抗がん剤医師の本音とは?医者は自分に使わない説と治療効果・副作用の真相を2026年徹底検証

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「医者は自分ががんになっても抗がん剤を使わない」「抗がん剤はがん細胞だけでなく正常な細胞まで傷つける」――。インターネットや書籍、SNSでは、抗がん剤治療に対する医師の本音をめぐって、さまざまな情報が飛び交っています。治療を勧める医師自身は、本当に同じ治療を受けるのでしょうか。それとも、患者には説明しないリスクがあるのでしょうか。

2026年10月現在、国立がん研究センターのがん情報サービスや日本臨床腫瘍学会の診療関連資料、がん治療医を対象とした研究を確認すると、見えてくるのは単純な「抗がん剤肯定・否定」ではありません。医師が重視しているのは、がんの種類や進行度、薬の効果、副作用、治療後に過ごせる時間、そして患者本人が何を大切にするかという問題です。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】

  • 医師の本音:「医者は自分に抗がん剤を使わない」という99%説には、一般化できる科学的根拠がありません。
  • 治療の実態:抗がん剤には根治、再発予防、延命、症状緩和などの目的があり、がんの種類によって期待できる効果が異なります。
  • 判断のポイント:副作用だけでなく、治療しない場合の経過や生活の質も比較し、標準治療を基本に納得できる選択をすることが大切です。

【抗がん剤医師の本音】医者は自分に抗がん剤を使わない説は本当なのか?

抗がん剤医者本音

「抗がん剤は毒性が強いから、医師自身は使わない」という話には、実際の医療現場で起きている問題と、根拠が不十分な情報が混在している。

まず押さえたいのは、抗がん剤を使うかどうかは、がんの種類や進行度、薬の効果、患者の全身状態によって変わるという点だ。医師が抗がん剤を一律に拒否しているわけではない。

2015年に広がった「99%の医師が拒否する」という説

この説の背景には、2015年ごろに紹介された書籍の内容がある。

BuzzFeed Newsの2017年の検証記事によると、書籍の前書きでは、がんを経験した人物の知人が国内外の医師271人に匿名で質問し、270人が自分や家族への抗がん剤使用を拒否すると答えた、という説明が掲載されていた。

しかし、この数字には重大な問題がある。

- 調査対象となった271人の医師の詳しい属性が明らかでない。
- がんの種類やステージなど、質問時の具体的な病状設定が不明確。
- 調査方法や回答の集計過程を独立して検証できない。
- 「抗がん剤」という言葉が、異なる薬剤や治療目的を一括りにしている。

例えば、薬物療法だけで治癒を目指せる悪性リンパ腫と、手術後の再発予防を目的とする大腸がんでは、治療の意味が違う。進行がんでも、薬によって長期的な病勢コントロールが期待できる場合と、効果が限られる場合がある。

そのため、病状を指定しないまま医師に抗がん剤を使うか質問しても、医学的に意味のある回答にはなりにくい。

医師は自分のがん治療をどう考えるのか

医師が自分の治療を選ぶ場合にも、判断材料は一般の患者と基本的に同じだ。

具体的には、次のような点を検討する。

- がんの種類と進行度
- 根治を目指せる治療なのか
- 抗がん剤によって再発率を下げられるのか
- 延命効果がどの程度期待できるのか
- 副作用と日常生活への影響
- 年齢、持病、肝臓や腎臓などの臓器機能
- 治療を受けない場合の予測される経過

医師だからといって、副作用を無条件に受け入れるわけではない。効果が小さく、身体への負担が大きい治療なら、自分自身が患者になった場合にも慎重に判断する。

反対に、治癒の可能性を高める治療や、明確な延命効果が期待できる治療であれば、医師自身が受ける選択も十分に考えられる。

医師の本音を知るうえで大切なのは、「抗がん剤を使うか」だけではなく、「どのがんに、どの薬を、何の目的で使うか」という条件をそろえることだ。

【2025年の医師調査を検証】専門医が自分なら受けないと考える治療とは?

「医師は患者に勧める治療と、自分が患者になった場合の治療を使い分けているのではないか」という疑問については、2025年に公表された重要な研究がある。

国立がん研究センターの研究チームなどが、日本臨床腫瘍学会の会員医師を対象に実施したアンケート調査だ。

ただし、この調査が対象にしたのは、通常の保険診療による抗がん剤治療ではない。

調査対象は、科学的根拠が確立していないにもかかわらず、先端医療を標榜して高額な費用を請求する自由診療のがん治療である。

828人の回答から見えたがん治療医の考え方

研究論文は2025年10月25日にオンライン公開された。

2024年4月24日から6月10日にかけて、日本臨床腫瘍学会の会員医師6,273人を対象に調査し、有効回答は828人、回答率は13.2%だった。

主な結果は次のとおり。

- 回答医師の76.4%が、科学的根拠の不明な高額自由診療を否定的に評価。
- 63.4%が、過去1年間に患者から該当する自由診療について相談を受けていた。
- 標準治療が利用できる状況では、93.5%が自分自身なら該当する自由診療を受けないと回答。
- 標準治療がなくなった状況でも、約73%が自分自身なら受けないと回答。

ここでいう「受けない」は、あくまでも科学的根拠が不明な高額自由診療についての回答である。保険診療で行われる抗がん剤治療を拒否するという意味ではない。

この区別は非常に重要だ。

医師が患者への説明で慎重になる理由

同研究では、医師自身は対象の自由診療を否定的に評価していても、患者から相談された際には中立的な説明をするケースが少なくないことも示された。

背景には、患者本人の意思を尊重したいという考えや、患者との関係を損ないたくないという事情がある。

一方で、医師が強く否定しないことを、治療の有効性が認められている証拠だと受け取ってしまう可能性もある。

医師が説明を控えめにすることと、その治療に医学的な根拠があることは別問題なのだ。

噂と公的研究の関係を整理

情報・調査 対象と主な結果 医学的な読み取り方
2015年ごろの99%説 271人に質問し、270人が拒否したという書籍の説明 調査方法や病状設定が不明確で、医師全体の意見として一般化できない
2017年の報道による小規模調査 医師53人、薬剤師29人の計82人を対象とした胃がん患者を想定する調査 21人、25.6%が消極的な回答。対象も少なく、特定条件での意識調査
2024年実施・2025年公表の専門医調査 日本臨床腫瘍学会の会員医師6,273人に調査し、828人が有効回答 科学的根拠が不明な高額自由診療への評価を調べた研究であり、標準的な抗がん剤治療の調査ではない
2026年の医療情報 高齢者の薬物療法やがんの遺伝子検査などに関するガイドラインが更新 年齢や遺伝子情報などを考慮した、より個別化された治療選択が進んでいる

この表から分かるのは、「医師は抗がん剤を使わない」という単純な話ではなく、科学的根拠がある治療と、効果が確立していない高額な治療を区別しているということだ。

2025年の研究は、がん治療医の意識を知るうえで有用な資料だが、回答率が13.2%である点も踏まえて読む必要がある。

【抗がん剤の効果と限界】医師が治療を勧める本当の理由

抗がん剤治療を理解するには、まず「抗がん剤」という言葉の範囲を整理する必要がある。

一般に抗がん剤と呼ばれるものには、細胞障害性抗がん薬だけでなく、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬なども含めて話されることがある。

しかし、これらは作用の仕組みが異なる。

がん薬物療法には4つの大きな種類がある

1.細胞障害性抗がん薬

細胞が増殖する仕組みを妨げ、がん細胞を攻撃する薬だ。

がん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響することがあるため、脱毛、吐き気、口内炎、骨髄抑制などの副作用が生じる場合がある。

2.分子標的薬

がんの増殖に関わる特定のタンパク質や分子を標的にする薬だ。

特定の遺伝子変異やタンパク質の発現が確認された場合に、適応となる薬がある。すべての患者に同じ効果が期待できるわけではない。

3.免疫チェックポイント阻害薬

がん細胞が免疫細胞にかけるブレーキを解除し、免疫ががんを攻撃できるようにする薬だ。

ただし、免疫反応が正常な臓器にも向かうことがあり、肺炎、腸炎、肝機能障害、内分泌障害などの免疫関連副作用が生じる場合がある。

4.内分泌療法薬(ホルモン療法薬)

乳がんや前立腺がんなど、ホルモンの働きによって増殖するがんに対して使用する。

ホルモンの分泌や作用を抑えることで、がんの進行を抑制する。

抗がん剤治療の目的は延命だけではない

国立がん研究センターのがん情報サービスでは、がん薬物療法の目的を大きく3つに整理している。

① がんを治す

一部の白血病や悪性リンパ腫などでは、薬物療法によって治癒を目指せる場合がある。

② 再発や転移の可能性を下げる

手術前に薬を使って腫瘍を小さくしたり、手術後に目に見えないがん細胞が残っている可能性を考慮して薬を使ったりする。

術後補助療法では、再発リスクを下げることが主な目的になる。

③ がんの進行を抑え、症状を和らげる

進行がんや再発がんで根治が難しい場合でも、薬物療法によって腫瘍の増大を抑えたり、症状を軽くしたりできることがある。

抗がん剤の効果はどう判断する?

治療を始めた後は、CTやMRIなどの画像検査、血液検査、必要に応じて腫瘍マーカーなどを使って効果を確認する。

効果判定には、完全奏効、部分奏効、安定、進行といった区分が用いられる。

ここで注意したいのが、腫瘍が小さくなったことと、がんが完全に治ったことは同じではないという点だ。

一方、腫瘍の大きさが変わらなくても、進行が止まっている状態を維持できているなら、治療の目的を達成している場合がある。

延命効果は数字だけで判断できない

進行がんの治療では、臨床試験における生存期間の中央値や無増悪生存期間などが説明されることがある。

しかし、生存期間の中央値は、個人がその期間しか生きられないという意味ではない。

治療効果は、がんの種類、遺伝子変異、年齢、全身状態、過去の治療歴などによって異なる。

医師から説明を受けるときは、次の点を確認したい。

- 治療によって何を目指すのか。
- 治療を受けた場合と受けない場合で、予測される経過はどう違うのか。
- 生存期間や再発率にどの程度の差があるのか。
- その効果はどのような患者を対象にした研究で確認されたのか。
- 治療によって日常生活にどの程度の影響が出るのか。

治療の価値は、がんが小さくなるかどうかだけでなく、患者がどのような時間を過ごせるかまで含めて判断する必要がある。

【副作用の実態と対処法】抗がん剤治療で医師が注意する症状

抗がん剤治療で患者が最も不安を感じやすいのが副作用だ。

実際、抗がん剤には身体に負担をかける薬があり、症状によっては仕事や家事、食事、睡眠などの日常生活に影響する。

ただし、副作用の種類や程度は薬によって異なり、すべての患者に同じ症状が現れるわけではない。

主な副作用と対処法

吐き気・嘔吐

治療薬によっては、投与直後から数日後に吐き気が現れることがある。

現在は制吐剤などの支持療法が発達しており、薬剤の種類やリスクに応じて予防的に吐き気止めを使用する。

食事や水分が十分に取れない場合は、早めに医療機関へ相談する。

脱毛

細胞障害性抗がん薬の種類によっては、毛根にある細胞への影響から脱毛が起こる。

治療開始前にウィッグや帽子を準備したり、アピアランスケアについて看護師に相談したりする方法がある。

口内炎

口腔粘膜に影響が出て、痛みや食事のしにくさにつながることがある。

口腔内を清潔に保つことや、刺激の少ない食事を選ぶことが対策になる。症状が強い場合は医師や歯科医師に相談する。

しびれ・末梢神経障害

一部の抗がん薬では、手足のしびれや感覚の鈍さが生じる。

ボタンを留めにくい、箸を使いにくい、歩きにくいといった変化があれば、早めに担当医へ伝える必要がある。

白血球減少・感染症

抗がん剤によって骨髄の働きが抑えられると、白血球や好中球が減少し、感染症にかかりやすくなる。

発熱や悪寒、咳、喉の痛みなどが出た場合は注意が必要だ。

特に注意したいのは発熱

国立がん研究センターのがん情報サービスでは、白血球が減少する薬物療法を受けている患者について、37.5度以上の発熱などを医療機関に速やかに相談する症状の例として挙げている。

また、38度以上の発熱が続く場合や、意識がもうろうとする場合、呼吸困難が突然起きた場合なども緊急の確認が必要だ。

発熱性好中球減少症は、重症化すると生命に関わることがある。

発熱したときに自己判断で市販の解熱剤だけを使用して様子を見るのは避けたい。治療施設から指示された体温の基準と連絡先を事前に確認しておくことが大切だ。

副作用は我慢するものではない

抗がん剤治療に対する誤解の一つに、「副作用がつらくても、予定どおり治療を続けなければ効果が出ない」という考え方がある。

実際には、症状や検査値に応じて薬の量を調整したり、投与間隔を延ばしたり、薬剤を変更したりする場合がある。

吐き気止め、下痢止め、便秘薬、感染症対策などの支持療法も治療計画の一部だ。

副作用を早く伝えることは、治療を諦めることではない。安全に治療を続けるための重要な行動である。

【標準治療と自由診療の違い】医師が警戒するがん治療とは?

「標準治療より最新の自由診療の方が効果が高いのではないか」と考える患者や家族もいる。

特に、抗がん剤の副作用が強かったり、標準治療で十分な効果が得られなかったりした場合には、別の治療法に希望を見いだしたくなることもある。

しかし、治療を選ぶ際には、標準治療と自由診療の違いを正確に理解しておきたい。

標準治療は古い治療という意味ではない

国立がん研究センターのがん情報サービスによると、標準治療とは、科学的根拠に基づいて有効性と安全性が確認され、現時点で最良と考えられる治療のことだ。

世界各国の臨床試験や研究結果を専門家が評価し、多くの患者に推奨される治療法が診療ガイドラインなどにまとめられている。

つまり、標準治療は「平均的な治療」でも「昔からあるだけの治療」でもない。

新薬や新しい治療法が従来の標準治療より優れていることが確認されれば、新たな標準治療として位置づけられる可能性がある。

標準治療と自由診療の比較

比較項目 標準治療・保険診療 自由診療
治療の位置づけ 科学的根拠に基づく推奨治療 保険適用外の治療
有効性 臨床試験などで有効性が評価されている 治療ごとに異なり、十分な証拠がない場合もある
安全性 承認された適応や使用条件に基づく 根拠や安全管理体制を個別に確認する必要がある
費用 公的医療保険の対象となる 原則として全額自己負担
注意点 適応や患者の状態によって使用できない場合がある 効果、リスク、費用、治療後の対応を慎重に確認する

ただし、自由診療というだけで、すべての治療が科学的根拠に乏しいわけではない。

臨床試験や治験など、適切な審査や管理の下で行われる研究段階の医療もある。

問題なのは、研究段階の治療と、効果が確立した治療であるかのように宣伝される自由診療を混同することだ。

高額な免疫療法やがんワクチン療法に注意

国立がん研究センターのがん情報サービスは、科学的根拠や安全性が確立していない自由診療の免疫療法について、慎重な確認を呼びかけている。

例えば、自由診療として提供される一部のがんペプチドワクチンや樹状細胞ワクチン療法などは、医療として確立されていないものがある。

また、保険診療で効果が認められている免疫チェックポイント阻害薬であっても、承認されていないがん種や用法・用量で自由診療として使用する場合には、標準的な使用方法と同じ効果が期待できるとは限らない。

次のような説明を受けた場合は、特に慎重に判断したい。

- どのがんにも効果があると説明される。
- 標準治療より確実に治ると宣伝される。
- 治療効果を示す比較試験や論文が提示されない。
- 副作用や合併症について十分な説明がない。
- 高額な契約を急がされる。
- 主治医に相談しないよう勧められる。

治療を提案された場合は、担当医にその治療の医学的根拠、実施施設の管理体制、費用、期待できる効果について確認したい。

2026年の抗がん剤治療は何が変わっている?

2026年は、がん薬物療法の個別化を支えるガイドラインの更新も進んでいる。

日本臨床腫瘍学会と日本癌治療学会が編集する「高齢者のがん薬物療法ガイドライン改訂第2版」は2026年3月に刊行された。

また、日本臨床腫瘍学会編集の「大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス第6版」は2026年7月に刊行されている。

日本胃癌学会でも、2026年版の患者向け胃がん治療ガイドラインが刊行され、進行・再発胃がんのバイオマーカー検査に関する手引きも更新されている。

これらの動きが示しているのは、年齢だけでなく、臓器機能、がんの性質、遺伝子情報などを踏まえた治療選択の重要性だ。

ただし、2026年に新しい薬が登場したからといって、すべての患者に新薬が適しているわけではない。がんの種類や遺伝子検査の結果、保険適用の条件などを確認する必要がある。

【抗がん剤を受けるべきか】医師に確認したい判断基準とセカンドオピニオン

抗がん剤治療を受けるかどうかは、患者本人にとって大きな決断だ。

医師から治療を勧められたとしても、説明を十分に理解できなければ、不安が残るのは当然である。

大切なのは、医師の意見をそのまま受け入れることでも、インターネットの否定的な情報を信じて治療を拒否することでもない。

自分の病状に照らして、治療のメリットとデメリットを比較することだ。

抗がん剤治療を判断する5つの基準

① 治療の目的が明確か

まず確認したいのは、治療によって何を目指しているのかということだ。

根治を目指す治療なのか、再発を予防する治療なのか、延命や症状緩和を目的とする治療なのかによって、判断の基準は変わる。

② 治療しない場合と比較しているか

抗がん剤の副作用だけを見るのではなく、治療を受けない場合にがんがどのように進行する可能性があるのかも確認したい。

治療による負担と、治療しない場合のリスクを両方理解する必要がある。

③ 効果がどの程度期待できるか

治療による生存期間の延長、再発率の低下、腫瘍の縮小などについて、具体的な説明を求めたい。

可能であれば、臨床試験の対象者や効果の大きさ、個人差についても確認する。

④ 副作用への対応が準備されているか

副作用が出た場合に、どこへ連絡するのか。夜間や休日の対応はどうなっているのか。薬の量を調整する基準はあるのか。

こうした情報を治療開始前に確認しておくと安心につながる。

⑤ 自分の生活や価値観に合っているか

仕事を続けたいのか、家族との時間を優先したいのか、できるだけ入院を避けたいのか。

患者が大切にする生活のあり方によって、適切な治療方針は異なる。

主治医に聞いておきたい質問

診察時には、次の質問をメモして持参するとよい。

1. 私のがんの種類とステージでは、なぜこの抗がん剤が推奨されるのですか?
2. この治療の第一の目的は根治、再発予防、延命のどれですか?
3. 治療を受けた場合と受けなかった場合で、どのような違いが予測されますか?
4. 私に起こりやすい副作用と、特に注意すべき症状は何ですか?
5. 副作用が強い場合、減量や休薬、薬の変更はできますか?
6. 治療の効果はいつ、どの検査で判断しますか?
7. 治療を中止または変更する基準は何ですか?
8. 別の治療法や臨床試験を選択できる可能性はありますか?

「もし先生自身が私と同じ病状なら、この治療を選びますか」と聞くことも、治療の考え方を理解する一つの方法だ。

ただし、医師個人の価値観と医学的な推奨は区別して聞く必要がある。

セカンドオピニオンは担当医を否定する制度ではない

治療方針に迷ったときには、セカンドオピニオンを利用できる。

これは、現在の担当医とは別の医師に診断や治療方針について意見を求める仕組みだ。

国立がん研究センターのがん情報サービスによると、セカンドオピニオンを受けることは、そのまま転院を意味するものではない。現在の担当医のもとで治療を受けることを前提に、別の専門医の意見を聞くこともできる。

一般的な手順は次のとおりだ。

1. セカンドオピニオンを受けたいことを現在の担当医に伝える。
2. 紹介状や診療情報提供書を準備してもらう。
3. 血液検査、病理診断、CT・MRIなどの画像データを用意する。
4. 受診先の予約方法、費用、必要書類を確認する。
5. セカンドオピニオンを受け、結果を現在の担当医と共有する。

セカンドオピニオン外来は、原則として公的医療保険の対象外で、費用は全額自己負担となる。

担当医に直接伝えにくい場合は、がん相談支援センターに相談する方法もある。

緩和ケアは抗がん剤治療を諦めることではない

もう一つ、知っておきたいのが緩和ケアの役割だ。

緩和ケアは、がんが進行して治療ができなくなったときだけに受けるものではない。

国立がん研究センターのがん情報サービスでは、がんと診断されたときから、痛みや吐き気、息苦しさ、不安、仕事や生活に関する悩みなどを和らげるために緩和ケアを利用できるとしている。

抗がん剤治療を続けながら緩和ケアを受けることも可能だ。

治療によって生存期間を延ばすことと、その時間をできるだけ苦痛なく過ごすことは、対立するものではない。

患者本人が何を大切にしたいのかを医療チームと共有し、必要な支援を組み合わせることが大切だ。

【抗がん剤医師の本音】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:医者は自分ががんになっても抗がん剤を使わないというのは本当ですか?
A1:一律にそうとはいえません。2015年ごろに広がった99%説は、調査方法や病状設定が十分に明らかでなく、医師全体の意見を示す根拠にはなりません。実際には、がんの種類や進行度、治療目的によって判断が異なります。

Q2:抗がん剤は正常な細胞まで攻撃するので危険ですか?
A2:細胞障害性抗がん薬は、正常な細胞にも影響するため副作用が起こることがあります。ただし、薬の種類によって作用は異なり、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などもあります。副作用のリスクと治療効果を比較して使用を判断します。

Q3:抗がん剤を受けると必ず髪が抜けますか?
A3:必ずではありません。脱毛の有無や程度は使用する薬によって異なります。脱毛が起こる可能性がある場合は、治療開始前にウィッグやアピアランスケアについて相談できます。

Q4:抗がん剤治療は延命効果がありますか?
A4:がんの種類や進行度、薬剤によって異なります。治療によって延命が期待できる場合もあれば、根治や再発予防を目的とする場合もあります。個別の効果は主治医に確認する必要があります。

Q5:標準治療より自由診療の抗がん剤の方が優れていますか?
A5:自由診療という理由だけで優れているとは判断できません。標準治療は科学的根拠に基づいて有効性と安全性が評価された治療です。自由診療を検討する場合は、臨床試験の結果、治療効果、安全性、費用を確認してください。

Q6:抗がん剤の副作用がつらい場合は治療を中止できますか?
A6:副作用の程度や治療効果に応じて、減量、休薬、薬剤変更などを検討することがあります。自己判断で中止せず、担当医や看護師、薬剤師に早めに相談してください。

Q7:抗がん剤を受ける前にセカンドオピニオンを受けてもよいですか?
A7:受けることができます。紹介状や検査結果、病理診断、画像データなどを準備し、別の専門医から治療方針について意見を聞くことができます。セカンドオピニオンを受けても、必ず転院する必要はありません。

まとめ:抗がん剤医師の本音は「効果と負担を見極めること」

「医者は自分に抗がん剤を使わない」という説は、医師全体の意見を示す確かな根拠があるものではない。

2025年に公表された日本臨床腫瘍学会会員医師への調査では、科学的根拠が不明な高額自由診療について、多くの専門医が否定的な評価を示した。一方、この結果を標準的な抗がん剤治療への否定と解釈することはできない。

抗がん剤治療には、がんを治す、再発を防ぐ、進行を抑える、症状を緩和するといった複数の目的がある。副作用も確かに存在するが、支持療法や薬剤の調整によって負担を軽減できる場合もある。

2026年のがん治療では、高齢者の身体機能、遺伝子情報、薬剤ごとの特徴などを考慮した個別化が進んでいる。だからこそ、過去の医師の発言や古い書籍の数字だけで、現在の治療を判断するべきではない。

【プロの結論】

抗がん剤治療を選ぶ際に、本当に確認すべきなのは次の3点だ。

第一に、治療によって何が期待できるのか。 根治なのか、再発予防なのか、延命なのかを明確にする。

第二に、その効果に対してどの程度の負担が生じるのか。 副作用だけでなく、通院頻度、入院の可能性、生活への影響も確認する。

第三に、自分が大切にしたい生活と治療方針が合っているのか。 必要に応じてセカンドオピニオンや緩和ケアも利用する。

医師の本音を知ることは、医師を疑うためではなく、自分自身が納得できる治療を選ぶために役立てるものだ。

抗がん剤を受けるか、別の治療を選ぶか、治療を休むかという判断は、患者本人と医療チームが十分な情報を共有したうえで決めていく。

不安を抱えたまま治療を始める必要はない。疑問を一つずつ解消し、科学的根拠と自分の価値観の両方を大切にすることが、後悔の少ないがん治療につながる。

主な根拠資料・研究: