つわりがない人の共通点とは?体質・ホルモンの理由と赤ちゃんへの影響を2026年最新情報で徹底解説

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妊娠が分かったのに、吐き気も嘔吐もなく、食事も普段どおりに取れている。周囲の妊婦にはつわりがある人が多いと、「自分だけつわりがないのは大丈夫?」「赤ちゃんは順調に育っている?」と不安になることもあるでしょう。

実際、つわりの有無や重さには大きな個人差があります。2024年に発表された日本人約2万3,000人を対象とした研究では、妊娠初期につわりの症状がなかった人は約15%でした。つわりがないこと自体は珍しい異常ではなく、体質や遺伝的な背景、胎盤由来のホルモンに対する母体の反応などが関係しています。2026年現在、注目されているのがGDF15というホルモンです。

一方、つわりがないことと流産やダウン症との関係、つわりが急になくなった場合の判断には、正確な医学的知識が欠かせません。この記事では、厚生労働省、こども家庭庁、日本の大規模研究、海外の医学論文などをもとに、つわりがない人の特徴から妊婦健診・受診の目安まで詳しく解説します。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】

  • つわりがない人の割合:日本の約2万3,000人を対象とした研究では、症状がなかった人は約15%。
  • つわりがない理由:遺伝的な体質やGDF15などのホルモンに対する母体の感受性が関係している。
  • 胎児への影響:つわりがないだけで赤ちゃんの発育不良やダウン症、流産を判断することはできない。
  • 急になくなった場合:自然な症状の変化もあるが、出血や強い腹痛を伴う場合は早めの受診が必要。
  • 健康状態の確認:つわりの有無ではなく、妊婦健診や超音波検査などで妊娠経過を確認する。

【まず結論】つわりがない人は珍しくない!割合と共通する特徴

つわりがない人の共通点

つわりがない妊婦は、決して特別な存在ではありません。妊娠初期に吐き気や嘔吐が起こる人が多い一方で、ほとんど症状を感じないまま妊娠期間を過ごす人もいます。

大切なのは、つわりがあることを妊娠の順調さを示す絶対的な基準にしないことです。

日本人約2万3,000人の研究で分かったつわりがない人の割合

つわりがない人の共通点

注目したいのが、東北大学東北メディカル・メガバンク機構などが参加する三世代コホート調査を利用した研究です。

2024年3月20日に学術誌「BMC Pregnancy and Childbirth」に掲載された「Genome-wide association study of nausea and vomiting during pregnancy in Japan: the TMM BirThree Cohort Study」では、日本人の妊婦23,040人を対象に、妊娠中の吐き気や嘔吐と遺伝的背景の関係が調べられました。

研究対象者のうち、約15%はつわりの症状がなく、約10%は食事ができないほど重い症状を経験していました。つまり、つわりがほとんどない妊婦も一定数存在することが、日本人の大規模データから確認されています。

この研究では、つわりの有無や程度を質問票で調べており、症状の感じ方や調査時期によって割合が変わる点には注意が必要です。それでも、つわりがないことが異常とは限らないという判断を支える重要なデータです。

同研究は、つわりに関連する遺伝子領域も特定しており、妊娠中の吐き気には遺伝的な背景が関係する可能性を示しました。

つわりがない人に共通する特徴とは?

つわりがない人の共通点

つわりがない人に、特定の体格や性格が共通しているという医学的な証拠はありません。

ただし、研究からは、妊娠中に分泌されるホルモンの量だけでなく、それを受け取る母体側の反応の違いが症状の強さに関係することが分かってきました。

つわりが軽い人について考える際には、次のような要素を区別することが大切です。

  • 遺伝的な違い:吐き気の起こりやすさに関係する遺伝的な個人差がある。
  • ホルモンへの感受性:同じようにホルモンが分泌されても、母体が感じる反応の強さは異なる。
  • 妊娠ごとの違い:同じ人でも妊娠するたびに症状の程度が変わることがある。
  • 症状の現れ方:吐き気がない場合でも、眠気、胸の張り、疲労感など別の妊娠初期症状が現れることがある。

ここで誤解したくないのは、「胃腸が強い人」「ストレスに強い人」「健康的な生活をしている人」だからつわりがない、と単純には説明できないことです。つわりの有無は本人の努力や精神力によって決まるものではありません。

【検証資料 1】つわりがない人の共通点の当時の様子・関連報道写真(出典:Yahoo!ニュース)

【体質とホルモンを徹底解剖】つわりがない理由はGDF15にあった?

つわりの原因については、長い間、妊娠に伴うホルモン変化が関係すると考えられてきました。しかし、同じ妊娠初期でも、吐き気が強い人とまったく感じない人がいる理由は、ホルモンの量だけでは説明できません。

その個人差を解明する手がかりとして、2024年に科学誌「Nature」に掲載された研究が注目されています。

hCG・エストロゲン・プロゲステロンの関係

妊娠初期には、妊娠を維持するために複数のホルモンが変化します。

代表的なのがhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)、エストロゲン、プロゲステロンです。

hCGは着床後、胎盤になる組織から分泌され、妊娠初期に血液中の濃度が上昇します。この変化は吐き気や嘔吐との関係が研究されてきました。

エストロゲンは妊娠中の身体の変化に関係し、嗅覚や味覚の変化にも影響する可能性があります。プロゲステロンは子宮内環境の維持に重要なホルモンで、消化管の動きにも影響を与えます。

ただし、これらのホルモンが高い人ほど必ずつわりが重くなる、低い人ほどつわりがないという単純な関係ではありません。米国産科婦人科学会(ACOG)も、つわりの原因は完全には解明されておらず、ホルモン変化が関与すると説明しています。

2024年のNature研究で注目されたGDF15とは

2024年に発表された研究で重要な役割を果たしたのが、GDF15(増殖分化因子15)です。

GDF15は、脳幹に作用して食欲や吐き気に関係する働きを持つタンパク質です。妊娠中には胎盤を含む胎児・胎盤由来の組織から多く分泌され、母体の血液中にも流れ込みます。

米国や英国などの研究者が参加した論文「GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy」は、2023年12月13日にオンライン公開され、2024年1月25日号の「Nature」に掲載されました。

研究では、妊娠中のGDF15濃度だけでなく、妊娠前からの母体のGDF15への曝露や感受性が、つわりの重症度に関係することが示されました。

特に興味深いのは、妊娠前からGDF15にさらされている状態が、その後の反応を弱める可能性が示されたことです。つまり、同じように妊娠に伴うGDF15の増加があっても、母体によって吐き気の感じ方が違うという仕組みです。

ただし、GDF15だけですべてのつわりを説明できるわけではなく、現時点で個人のつわりの有無を判定する検査として使えるものでもありません。

つわりがない人と関係する要素を比較

ホルモンや遺伝の研究を整理すると、次のような関係が見えてきます。

関連する要素 つわりとの関係 医学的に分かっていること
hCG 吐き気・嘔吐に関係する可能性 妊娠初期に増加するが、濃度だけで症状の有無は決まらない。
エストロゲン 嗅覚や味覚の変化に関与する可能性 妊娠に伴うホルモン変化の一つ。
プロゲステロン 消化管の働きや妊娠維持に関係 胃腸の動きや消化の変化に影響する。
GDF15 吐き気や食欲低下に関係 胎児・胎盤由来の分泌と母体の感受性が症状の重さに関係する。
遺伝的背景 つわりの起こりやすさに関係 2024年の日本人約2万3,000人の研究でも関連する遺伝子領域が報告された。
妊娠ごとの条件 症状の程度が変化する要因 同じ人でも妊娠ごとにつわりの程度は異なる。

この関係から分かるのは、つわりの重さは赤ちゃんの状態だけで決まるわけではないということです。母体の体質やホルモンへの反応も大きく関係しています。

2026年時点で分かっている遺伝的な個人差

2024年の日本人を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)では、つわりの症状に関連する複数の遺伝子領域が報告されました。

また、Natureの研究ではGDF15に関連する遺伝的な違いが妊娠悪阻のリスクにも関係することが示されています。

これらは、つわりが単なる気分や精神状態の問題ではなく、生物学的な仕組みを持つ症状であることを裏付ける研究です。

一方、遺伝子情報から「この人はつわりがない」と正確に予測できる段階には至っていません。家族に軽いつわりの人が多いからといって、自分も必ず軽くなるわけではない点も覚えておきましょう。

【妊娠初期の症状を週数別に解説】吐き気がないのはなぜ?

妊娠初期は、妊娠週数によって身体の変化が大きく異なります。

妊娠週数は、最終月経の初日を妊娠0週0日として計算します。そのため、妊娠検査薬で陽性になった時点では、まだつわりが始まっていないこともあります。

妊娠4〜7週:つわりが始まる人もいれば、症状がない人もいる

妊娠4〜7週は、妊娠初期の身体の変化が現れ始める時期です。

一般的には妊娠5〜6週ごろから吐き気、食欲不振、においへの敏感さなどが出てくることがあります。

ただし、この時期に吐き気がないからといって、妊娠が順調でないとは限りません。まだ症状が出ていない人もいれば、妊娠期間を通してほとんど吐き気を感じない人もいます。

妊娠8〜12週:つわりのピークを迎える人が多い

妊娠8〜12週は、つわりが強くなる人が多い時期です。

朝だけでなく、昼間や夜間にも吐き気が出たり、食べ物の好みが変化したりすることがあります。

一方、この時期になっても吐き気がほとんどない人もいます。妊娠初期の症状は全員に同じように現れるわけではありません。

妊娠12〜16週:自然に軽くなる人が増える

妊娠12週を過ぎると、つわりが徐々に軽くなる人が増えます。妊娠14〜16週ごろには症状が落ち着くケースが多く、食欲や日常生活が戻ってくることもあります。

米国のMotherToBabyが2026年2月に公開した医学情報でも、つわりは妊娠4〜9週ごろに始まり、7〜12週ごろにピークを迎え、多くの場合12〜16週ごろに落ち着くと説明されています。

ただし、症状が妊娠20週ごろまで続く人や、出産まで続く人もいます。時期には個人差があります。

つわりがなくても現れる可能性がある妊娠初期症状

妊娠初期には、吐き気以外にもさまざまな症状があります。

  • 胸の張りや乳首の敏感さ
  • 眠気や疲れやすさ
  • 頻尿
  • 便秘やお腹の張り
  • 食べ物の好みの変化
  • においに対する敏感さ
  • 気分の変化
  • 下腹部の軽い違和感

これらも必ず全員に現れるわけではありません。米国国立衛生研究所(NIH)の妊娠情報でも、妊娠初期症状は人によって異なり、一般的な症状がほとんどない場合もあると説明されています。

つまり、吐き気がないうえに胸の張りや眠気も少ないからといって、それだけで妊娠の異常を判断することはできません。

【検証資料 2】つわりがない人の共通点の活動歴およびメディア掲載記録(出典:Yahoo!ニュース)

【赤ちゃんへの影響を検証】つわりがないと流産・ダウン症の可能性は高まる?

つわりがない妊婦が特に気にするのが、赤ちゃんの健康状態です。

「つわりがないと赤ちゃんが育っていない」「吐き気がなくなったら流産の兆候」「つわりが重いとダウン症の可能性がある」といった話を目にすることもあります。

しかし、これらは医学的に正しく整理する必要があります。

つわりがないこと自体が胎児の発育に悪影響を与えるわけではない

つわりがないことは、それ自体が赤ちゃんの発育を妨げる原因ではありません。

妊娠中の吐き気や嘔吐は母体に現れる症状であり、その有無だけで胎児の発育や健康状態を評価することはできません。

むしろ、つわりが重い場合には、母体が十分な栄養や水分を取れなくなり、体重減少や脱水などの問題が起こることがあります。

国立成育医療研究センターなどが参加した約10万人規模のエコチル調査を用いた2022年の研究では、妊娠悪阻を経験した妊婦では、症状が落ち着いた後も体重増加が伸び悩むことが、出生時体重に関係する可能性が報告されました。

この研究が示しているのは、重症の妊娠悪阻では母体の栄養状態や妊娠中の体重管理が大切だということです。つわりがない妊婦と赤ちゃんの健康状態を結び付ける根拠ではありません。

つわりがないと流産しやすい?研究結果の正しい読み方

流産との関係については、実際に吐き気や嘔吐の有無と妊娠経過を調べた研究があります。

2016年11月に「JAMA Internal Medicine」に掲載された米国の研究では、妊娠前から追跡していた797人を対象に、妊娠初期の吐き気・嘔吐と妊娠喪失の関係を調査しました。

その結果、吐き気だけがあった人や、吐き気と嘔吐があった人では、症状がなかった人に比べて妊娠喪失のリスクが低いという関連が認められました。

ただし、この研究の対象は過去に1〜2回の妊娠喪失を経験した女性です。一般の妊婦全員にそのまま当てはめられるものではありません。

さらに、これは症状と妊娠経過の統計的な関連を示した研究であり、つわりがないことが流産を引き起こすと証明したものではありません。

そのため、つわりがないから流産しやすいと決めつけることも、つわりがあるから絶対に流産しないと考えることも適切ではありません。

つわりがないとダウン症になるという噂は本当?

つわりの有無とダウン症候群(21トリソミー)を直接結び付ける医学的根拠はありません。

ダウン症候群は、21番染色体が通常より1本多く存在する染色体の状態です。吐き気があるか、食欲があるか、においに敏感かといった母体の症状から、赤ちゃんの染色体の状態を判断することはできません。

同様に、つわりが重いから赤ちゃんに染色体異常がある、という判断もできません。

赤ちゃんの染色体について知りたい場合は、出生前検査という別の方法があります。

こども家庭庁の「妊娠中の検査に関する情報サイト」では、出生前検査の種類と目的が説明されています。NIPTは妊婦の血液中に含まれる胎児由来DNA断片を調べる非確定的検査であり、21トリソミーなどの可能性を調べます。陽性の場合も、それだけで確定診断にはなりません。確定には絨毛検査や羊水検査などが必要です。

通常の妊婦健診で行われる超音波検査と、染色体の状態を調べる出生前検査は目的が異なります。つわりの有無で不安になるのではなく、必要に応じて担当医に検査の内容を相談することが大切です。

【つわりが急になくなる理由】妊娠初期に症状が消えたら危険?

それまで吐き気や食欲不振があったのに、ある日突然、身体が楽になることがあります。

妊娠初期にこうした変化があると、「赤ちゃんに何か起きたのでは」と不安になるかもしれません。しかし、つわりの症状には波があり、日によって強さが変わることもあります。

理由1:ホルモンの変化によって症状が落ち着く

妊娠週数が進むと、妊娠初期に大きく変化していたホルモン環境も変わっていきます。

妊娠12〜16週ごろに吐き気が軽くなる人が多いのは、妊娠経過に伴う自然な変化の一つです。

そのため、妊娠初期の後半に症状が急に軽くなったとしても、週数やその他の体調を考慮すれば自然な経過である場合があります。

理由2:つわりそのものに日ごとの波がある

つわりは毎日同じ強さで続くとは限りません。

朝は気分が悪かったのに午後には食事ができる日もあれば、数日間ほとんど吐き気を感じないこともあります。

食事のタイミング、睡眠、疲労、においなどの環境によっても症状は変化します。厚生労働省の母性健康管理に関する用語辞典でも、つわりは個人差が大きく、空腹時や強いにおいなどの環境によって症状が悪化しやすいと説明されています。

理由3:妊娠経過が進み、身体が変化に適応している

妊娠中は、身体がホルモンの変化に適応していきます。

2024年のNature研究では、GDF15への母体の感受性が、妊娠中の吐き気の強さに関係する可能性が示されました。ホルモンの作用に対する反応の変化も、症状の軽減を考えるうえで重要な研究テーマです。

ただし、特定の日に症状が消えた原因をGDF15だけで説明できるわけではありません。

理由4:稽留流産など、症状だけでは分からない状態もある

注意したいのが、稽留流産(けいりゅうりゅうざん)です。

稽留流産とは、子宮内で胎芽・胎児の発育が停止している状態で、出血や腹痛などの自覚症状がないまま経過することもあります。

つまり、流産が起きていても、必ずしもすぐに身体の変化として現れるわけではありません。反対に、つわりがなくなったからといって、稽留流産と判断することもできません。

日本産婦人科医会は、稽留流産の診断には超音波検査による客観的な所見が必要であると説明しています。また、日本産科婦人科学会の診療ガイドラインでも、妊娠初期の流産診断は慎重に行うことが示されています。

つわりの変化だけで判断せず、不安が強い場合には産婦人科へ相談しましょう。特に出血や強い腹痛がある場合は、次の健診を待たずに連絡することが大切です。

【検証資料 3】つわりがない人の共通点に関する近況・インタビュー報道記録(出典:Yahoo!ニュース)

【妊婦健診と受診の目安】つわりがない場合は何を確認すべき?

つわりがない場合に大切なのは、症状の有無を気にし続けることではなく、妊婦健診で赤ちゃんと母体の状態を確認することです。

妊婦健診では、妊娠週数に応じて母体の健康状態や赤ちゃんの成長を確認します。

妊婦健診の超音波検査で確認できること

こども家庭庁が公開している妊婦健診の情報によると、超音波検査では、妊娠初期の赤ちゃんの大きさから妊娠週数を推定できます。その後は赤ちゃんの発育状態、胎盤の位置、羊水量などを確認します。

妊娠初期には、胎嚢や胎芽、妊娠週数に応じた心拍などを確認することもあります。

ただし、妊娠週数によって確認できる内容は異なります。初期の診察で心拍が確認できなかった場合も、排卵日のずれなどで実際の妊娠週数が計算より浅いことがあります。医師の判断に従って、適切な間隔を空けて再検査することがあります。

妊婦健診は、つわりがある人だけが受けるものではありません。症状がなくても定期的に受診してください。

つわりがない場合に受診を考えたい症状

つわりがないことだけなら、必ずしも緊急受診が必要なわけではありません。しかし、次の症状がある場合は、早めに産婦人科へ連絡してください。

  • 性器出血:少量の出血でも、妊娠週数や出血の状態によって診察が必要になる。
  • 強い下腹部痛:痛みが続く、悪化する、片側に集中する場合は早急な確認が必要。
  • めまいや失神:強い腹痛や出血を伴う場合は緊急性がある。
  • 発熱:妊娠中の感染症などが関係している可能性がある。
  • 強い体調変化:いつもと明らかに違う症状がある場合は医療機関へ相談する。

特に、妊娠初期の出血に強い腹痛、肩の痛み、ふらつきや失神が伴う場合は、子宮外妊娠など緊急の対応が必要な状態も考えられます。救急医療を含めて速やかに受診してください。

出血が少量でも、妊娠初期には自己判断で放置しないことが大切です。

妊娠悪阻と通常のつわりの違い

つわりと妊娠悪阻は、同じものではありません。

通常のつわりは、吐き気や食欲不振、嘔吐などが起こる妊娠初期の症状です。一方、妊娠悪阻は、症状が重症化し、食事や水分の摂取が困難になるなど、全身状態に影響が出る病態です。

厚生労働省の母性健康管理に関する用語辞典では、妊娠悪阻について、激しい嘔吐や食物摂取の困難、脱水、体重減少、栄養状態の悪化などを挙げています。

次のような状態があれば、我慢せず医療機関へ相談しましょう。

  • 水分を飲んでも吐いてしまう。
  • 食事がほとんど取れない。
  • 尿の量が極端に減っている。
  • 立ち上がると強いめまいやふらつきがある。
  • 短期間で体重が大きく減少した。
  • 吐いたものに血液が混じる。

厚生労働省の資料では、1週間に2kg前後の体重減少や尿中ケトン体の陽性、妊娠12週以降も症状が残る場合などを、重症化に注意する目安として挙げています。

妊娠悪阻は治療が必要になることがあり、点滴や入院加療が検討される場合もあります。つわりが軽い人と重い人では必要な対応が異なりますが、どちらの場合も体調に合わせて医療機関に相談することが大切です。

妊婦健診はどのくらいの頻度で受ける?

こども家庭庁が示す妊婦健診の推奨頻度は、次のとおりです。

  • 妊娠初期〜23週:4週間に1回
  • 妊娠24〜35週:2週間に1回
  • 妊娠36週〜出産:1週間に1回

出産までに14回程度の健診が推奨されています。実際の受診間隔や検査内容は、母体や胎児の状態、医療機関の判断によって異なります。

つわりがないことだけを理由に健診を省略する必要はありません。予定された健診を受け、心配な症状や不安があれば診察時に伝えましょう。

【プロの結論】つわりがない人が知っておきたい正しい判断基準

つわりがない人に共通する特徴を一言で表すなら、特定の性格や体型ではなく、妊娠に伴うホルモン変化に対する身体の反応に個人差があるということです。

特に、2024年のNature研究で注目されたGDF15は、母体の感受性と胎児・胎盤由来のホルモンの相互作用が、つわりの程度に関係することを示す重要な発見でした。2024年の日本人を対象にした遺伝子研究も、つわりに遺伝的な背景が関係することを裏付けています。

2026年現在、読者が押さえておきたい判断基準は次の3点です。

第一に、つわりがないことだけで赤ちゃんの健康状態を判断しないこと。吐き気がないまま妊娠経過を進める人は一定数存在します。つわりの有無は胎児の健康状態を直接評価する検査ではありません。

第二に、つわりが急になくなっても、症状だけで流産と決めつけないこと。妊娠週数が進むことで自然に症状が軽くなる場合もあります。ただし、出血や強い腹痛などがあれば速やかに受診してください。

第三に、妊婦健診を継続すること。赤ちゃんの成長や心拍などは、必要な時期に超音波検査などで確認します。つわりの強さを赤ちゃんの健康の通知表のように考える必要はありません。

つわりがないことを無理に心配する必要はありませんが、気になる症状を我慢する必要もありません。身体の変化を冷静に受け止め、医師や助産師と相談しながら妊娠期間を過ごすことが大切です。

【つわりがない人の共通点】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:つわりがない人は何人に1人くらいいますか?
A1:2024年に発表された日本人約2万3,000人の研究では、妊娠中につわりの症状がなかった人は約15%でした。およそ6〜7人に1人に相当します。ただし、調査時期や症状の定義によって割合は異なります。

Q2:妊娠初期に吐き気がないのは異常ですか?
A2:異常とは限りません。つわりがほとんどないまま妊娠期間を過ごす人もいます。妊娠初期には眠気、胸の張り、頻尿など別の症状が現れる場合もありますが、症状が少ない人もいます。妊婦健診を予定どおり受けましょう。

Q3:つわりがないと赤ちゃんに何か問題がありますか?
A3:つわりがないことだけで胎児の異常を判断することはできません。つわりの有無と赤ちゃんの健康状態は別の問題です。発育や心拍などは妊婦健診の超音波検査などで確認します。

Q4:つわりが急になくなったら流産の可能性がありますか?
A4:つわりが急になくなったことだけでは、流産とは判断できません。妊娠週数の進行やホルモンの変化、症状の日ごとの波などでも軽くなることがあります。ただし、出血や強い腹痛があれば、早めに産婦人科へ連絡してください。

Q5:つわりがないとダウン症の可能性が高くなりますか?
A5:そのような医学的根拠はありません。つわりの有無や重さから21トリソミー(ダウン症候群)を判断することはできません。染色体について調べたい場合は、担当医に出生前検査について相談してください。

Q6:1人目はつわりがひどかったのに、2人目はありません。大丈夫ですか?
A6:妊娠ごとにつわりの程度が変わることはあります。胎盤由来のホルモンや母体の反応、妊娠ごとの条件などが異なるためです。前回と今回で症状が違うことだけで、異常とは判断できません。

Q7:つわりがない場合も妊婦健診を受ける必要がありますか?
A7:必要です。妊婦健診は、つわりの有無にかかわらず母体と胎児の健康状態を確認するために行います。妊娠週数に応じた定期健診を受け、気になる症状があれば予定日を待たずに医療機関へ相談してください。

まとめ:つわりの有無ではなく赤ちゃんの成長と母体の状態を確認しよう

つわりがない人には、特定の性格や体格などの共通点があるわけではありません。妊娠に伴うホルモン変化やGDF15への感受性、遺伝的な背景などによって症状の程度に個人差が生まれます。

日本人約2万3,000人を対象とした2024年の研究では、約15%につわりの症状がありませんでした。妊娠初期に吐き気がないことは、決して珍しいことではありません。

また、つわりがないことだけで流産やダウン症、胎児の発育状態を判断することはできません。急につわりがなくなった場合も、それだけで流産と決めつける必要はありませんが、出血や腹痛などがあれば速やかに受診することが重要です。

妊娠中に本当に確認すべきなのは、つわりの強さではなく、妊婦健診での母体の健康状態と赤ちゃんの成長です。心配なことがあれば、次の健診を待たずに担当医や助産師へ相談してください。

つわりがないことを不安に感じすぎず、自分の身体の変化を大切にしながら、安心できる妊娠生活を送っていきましょう。

主な参考資料・研究

  • 東北大学ほか「Genome-wide association study of nausea and vomiting during pregnancy in Japan: the TMM BirThree Cohort Study」(BMC Pregnancy and Childbirth、2024年3月20日)
  • Fejzo et al.「GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy」(Nature、2024年1月25日号)
  • Hinkle et al.「Association of Nausea and Vomiting During Pregnancy With Pregnancy Loss」(JAMA Internal Medicine、2016年11月)
  • 厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト・母性健康管理に関する用語辞典」
  • こども家庭庁「妊娠中の検査に関する情報サイト」
  • こども家庭庁「妊婦健診の検査」
  • 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―産科編2023」
  • MotherToBaby「Nausea and Vomiting in Pregnancy」(2026年2月1日公開)

※本記事は公的資料・医学研究に基づく一般的な情報です。個別の診断や治療に代わるものではありません。妊娠経過に不安がある場合は、かかりつけの産婦人科にご相談ください。