【2026年の現在は何をしている?】新刊『僕らはマンガを言葉にしたかった』と講演活動
2026年10月31日時点で注目したいのは、夏目が大学教授としての仕事を終えた後も、漫画の歴史や批評をテーマに執筆・講演・メディア出演を続けていることです。
その活動を象徴するのが、2026年5月に刊行された新刊と、年内に予定されている複数の講演です。
2026年5月20日刊行の新刊『僕らはマンガを言葉にしたかった』

『僕らはマンガを言葉にしたかった――60~70年代マンガ史私論』
- 著者:夏目房之介
- 出版社:双葉社
- 発売日:2026年5月20日
- 価格:2,420円(税込)
- ISBN:978-4-575-32070-1
2026年刊行の新作評論・マンガ史論
本書の中心テーマは、漫画を語るための言葉が、どのような時代背景から生まれたのかという問題です。
対象となるのは、主に1960~70年代の漫画文化です。
この時期には、子ども向け漫画とは異なる読者層を持つ「青年マンガ」が成長しました。漫画を読む若者が単なる消費者ではなく、作品について意見を述べ、文化を形成する存在へと変わっていった時代でもあります。
本書では、そうした変化を夏目自身の青春時代や漫画との関わりと重ねながら描いています。
特に注目したいのが、次のテーマです。
- 「ガロ」と「COM」: 1960~70年代の漫画文化を考えるうえで重要な雑誌。
- 青年マンガの誕生: 子ども向けでも大人向けでもない、新しい漫画の読者層の形成。
- 漫画批評の成立: 漫画を語る言葉や批評の方法がどのように育ったのか。
- ニューウェーブの発見: 漫画表現が多様化していく過程。
- 世代と漫画: 漫画とともに成長した戦後世代の文化的経験。
この本の価値は、単なる漫画史の解説ではないところにあります。
夏目自身が漫画文化の変化をリアルタイムで経験した世代であるため、当時の作品や雑誌を後世の研究対象として見るだけではなく、その時代を生きた読者の感覚から振り返ることができます。
漫画批評がどのように成立したのかを知りたい人にとって、2026年の重要な一冊です。
2026年11月・12月の講演予定
2026年は、書籍の刊行だけでなく、講演活動も確認できます。
漱石来熊130年記念講演会
熊本大学キャンパスミュージアム推進事業
- 日時:2026年11月22日(日)13:30~16:00
- 会場:熊本大学工学部百周年記念館
- 出演:夏目房之介、松岡浩史・熊本大学准教授
- 参加費:無料
- 定員:200人
- 参加方法:事前申し込み制
漱石の熊本赴任130年を記念する催しで、漱石に関する講演や学生による作品朗読、漫画関連の展示が予定されています。
夏目房之介の60-70年代マンガ語り
朝日カルチャーセンター新宿教室・出版記念講座
- 日時:2026年12月14日(月)15:30~17:00
- 会場:新宿教室・オンライン
- 会員:3,850円(税込)
- 一般:4,950円(税込)
5月刊行の新刊を記念した講座です。60~70年代の青年マンガの誕生や、漫画を語る言葉の変化について、著者自身の経験を交えて話す内容になっています。
いずれも2026年10月31日時点で掲載されている開催予定情報です。申し込み状況や開催条件は主催者の最新案内で確認する必要があります。
ポッドキャストにも登場する2026年の夏目房之介
講演以外では、漫画を語る音声メディアへの出演も見逃せません。
2026年10月18日配信のポッドキャスト「サンデーマンガ倶楽部」第311回には、ゲストとして夏目が出演しています。つげ義春の『義男の青春・別離』を取り上げ、1960~70年代の漫画や「ガロ」をめぐる文化的背景を語る内容です。
同番組には10月11日配信の第310回にも出演しており、漫画作品を具体的に読み解く活動を続けています。
こうした活動を見ると、夏目の現在は大学の肩書を中心としたものではなく、書籍、講演、対談、メディア出演を通じて漫画文化を伝えるスタイルへと移っていることが分かります。
【夏目漱石との関係は?】祖父と孫という意外な家系と代表的な著書
夏目房之介について検索すると、漫画評論だけでなく「夏目漱石の孫」という情報も多く見つかります。
実際、夏目房之介は文豪・夏目漱石の孫に当たります。
ただし、この関係を理解するうえで押さえておきたいのは、夏目本人が漱石に直接会った経験はないということです。
夏目漱石の孫として生まれたことの意味
夏目漱石は日本近代文学を代表する作家であり、『吾輩は猫である』『坊っちゃん』『こころ』などの作品で知られています。
その孫として知られる夏目房之介は、文学者の家系を背景に持ちながら、漫画を自分の仕事として選びました。
ITmediaの2022年の講演レポートでは、夏目自身が漱石とは会ったことがないと説明しています。父親が9歳のときに漱石が亡くなっていたためです。
また、本人が2021年に新宿区立漱石山房記念館の刊行物へ寄稿した文章では、「漱石の孫」という肩書が若い頃には重荷だったことや、自身は文学青年ではなく漫画好きとして育ったことを振り返っています。
興味深いのは、漱石の孫という家系が、最初から漫画評論家としての道を約束していたわけではない点です。むしろ、漫画という自分自身の専門分野を築くことで、その肩書との向き合い方も変わっていったことがうかがえます。
漫画評論以外にも広がる著書一覧
夏目の著書は、漫画評論だけに限られません。漫画文化論、人物論、エッセイ、夏目漱石に関する著作など、幅広いジャンルに及びます。
代表的な作品をテーマ別に整理すると、次のようになります。
漫画表現・漫画評論を知りたい人向け
- 『マンガはなぜ面白いのか――その表現と文法』
- 『手塚治虫はどこにいる』
- 『手塚治虫の冒険』
- 『マンガの力』
- 『マンガの読み方』(共著)
- 『マンガ学への挑戦』
漫画文化や社会について考えたい人向け
- 『マンガ/世界/戦略』
- 『マンガの居場所』(編著)
- 『マンガは今どうなっておるのか?』
- 『マンガに人生を学んで何が悪い?』
- 『おじさん入門』
夏目漱石や自身のルーツに関心がある人向け
- 『孫が読む漱石』
- 『不肖の孫』
これらは代表的な著作の抜粋であり、共著・編著やエッセイを含めた完全な書誌一覧ではありません。新潮社の著者プロフィールやNTTインターコミュニケーション・センターの紹介にも、漫画評論に関する複数の著作が掲載されています。
初めて夏目房之介を読むならどの本がおすすめ?
読者の目的によって、最初に手に取る本は変わります。
- 漫画の表現技法を知りたい人: 『マンガはなぜ面白いのか』。コマ割りや描線など、評論の基本的な考え方を知る入口になります。
- 漫画史を知りたい人: 2026年刊行の『僕らはマンガを言葉にしたかった』。60~70年代の青年マンガや批評の成立に関心がある人に向いています。
- 夏目漱石との家族的な関係を知りたい人: 『孫が読む漱石』。漫画評論とは異なる夏目の視点に触れられます。
作品の物語やキャラクターについての評論を期待する人には、夏目の著作は少し分析的に感じられるかもしれません。
反対に、漫画のページを構成する線やコマの意味まで深く知りたい人には、非常に読み応えのある評論家です。
【夏目房之介の現在に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:夏目房之介は2026年現在も学習院大学の教授ですか?
A1:現在は元教授です。2008年4月から学習院大学大学院で13年間教鞭を執り、2021年3月末に退職しました。現在も漫画評論、著作、講演などの活動を続けています。
Q2:夏目房之介の2026年の新刊は何ですか?
A2:双葉社から2026年5月20日に発売された『僕らはマンガを言葉にしたかった――60~70年代マンガ史私論』です。青年マンガの誕生や「ガロ」「COM」、漫画批評が成立した背景を、自身の経験とともに振り返っています。
Q3:夏目房之介は夏目漱石とどのような関係ですか?
A3:夏目漱石の孫です。ただし、漱石が亡くなったのは夏目房之介の父親が9歳のときであり、本人は祖父と直接会ったことがありません。
Q4:夏目房之介の代表作は何ですか?
A4:漫画評論では『マンガはなぜ面白いのか』『手塚治虫はどこにいる』『手塚治虫の冒険』などが代表的です。2026年の新刊『僕らはマンガを言葉にしたかった』も、漫画史と評論の成立を知るうえで注目されます。
Q5:夏目房之介の講演は2026年にも開催されますか?
A5:開催予定があります。11月22日には熊本大学関連の漱石来熊130年記念講演会、12月14日には朝日カルチャーセンター新宿教室で出版記念講座が予定されています。
まとめ:夏目房之介の評論は漫画をもっと深く楽しむための道具になる
夏目房之介は、1972年の漫画家デビューから、イラストやコラム、漫画評論、テレビ出演、大学での教育活動へと仕事の幅を広げてきた人物です。
1999年の手塚治虫文化賞特別賞は、漫画批評への貢献が評価された大きな節目でした。
また、2008年から2021年までの学習院大学大学院での教育活動を通じて、漫画を学問として研究する環境づくりにも関わりました。
2026年は『僕らはマンガを言葉にしたかった』の刊行が大きな話題です。さらに、11月・12月の講演予定や10月のポッドキャスト出演からも、漫画文化を語る活動が続いていることが分かります。
夏目房之介を知るうえで大切なのは、単に「夏目漱石の孫」「BSマンガ夜話の出演者」「元大学教授」という肩書だけで人物像を判断しないことです。
漫画を描く側の経験と、漫画を分析する側の視点を併せ持っていることこそが、夏目の評論を特徴づけています。
漫画をより深く楽しみたいなら『マンガはなぜ面白いのか』、戦後漫画の歴史や批評の成立に興味があるなら2026年の新刊から読むとよいでしょう。
漫画を読むことと、漫画を言葉にすること。その二つをつないできた夏目房之介の仕事は、漫画文化を考えるうえで今も重要な手がかりになっています。