知ることで、違った角度から味わえます。
書籍を選ぶ際は、著者名・出版社・刊行年・ISBNの4点を確認することが基本です。小泉セツの人生を深く知りたいならハーベスト出版版、怪談と回想を一緒に楽しみたいなら興陽館版、八雲の生涯を幅広く理解したいなら田部隆次の伝記を選ぶとよいでしょう。
2026年も小泉八雲と小泉セツの研究や関連書籍への関心は続いています。「思い出の記」は、八雲の文学を理解するだけでなく、その創作を支えたセツ自身の声を知るための重要な手がかりです。