【読み方を徹底確認】「おのうえきくごろう」ではなく「おのえきくごろう」が正解
「尾上」という名字は、一般的な漢字の読み方から「おのうえ」と読んでしまいがちですが、歌舞伎の名跡としての正式な読み方は「おのえ」です。
日本芸術文化振興会の文化デジタルライブラリーでも、「尾上菊五郎」は「おのえきくごろう」と表記されています。歌舞伎俳優名鑑でも、八代目の読み方は「オノエ キクゴロウ」と登録されています。
正しい読み方
尾上菊五郎:おのえ きくごろう
屋号:音羽屋(おとわや)
前名:五代目 尾上菊之助(おのえ きくのすけ)
検索時に「おのうえきくごろう」と入力しても、探している人物が八代目尾上菊五郎であれば、同じ歌舞伎俳優にたどり着きます。ただし、正式な読み方を覚えるなら「おのえ」が正確です。
また、「尾上菊五郎」は一人の人物だけを指す固有名詞ではありません。江戸時代から受け継がれてきた歌舞伎の名跡であり、初代から八代目まで複数の俳優が名乗ってきました。ここが、検索結果で混乱が起きる大きな理由です。
【八代目のプロフィール】本名・生年月日・経歴と襲名までの歩み

1977年8月1日生まれ・東京都出身
本名:寺嶋和康
屋号:音羽屋
2025年5月、八代目を襲名
八代目尾上菊五郎は、1977年8月1日生まれ。2026年10月30日現在、49歳です。本名は寺嶋和康(てらしま・かずやす)。七代目尾上菊五郎の長男として生まれ、幼少期から歌舞伎の舞台に立ってきました。
歌舞伎俳優名鑑や銀座三越の襲名記念展のプロフィールによると、1984年2月、歌舞伎座『絵本牛若丸』で六代目尾上丑之助を名乗って初舞台を踏んでいます。その後、1996年5月に五代目尾上菊之助を襲名しました。
菊之助時代から、女方と立役の両方を演じる実力派として評価されてきました。古典歌舞伎だけでなく、新作歌舞伎にも積極的に参加していることが特徴です。
八代目尾上菊五郎の基本プロフィール
2025年の襲名で何が変わった?
大きな転機となったのが、2025年5月の八代目尾上菊五郎襲名です。
松竹は、2025年5月の「團菊祭五月大歌舞伎」と6月の「六月大歌舞伎」を、八代目尾上菊五郎と六代目尾上菊之助の襲名披露興行として開催しました。
5月の襲名披露では、『京鹿子娘二人道成寺』や『弁天娘女男白浪』などが上演されました。6月には『菅原伝授手習鑑』の「車引」「寺子屋」、さらに親子で獅子の精を演じる『連獅子』も披露されています。
この襲名は、単に父から息子へ芸名を譲るだけの出来事ではありません。七代目が長年背負ってきた名跡と音羽屋の芸を、次の世代へ正式に引き継ぐ節目でした。
なお、八代目の誕生によって七代目が引退したわけではありません。七代目は引き続き七代目尾上菊五郎として舞台に出演しています。
【家系図と親子関係】七代目・八代目・六代目菊之助の関係を整理
尾上菊五郎の家系を理解するうえで、最も大切なのは八代目尾上菊五郎と六代目尾上菊之助は親子であるという点です。
七代目尾上菊五郎の長男が八代目尾上菊五郎であり、その八代目の長男が六代目尾上菊之助です。2025年には父と息子が同時に名跡を襲名し、親子二代の襲名披露が実現しました。
尾上菊五郎家の親子関係
七代目 尾上菊五郎
本名:寺嶋秀幸
八代目の父・六代目菊之助の祖父
八代目 尾上菊五郎
本名:寺嶋和康
七代目の長男・六代目菊之助の父
六代目 尾上菊之助
本名:寺嶋和史
八代目の長男・七代目の孫
それぞれのプロフィールを比べると、名前の変化と親子関係がより明確になります。
| 人物 | 本名 | 八代目との関係 |
|---|---|---|
| 七代目尾上菊五郎 | 寺嶋秀幸 | 父 |
| 八代目尾上菊五郎 | 寺嶋和康 | 本人 |
| 六代目尾上菊之助 | 寺嶋和史 | 長男 |
六代目尾上菊之助は2013年11月28日生まれ。2016年に寺嶋和史の名前で初お目見得し、2019年5月に七代目尾上丑之助を名乗って初舞台を踏みました。そして2025年、父とともに六代目尾上菊之助を襲名しています。
つまり、検索されることの多い「六代目尾上菊之助の息子」という表現には注意が必要です。六代目菊之助自身が八代目の息子であり、六代目の父親が八代目尾上菊五郎です。
七代目尾上菊五郎は現在どうしている?
1942年10月2日生まれ
本名:寺嶋秀幸
八代目の父
七代目は1942年生まれで、本名は寺嶋秀幸。1965年に四代目尾上菊之助を襲名し、1973年に七代目尾上菊五郎を襲名しました。
女方としてキャリアを積んだ後、立役にも活躍の場を広げ、『魚屋宗五郎』の宗五郎や『義経千本桜』の忠信などを代表的な役としてきました。
2003年には重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定され、2021年には文化勲章を受章しています。2025年の息子への襲名後も、七代目の名を保ちながら歌舞伎の舞台に立ち続けています。
2026年10月の歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」では、『義経千本桜』「川連法眼館」に出演。八代目と同じ演目に関わり、親子それぞれの芸を披露しました。
【歴代尾上菊五郎とは?】初代から八代目まで続く音羽屋の名跡
尾上菊五郎という名前は、歌舞伎の歴史を語るうえで欠かせない大名跡です。初代が名乗ったのは享保15年(1730年)とされ、以降、時代ごとの名優がその名を受け継いできました。
日本芸術文化振興会の文化デジタルライブラリーによると、尾上家は江戸歌舞伎の名門で、代々、世話物を得意としてきました。特に三代目、五代目、六代目は、それぞれ異なる時代の歌舞伎を代表する存在です。
歴代の菊五郎で押さえたい人物
- 初代尾上菊五郎:18世紀に活躍した名優。名跡の出発点となった人物。
- 三代目尾上菊五郎:文化・文政期の名優。『東海道四谷怪談』のお岩など複数の役を演じ、幅広い芸で知られた。
- 五代目尾上菊五郎:明治時代を代表する俳優。河竹黙阿弥作品の世話物で高い評価を受けた。
- 六代目尾上菊五郎:大正から昭和にかけて活躍。初代中村吉右衛門とともに「菊吉時代」を築いた。
- 七代目尾上菊五郎:人間国宝、文化勲章受章者。立役・女方の双方で活躍。
- 八代目尾上菊五郎:2025年襲名。古典の継承と新作歌舞伎への挑戦を進める当代。
なお、歌舞伎には養子縁組や芸の継承によって名跡が受け継がれてきた歴史があります。そのため、歴代の菊五郎がすべて実の親子として一直線につながっているわけではありません。名跡の歴史と血縁関係は分けて理解する必要があります。
屋号「音羽屋」とは?
尾上菊五郎家の屋号は音羽屋(おとわや)です。歌舞伎における屋号は、俳優やその一門を識別するために用いられる呼び名で、一般的な会社名や劇団名とは意味が異なります。
音羽屋は尾上家の芸を象徴する存在で、定紋は「重ね扇に抱き柏」。代々の俳優が受け継いできた芸や型には、家の歴史が色濃く反映されています。
その代表例が「新古演劇十種」です。尾上菊五郎家に伝わる得意な演目・役柄を集めたもので、歴代の俳優が培ってきた芸を後世へ伝える役割を持っています。
八代目の襲名は、単なる芸名の変更ではなく、この音羽屋の芸の継承という意味も持っています。
【代表作と演技の魅力】古典歌舞伎から『ナウシカ』まで
八代目尾上菊五郎の特徴は、女方と立役をともに演じられる幅広い芸域です。古典歌舞伎の伝統的な役を大切にする一方、現代の観客にも届く新作歌舞伎に積極的に取り組んできました。
代表的な古典歌舞伎
1.『弁天娘女男白浪』の弁天小僧菊之助
五代目尾上菊之助時代から重要な役として演じてきた作品です。美しい娘の姿から正体を現す盗賊へと変化する弁天小僧は、女方と立役の魅力を同時に楽しめる役柄です。
父である七代目の当たり役でもあり、八代目にとっては音羽屋の芸を受け継ぐ象徴的な演目です。
2.『京鹿子娘道成寺』の白拍子花子
舞踊の大曲として知られる演目で、華やかな衣裳、踊りの技術、役の心情表現が求められます。八代目は若い頃から女方として経験を積み、襲名披露でも『京鹿子娘二人道成寺』に取り組みました。
3.『魚屋宗五郎』の宗五郎
江戸の庶民の生活や感情を描く世話物の代表的な役です。人物の怒りや悲しみを自然な演技で表現する力が問われます。尾上菊五郎家の芸を理解するうえでも重要な演目です。
4.『義経千本桜』
歌舞伎の代表的な時代物の一つ。八代目は2026年10月の歌舞伎座公演で「川連法眼館」の佐藤忠信、実は源九郎狐を演じました。狐の動きや独特の台詞回しだけでなく、親を慕う心情も重要な見どころです。
新作歌舞伎で見せた挑戦
八代目は伝統的な演目だけにとどまりません。新しい観客層に歌舞伎を届けるため、現代の文学や映像作品を題材にした舞台にも参加してきました。
- 『NINAGAWA 十二夜』:シェイクスピア作品を歌舞伎として再構成した舞台。
- 『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』:インドの叙事詩を題材にした新作歌舞伎。
- 『風の谷のナウシカ』:宮崎駿作品を歌舞伎として舞台化した作品。
こうした活動は、古典を守ることと新しい表現に挑戦することが対立しないことを示しています。音羽屋の芸を土台にしながら、歌舞伎の表現領域を広げてきた点が八代目の大きな特徴です。
【2026年最新情報】八代目尾上菊五郎の現在と今後の公演
2026年の八代目尾上菊五郎は、襲名後の新しい立場で古典の大役に挑みながら、全国の劇場でも襲名披露を続けています。
2026年の主な活動を、尾上菊五郎オフィシャルサイトの公演スケジュールと歌舞伎美人の公演情報から整理します。
2026年の主な出演・公演履歴
| 時期 | 公演・演目 | 注目点 |
|---|---|---|
| 1月 | 新春歌舞伎公演 | 『鏡山旧錦絵』 |
| 4月 | 四月大歌舞伎 | 『裏表先代萩』『浮かれ心中』 |
| 5月 | 團菊祭五月大歌舞伎 | 七代目との共演 |
| 6月 | 六月博多座大歌舞伎 | 六代目菊之助との襲名披露 |
| 7月 | 松竹歌舞伎・巡業 | 八代目襲名披露 |
| 10月2日~20日 | 錦秋十月大歌舞伎 | 『義経千本桜』『盛綱陣屋』 |
| 11月1日~25日 | 吉例顔見世大歌舞伎 | 『仮名手本忠臣蔵』 |
2026年10月は『義経千本桜』と『盛綱陣屋』に挑戦
2026年10月2日から20日まで歌舞伎座で上演された「錦秋十月大歌舞伎」は、八代目にとって襲名後の芸を示す重要な公演となりました。
第一部『義経千本桜』「川連法眼館」では佐藤忠信、実は源九郎狐を担当。第二部『近江源氏先陣館』「盛綱陣屋」では佐々木盛綱をBプロで演じました。
歌舞伎美人のインタビューでは、襲名以来、古典にいっそう真摯に向き合いたいという思いを語っています。特に「四の切」では狐の動きや独特の台詞回しに加え、子が親を思う心情を深めたいという趣旨の説明をしています。
また、「盛綱陣屋」は歌舞伎座では初めての挑戦でした。片岡仁左衛門との交互出演という形で、大役に取り組んだことも注目点です。
2026年11月は『仮名手本忠臣蔵』に出演予定
吉例顔見世大歌舞伎
11月1日〜25日
2026年・歌舞伎座
『仮名手本忠臣蔵』
2026年10月30日現在、次の注目公演は11月の歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」です。
八代目は『仮名手本忠臣蔵』でおかるを演じる予定です。昼の部「道行」では腰元おかる、夜の部では五・六段目の女房おかる、七段目の遊女おかるを担当します。いずれもAプロでの出演です。
七代目から受け継いだ芸を土台に、女方としての経験を生かした役に取り組む点も見どころです。
2026年の活動を通じて見えてくるのは、八代目が単に名跡を継いだだけではなく、古典の大役を一つずつ自分のものにしようとしている姿です。
【プロの結論】尾上菊五郎を理解するなら「読み方・名跡・血縁」の3点が重要
「おのうえきくごろう」という検索語の背景には、読み方を知りたい人、八代目の人物像を知りたい人、七代目との関係や襲名の意味を知りたい人など、複数の検索意図があります。
歌舞伎をより深く理解するためには、次の3つを区別することが大切です。
第一に、尾上菊五郎は「おのえきくごろう」と読むこと。これは個人の呼び方ではなく、歴代の歌舞伎俳優が受け継いできた名跡の正式な読み方です。
第二に、八代目と七代目は別々の俳優であり、2026年現在も両者が活動していること。襲名によって父親が引退したわけではありません。親子がそれぞれの代数を名乗ることで、同じ名跡の歴史と現在の活動が同時に見られる状況になっています。
第三に、名跡の継承は血縁だけでなく、芸の継承でもあること。尾上菊五郎家の歴史では、世話物、女方、立役、舞踊、新作歌舞伎など、さまざまな芸が受け継がれてきました。名前だけを追うより、どの役をどのように演じてきたかを知ることで、歴代の個性が見えてきます。
特に八代目を知るなら、『弁天娘女男白浪』『京鹿子娘道成寺』『義経千本桜』を入り口にするのがおすすめです。古典の型と現代的な表現の両方に触れることで、菊之助時代から八代目へと続く芸の変化を理解できます。
【尾上菊五郎に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:おのうえきくごろうと読むのは間違いですか?
A1:歌舞伎俳優の正式な読み方は「おのえきくごろう」です。「おのうえ」ではありません。
Q2:八代目尾上菊五郎の本名は何ですか?
A2:寺嶋和康(てらしま・かずやす)です。1977年8月1日生まれで、2025年5月に八代目を襲名しました。
Q3:七代目尾上菊五郎は現在も活動していますか?
A3:はい。2025年に息子が八代目を襲名した後も、七代目として舞台に出演しています。2026年10月の歌舞伎座公演にも出演しました。
Q4:六代目尾上菊之助は八代目尾上菊五郎の息子ですか?
A4:はい。六代目尾上菊之助は八代目の長男です。本名は寺嶋和史で、2013年生まれ。2025年に父と同時に襲名しました。
Q5:尾上菊五郎の屋号は何ですか?
A5:音羽屋(おとわや)です。尾上菊五郎家を象徴する屋号で、定紋は重ね扇に抱き柏です。
Q6:八代目尾上菊五郎の代表作は何ですか?
A6:古典では『弁天娘女男白浪』『京鹿子娘道成寺』『魚屋宗五郎』『義経千本桜』などが挙げられます。新作では『NINAGAWA 十二夜』『マハーバーラタ戦記』『風の谷のナウシカ』などがあります。
Q7:2026年11月の出演予定はありますか?
A7:あります。2026年11月1日から25日まで歌舞伎座で上演される「吉例顔見世大歌舞伎」の『仮名手本忠臣蔵』で、おかるを演じる予定です。
まとめ:八代目尾上菊五郎は音羽屋の伝統を受け継ぐ当代の名優
「おのうえきくごろう」の正しい読み方は「おのえきくごろう」です。現在の八代目尾上菊五郎は、1977年生まれ、本名・寺嶋和康。七代目尾上菊五郎の長男で、2025年5月に五代目尾上菊之助から八代目尾上菊五郎へと襲名しました。
息子の六代目尾上菊之助も2025年に同時襲名を果たし、音羽屋では親子三代にわたる芸の継承が続いています。一方、父の七代目も現役で舞台に立っており、2026年も親子それぞれの活躍が見られます。
2026年10月の『義経千本桜』や『盛綱陣屋』、11月の『仮名手本忠臣蔵』など、八代目は古典の大役に挑戦し続けています。歴代の名優が築いた尾上菊五郎の名跡が、これからどのような芸として発展していくのか。七代目から八代目、そして六代目菊之助へと続く音羽屋の歩みは、今後も歌舞伎界の大きな見どころです。