歩行者は右側通行が原則?道路交通法第10条と左側を歩ける例外を2026年最新解説

目次

「歩行者は右側を歩く」「車は左側を走る」――日本の交通ルールとして広く知られているこの原則。しかし、実際には歩道がある道路でも右側を歩かなければならないのでしょうか。それとも、歩道や路側帯の有無によって通行位置が変わるのでしょうか。

歩行者の通行位置を定めているのは、道路交通法第10条です。ポイントは、右側通行が原則になるのは、歩道や歩行者が通行できる十分な幅員の路側帯と車道の区別がない道路だということ。歩道が設置されている道路では、左右のどちら側にある歩道かにかかわらず、原則として歩道を通行します。2026年10月現在の法令をもとに、右側通行の理由、左側を歩ける例外、自転車との違いまで整理します。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】

  • 右側通行の原則:歩道等と車道の区別がない道路では、歩行者は道路の右側端に寄って通行する。
  • 歩道がある場合:原則として歩道を通行するため、右側・左側という車道上の通行原則をそのまま当てはめない。
  • 左側通行の例外:右側端を歩くことが危険な場合や、その他やむを得ない事情がある場合は、道路の左側端を通行できる。

【まず結論】歩行者が右側を歩くのは歩道と車道の区別がない道路

歩行者右側

歩行者の右側通行は、すべての道路で無条件に適用されるルールではありません。道路交通法第10条第1項が定めているのは、歩道や歩行者が通行するのに十分な幅員を持つ路側帯と、車道との区別がない道路における通行方法です。

この条件に当てはまる道路では、歩行者は道路の右側端に寄って歩かなければなりません。一方、歩道等と車道が区別されている道路では、同条第2項によって、原則として歩道等を通行することになります。

つまり、「歩行者は右側」という覚え方だけでは不十分です。最初に確認するべきなのは、道路の左右ではなく、歩道や路側帯が設けられているかどうかです。

2026年10月現在、e-Gov法令検索に掲載されている道路交通法第10条でも、この基本的な区分が定められています。歩行者の通行位置を判断するときは、第1項と第2項をセットで理解することが大切です。

【なぜ右側を歩く?】車は左、歩行者は右になった歴史的理由

日本で「車は左側、歩行者は右側」という対面交通の考え方が採用された背景には、交通事故を防ぐ目的があります。

歩行者が道路の右側を歩けば、左側通行で向かってくる自動車と正面から向き合う形になります。車が背後から近づく左側通行に比べ、接近する車両の存在を視覚的に把握しやすく、危険を感じたときに避ける判断をしやすいという考え方です。

この制度の歴史をたどると、昭和24年(1949年)11月に実施された対面交通への切り替えに行き着きます。それ以前は、歩行者も車馬も左側を通行していました。制度変更によって、車馬は従来どおり左側、歩行者は右側を通行する方式になりました。

昭和25年7月28日受領の衆議院に対する政府答弁書では、対面交通制度を採用した根本目的について、交通事故の発生防止と説明しています。また、車両側の通行方向を変更するには戦後の施設改造などに大きな困難があったことも、制度選択の理由として挙げられています。

興味深いのは、歩行者の右側通行が自動車のハンドル位置によって決められたわけではないという点です。国会の公式記録でも、制度導入の理由は対面交通による事故防止と、当時の交通施設の事情にあったことが確認できます。

したがって、歩行者右側通行の本質は、単なる左右の慣習ではありません。歩行者と自動車が互いの存在を認識しやすい通行関係をつくるための交通安全上の仕組みです。

【道路別に比較】歩道・路側帯・歩道のない道路ではどこを歩く?

実際の道路では、歩道の有無だけでなく、白線で区切られた路側帯があるかどうかも確認する必要があります。道路交通法第10条の考え方を、代表的な道路の形状に当てはめると次のようになります。

道路の状態 歩行者の通行位置 判断のポイント
歩道がある道路 原則として歩道 車道ではなく歩行者用の通路を利用する
十分な幅員の路側帯がある道路 路側帯 道路の左右を問わず、歩行者用スペースを利用する
幅の狭い路側帯がある道路 原則として道路の右側端 白線があるだけで十分な幅員の路側帯とは限らない
歩道も十分な幅員の路側帯もない道路 道路の右側端 対面交通を意識して車の接近を確認する
右側端が危険な道路 道路の左側端も通行可能 危険ややむを得ない事情がある場合の例外

歩道がある道路では左右よりも歩道の利用が優先

歩道と車道が縁石や柵などで分けられている道路では、原則として歩道を歩きます。

この場合、歩道が道路の右側にあるか左側にあるかは、歩行者が車道上の右側通行を選ぶ理由にはなりません。歩道が左側に設置されているなら、基本的にはその歩道を利用します。

また、歩道上で歩行者全員に一律の左側通行や右側通行を義務付ける規定が道路交通法第10条にあるわけではありません。ただし、普通自転車通行指定部分が設けられている歩道では、歩行者はその部分をできるだけ避けて通行するよう努めなければなりません。

路側帯は白線の位置と幅員を確認する

路側帯とは、歩道が設けられていない道路や歩道のない側において、道路標示によって区画された歩行者用の通路です。通常は車道の端に白線で区切られたスペースとして見られます。

ここで注意したいのが、白線があれば必ず歩行者が通行するのに十分な路側帯になるわけではないという点です。

道路交通法第10条が歩道等として扱うのは、歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯です。例えば、三重県鈴鹿市の公式案内では、十分な幅員の目安として約1.0メートル以上を紹介しています。ただし、これは同市の案内における目安であり、道路交通法に全国一律の数値基準として明記されているわけではありません。

したがって、狭い白線部分を見て「ここは必ず歩行者用の通路だ」と判断するのは早計です。道路の構造や路側帯の幅を確認する必要があります。

歩道がない道路では右側端に寄る

歩道も歩行者が通行できる十分な路側帯もない道路では、道路の右側端に寄って歩きます。

住宅街の生活道路や、郊外の歩道が整備されていない道路などが代表的です。こうした場所では、自動車が歩行者のすぐ近くを通過することもあるため、できるだけ道路の端に寄り、前方から近づく車の動きを確認しながら歩く必要があります。

なお、歩道がある道路の車道外側線と、歩道のない道路に設けられた路側帯は、見た目が似ている場合があります。しかし、歩道がある道路の車道外側線は、それだけで路側帯を意味するものではありません。国土交通省の資料でも、歩道の有無によって道路標示の意味が異なることが説明されています。

【左側を歩ける例外】右側通行が危険なら道路交通法上も認められる

道路交通法第10条第1項には、右側端を通行することが危険であるとき、その他やむを得ないときは、道路の左側端に寄って通行できるという例外が設けられています。

この規定は、右側通行を守ること自体が危険を招く場面まで、無理に右側を歩くよう求めているわけではないことを示しています。

左側通行が認められる可能性のある状況

  • 右側の路端が崩れやすく、転落などの危険がある場合。

  • 右側に障害物や工事箇所があり、安全な通行スペースを確保できない場合。

  • 右側端が極端に狭く、車両との接触などの危険が高い場合。

  • 右側に移動するために道路を横断すること自体が危険な場合。

これらは法律に列挙された限定的な条件ではなく、「右側端を通行することが危険」「その他やむを得ない」という条文を具体的な道路状況に当てはめた例です。実際の判断では、その場所の交通状況や安全な通行スペースを考慮する必要があります。

歩道が工事中の場合も例外になる

もう一つ区別しておきたいのが、道路交通法第10条第2項の例外です。

歩道等と車道の区別がある道路では、原則として歩道等を通行しなければなりません。ただし、車道を横断するときや、道路工事などによって歩道等を通行できないとき、その他やむを得ないときは例外になります。

例えば、歩道の工事で通行止めになっている場合、歩行者は現場の案内や誘導に従って迂回する必要があります。仮設通路があればそちらを利用し、安全を確保できる場所から通行することが基本です。

この第2項の例外と、第1項の左側通行の例外は別の規定です。歩道が使えないからといって、常に道路の左側を歩けばよいという意味ではありません。道路の構造や現場の交通規制を踏まえて判断します。

【車と自転車との違い】歩行者は右側、自転車は左側が基本

歩行者と自転車では、同じ道路を利用していても法律上の立場が異なります。

歩行者は道路交通法第10条に基づき、歩道等がない道路では右側端を通行するのが原則です。一方、自転車は道路交通法上の軽車両であり、原則として車道の左側を通行します。

自動車と自転車は車両として左側を通行する

道路交通法第17条では、車両は原則として歩道と車道の区別がある道路では車道を通行すること、第18条では車両通行帯が設けられていない道路で自動車や原動機付自転車は道路の左側に寄り、軽車両は左側端に寄って通行することを定めています。

自転車は軽車両に分類されるため、基本的な通行位置は車道の左側端です。歩行者と同じ感覚で右側を走ることはできません。

自転車が歩道を通行できるのは例外的な場合

普通自転車は、次のような場合に歩道を通行できます。

  • 道路標識や道路標示で歩道通行が認められている場合。

  • 運転者が13歳未満または70歳以上の場合、あるいは一定の身体障害がある場合。

  • 車道の幅や交通状況などから、安全確保のため歩道通行がやむを得ない場合。

ただし、歩道を通行できる場合でも自転車が優先されるわけではありません。普通自転車は歩道の中央から車道寄りの部分を徐行し、歩行者の通行を妨げる場合は一時停止しなければなりません。

また、歩道に普通自転車通行指定部分がある場合は、指定された部分を通行します。歩行者側も、指定部分をできるだけ避けるよう努めることが道路交通法第10条第3項に定められています。

路側帯では歩行者と自転車の通行位置が異なる

路側帯に関しても、歩行者と自転車のルールは同じではありません。

十分な幅員がある路側帯は歩行者が利用できます。一方、自転車が路側帯を通行できるのは、原則として道路の左側部分に設けられた路側帯であり、歩行者の通行を妨げない速度と方法で進まなければなりません。歩行者用路側帯は自転車の通行対象外です。

警察庁や国土交通省の自転車交通ルールの案内でも、車道では左側通行、歩道では歩行者優先という原則が示されています。歩行者と自転車の通行位置を混同しないことが、接触事故を防ぐうえで欠かせません。

【2026年最新の実践編】歩行者の通行区分を迷わず見分ける方法

実際の道路で迷ったときは、道路の左右を先に決めるのではなく、歩行者が利用する専用スペースの有無から確認すると判断しやすくなります。

道路を見たときの判断手順

第一段階:縁石や柵で区切られた歩道があるか。

歩道があれば、原則として歩道を通行します。車道の右側・左側を選ぶ必要はありません。

第二段階:白線で区切られた路側帯があるか。

路側帯があれば、歩行者の通行に十分な幅員があるかを確認します。幅が十分なら、その路側帯を通行します。

第三段階:歩道等がなければ右側端に寄る。

歩道も十分な幅員の路側帯もなければ、道路の右側端が基本です。ただし、右側を通行することが危険な場合には左側端を選べる例外があります。

第四段階:工事や通行止めがあれば現場の案内を優先する。

歩道が閉鎖されている場合は、仮設通路や誘導表示を確認します。通常の通行ルールを機械的に当てはめず、安全な経路を選んでください。

右側を歩いていれば事故に遭わないわけではない

右側通行は、車両の接近を認識しやすくするための基本ルールですが、それだけで事故を防げるわけではありません。

警察庁が公表している2021年から2025年までの5年間の集計では、自動車と歩行者が衝突した交通死亡事故は4,158件発生しています。このうち、歩行者が横断中だった事故は2,843件で、約7割を占めました。

さらに、横断中の事故のうち1,784件は横断歩道以外の場所を横断していた際に発生しています。警察庁は、こうした事故の中には走行中の自動車の直前・直後を横断するなど、歩行者側の法令違反があったケースも多いと説明しています。

道路交通法第12条では、横断歩道がある場所の付近では、その横断歩道を利用して道路を横断することが定められています。第13条では、車両の直前・直後での横断や、横断禁止場所での横断も制限されています。

夜間や薄暮の時間帯には、反射材やLEDライトを活用することも有効です。警察庁も、明るい色の衣服や反射材を身に付け、運転者から発見されやすくするよう呼びかけています。

歩行者の安全は、右側通行だけで完成するものではありません。通行位置、横断場所、周囲の車両への注意、夜間の視認性を組み合わせて考える必要があります。

【歩行者右側に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:歩道がある道路でも歩行者は右側を歩かなければいけませんか?

A1:いいえ。道路交通法第10条第2項により、歩道等と車道の区別がある道路では、原則として歩道等を通行します。歩道が道路の左側にあっても、その歩道を利用するのが基本です。

Q2:歩道がなく、道路の右側を歩くのが危険な場合はどうすればよいですか?

A2:道路交通法第10条第1項の例外により、右側端を通行することが危険なときや、その他やむを得ないときは、道路の左側端に寄って通行できます。安全を最優先にして判断してください。

Q3:左側にある路側帯を歩いても違反になりませんか?

A3:歩行者の通行に十分な幅員がある路側帯であれば、左側に設けられていても通行できます。路側帯の幅が十分でない場合は、右側端通行の原則を確認する必要があります。

Q4:歩道の上では右側と左側のどちらを歩くべきですか?

A4:道路交通法第10条には、一般の歩道上で歩行者全員に一律の右側・左側通行を義務付ける規定はありません。ただし、自転車通行指定部分がある場合は、歩行者はできるだけその部分を避けて通行するよう努める必要があります。

Q5:歩行者と自転車は同じ方向に通行するのですか?

A5:基本的には異なります。歩道等のない道路では歩行者は右側端、自転車は車道の左側端が原則です。自転車が例外的に歩道を通行できる場合も、歩行者優先のルールが適用されます。

Q6:白線がある道路なら、必ず路側帯を歩けばよいですか?

A6:必ずしもそうではありません。白線の意味は道路構造によって異なり、歩道がある道路の車道外側線は路側帯とは限りません。また、歩行者の通行に十分な幅員があるかどうかも判断材料になります。

まとめ:歩行者右側通行は道路の構造を見て判断する

歩行者は右側を歩くという原則は、道路交通法第10条第1項に基づくものです。しかし、適用されるのは歩道や歩行者が通行できる十分な幅員の路側帯と車道の区別がない道路です。

歩道がある場合は歩道を利用し、十分な幅員の路側帯がある場合はそのスペースを通行します。歩道等がない道路では右側端が基本ですが、右側を歩くことが危険な場合や、やむを得ない事情がある場合は左側端を通行できます。

覚えておきたい判断基準は、次の3点です。

  • 歩道があるなら歩道を歩く。

  • 十分な幅員の路側帯があるなら路側帯を歩く。

  • 歩道等がなければ右側端を基本とし、危険な場合は左側端も選べる。

「車は左、歩行者は右」という言葉だけを覚えるのではなく、道路の構造と周囲の交通状況を確認して通行位置を選ぶことが大切です。2026年以降も、歩行者自身が交通ルールを理解し、安全な通行と横断を心掛けることが事故防止につながります。

主な公的根拠・参考資料

- e-Gov法令検索「道路交通法」第10条、第12条、第13条、第17条、第18条、第63条の4。
- 衆議院「道路交通取締法に関する質問に対する答弁書」(1950年7月28日受領)。
- 三重県鈴鹿市「歩道のない道路での歩行者・自転車の通行方法」。
- 国土交通省「道の相談室:歩行者・自転車、バリアフリー」。
- 警察庁「自転車の交通ルール」「横断歩道は歩行者優先です」「反射材・ライト」。