【名古屋弘道会とは】六代目山口組を構成する中核組織の正体

目次

名古屋弘道会とは、愛知県名古屋市を拠点とする指定暴力団・六代目山口組の二次団体である「弘道会」を指す呼称だ。正式な組織名は弘道会であり、「名古屋弘道会」という別個の団体が存在するわけではない。

弘道会は1984年に結成された組織で、初代会長を務めた司忍(本名・篠田建市)は、2005年に六代目山口組の組長に就任した。その後も二代目会長の髙山清司、三代目会長の竹内照明が六代目山口組の重要ポストを担い、弘道会は山口組の中枢に位置する組織となった。

警察庁の2026年4月公表資料は、六代目山口組について、弘道会が組織を「事実上支配している」と記述している。これは単に同じ系列に属するという説明より踏み込んだ、警察当局による組織関係の評価だ。

ただし、弘道会と六代目山口組は同一組織ではない。山口組本体の直系組長と、弘道会の直系組長、さらにその下部組織の幹部は、それぞれ異なる組織階層に属する。この区別が、警察庁の検挙統計を正しく読むうえでも欠かせない。

弘道会と山口組の関係を整理

名古屋弘道会

- 六代目山口組:上部団体に当たる指定暴力団。
- 弘道会:六代目山口組の二次団体。
- 弘道会直系組織:弘道会の下に位置する組織。
- 弘道会直系組織幹部:その下部組織に所属する幹部。

この階層構造を理解すると、警察庁が六代目山口組と弘道会を分けて検挙人数を発表している理由が分かる。

【歴史・沿革】初代司忍から四代目野内正博までの変遷

弘道会の歴史は、1980年代の山口組内部の勢力再編と深く関係している。前身組織の弘田組から流れを引き継ぎ、司忍を中心として名古屋で結成されたのが始まりだ。

その後、2005年の六代目山口組発足、2013年の三代目体制への移行、2025年の四代目体制への移行と、会長の交代が続いた。歴代会長の経歴は、六代目山口組の主要人事とも重なっている。

弘道会の歴代会長と主な出来事

時期 会長・人物 主な出来事・組織上の位置付け 1984年 初代・司忍 弘道会を結成。後に六代目山口組組長に就任。 2005年 二代目・髙山清司 二代目会長に就任。同年、六代目山口組の若頭に就任。 2013年 三代目・竹内照明 三代目会長に就任。六代目山口組の幹部人事でも重要な役割を担う。 2025年4月 竹内照明 六代目山口組の若頭に就任。髙山清司は相談役に移ったと報道された。 2025年9月 四代目・野内正博 9月8日の会長就任が報じられ、弘道会の新体制が始動。

歴代会長を見て分かるのは、弘道会の会長交代が単なる地方組織の人事にとどまらず、六代目山口組の執行部人事と連動してきたことだ。特に初代から三代目までの会長が、いずれも山口組本体の重要な役職を歴任している点は特徴的である。

2025年9月、四代目体制へ移行

2025年9月8日、弘道会の会長が竹内照明から野内正博へ交代したことが、FRIDAYや日刊ゲンダイなどで報じられた。竹内は弘道会の総裁に就き、野内が四代目会長となったとされる。

同年9月25日には愛知県豊橋市内で継承式が行われたとSmart FLASHが報道。会場周辺では愛知県警のほか、関係する複数県警の捜査員が警戒に当たったという。

また、2026年3月には、野内正博会長が六代目山口組の幹部に昇格したとの報道も出ている。こうした人事は、弘道会と山口組本体の結び付きが現在も続いていることを示す材料となっている。ただし、個々の人事報道と警察庁が公表する公式統計は、情報の性質を分けて読む必要がある。

【六代目山口組との関係】2025年の検挙人数4人・13人を検証

2026年の弘道会を考えるうえで、最も注目される公的資料が警察庁の「令和7年における組織犯罪の情勢」だ。2026年4月に公表された確定値版には、六代目山口組と弘道会に対する集中取締りの状況が記載されている。

同資料によると、2025年中の検挙人員は次のとおりだった。


2025年・警察庁公表の検挙人員


5人


六代目山口組直系組長等


4人


弘道会直系組長等

13人


弘道会直系組織幹部(弘道会直系組長等を除く)


出典:警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」図表2-9。2025年の暦年集計。

ここで重要なのは、4人と13人は別々の組織階層の数字だという点である。六代目山口組直系組長等の5人も別枠で計上されている。

したがって、弘道会に関する2区分を合計すると17人、山口組本体の5人も含めると、対象となる3区分の合計は22人となる。ただし、これは六代目山口組と弘道会の全構成員の検挙総数ではなく、特定の役職階層に関する統計である。

2024年と2025年の検挙状況を比較

警察庁の図表2-9を比較すると、弘道会の直系組長等は2024年の12人から2025年の4人へ、直系組織幹部は18人から13人へ減少している。

検挙区分 2024年 2025年 増減
六代目山口組直系組長等 4人 5人 +1人
弘道会直系組長等 12人 4人 -8人
弘道会直系組織幹部 18人 13人 -5人

数字だけを見ると、弘道会の上位役職者に対する検挙人数は前年より減少した。しかし、これを組織の弱体化が確定した証拠と解釈するのは早計だ。

検挙人数は、捜査対象となった事件の発生状況、捜査期間、容疑の内容などによって変動する。人数が減ったことと、組織の影響力や資金力が同じ割合で低下したことは意味が異なる。

2025年の具体的な検挙事例

警察庁の報告書には、弘道会直系組織の幹部らによる長野県内の監禁事件も記録されている。

事件は2024年10月に発生。被害者に暴行を加えて車に乗せ、被害者宅へ連行したうえで、不法に監禁したとされる。警察庁の資料によると、2025年7月までに関係する幹部ら8人が監禁罪で逮捕された。

この事例は、2025年の弘道会直系組織幹部の検挙状況を理解する具体例となる。組織上の肩書を持つ人物が関係する事件について、警察が上位の役職層にも捜査を広げていることが分かる。なお、逮捕・検挙は有罪判決と同じ意味ではない。

【弘道会の現在の実態】2026年の勢力と愛知県の暴力団情勢

2026年の実態を把握するには、弘道会だけの人事や検挙状況に加えて、全国と愛知県の暴力団勢力全体を見る必要がある。

警察庁の2025年末統計によると、全国の暴力団構成員と準構成員等を合わせた勢力は約1万7,600人だった。前年から1,200人減少し、21年連続で減少している。構成員だけを見ると約9,400人となっている。

一方、六代目山口組の2025年末の勢力は約6,300人で、内訳は構成員約3,100人、準構成員等約3,200人。全国の暴力団勢力が縮小するなかでも、同組は最大規模を維持している。

愛知県内の2025年末の状況

愛知県警の暴力団総合対策資料によると、2025年末時点で、愛知県内の暴力団構成員と準構成員等は合わせて約770人だった。

さらに、2025年中に愛知県警が検挙した暴力団員、準構成員その他の周辺者は合計295人。この数字は弘道会だけではなく、県内の暴力団関係者全体を対象としている。

統計項目 2025年の数値 対象
愛知県内の暴力団勢力 約770人 構成員・準構成員等
愛知県内の検挙人員 295人 構成員・準構成員・周辺者
全国の暴力団勢力 約17,600人 構成員・準構成員等
六代目山口組の勢力 約6,300人 構成員・準構成員等

この比較から読み取れるのは、暴力団の人数が減少していても、愛知県では依然として組織犯罪対策が重要な行政課題になっているということだ。

なお、愛知県全体の770人という数字から弘道会単独の構成員数を割り出すことはできない。県内の他団体や準構成員等も含まれるため、弘道会の独自の人数として扱うべきではない。

「人数が減ったから影響力もなくなった」は正しいのか

暴力団勢力の減少は、暴力団対策法の運用、暴力団排除条例の普及、警察による検挙、金融・商取引面での排除などが重なった結果として表れている。

しかし、警察庁は2025年の組織犯罪情勢で、暴力団の一部が活動を不透明化し、時代に応じて資金獲得活動を多様化させていると分析している。

つまり、構成員数の減少は暴力団対策の成果を示す重要な指標である一方、組織の経済的基盤や周辺ネットワークまで消滅したことを意味しない。人数だけで安全性を判断できない点が、2026年の組織犯罪対策における重要な論点となっている。

【資金源対策と匿名・流動型犯罪グループ】愛知県警の取締りの焦点

弘道会を含む暴力団対策で、警察が重視しているのは構成員の検挙だけではない。組織を経済的に支える資金の流れを明らかにし、犯罪収益を奪い、資金源そのものを遮断することが大きな柱となっている。

暴力団の資金獲得活動はどう変化したのか

愛知県警は、従来から見られる資金獲得行為として、賭博、恐喝、覚醒剤の密売、みかじめ料や用心棒代の徴収などを挙げている。

さらに、最近の傾向として、窃盗、詐欺、違法薬物の密売、ヤミ金融などの犯罪行為や、建設業、人材派遣業、証券取引といった事業活動への関与を指摘している。

企業や個人に対する賛助金の要求、下請工事への参入要求なども、警察が注意を呼び掛ける行為だ。こうした手口は、一般の事業者や地域住民の経済活動に直接的な影響を及ぼす。

匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)との関係

2025年の組織犯罪対策で大きな焦点となったのが、匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウである。

トクリュウは、SNSなどを通じて犯罪の実行役をその都度募集し、組織の中核となる指示役や資金管理者の匿名性を保つ特徴を持つ。警察庁は、暴力団や外国人犯罪組織との一定の関係を持ちながら、特殊詐欺、強盗、窃盗などに関与する事例を確認している。

特に重要なのは、トクリュウと暴力団を同一視しないことだ。両者は異なる組織形態だが、資金の流れや人的な関係を通じて結び付くケースがある。警察庁は、暴力団構成員がトクリュウの首領となる例や、トクリュウから暴力団に資金が流れる例も確認している。

2025年の警察庁資料では、特殊詐欺の認知件数は2万7,758件、被害額は約1,414億2,000万円だった。被害額は前年から約96.7%増加し、過去最悪となっている。この数字はトクリュウなどを含む特殊詐欺全体の統計であり、弘道会の被害額や関与額を示すものではない。

愛知県警が進める「人・金・物」の対策

愛知県警は、暴力団対策の重点を「人・金・物」の3つに整理している。

- 人: 組長などの主要幹部を中心とした検挙。
- 金: 資金獲得犯罪の取締りと犯罪収益の剝奪。
- 物: 拳銃などの武器の押収。

この考え方は、末端の実行者だけを検挙しても組織の資金や指揮系統が残れば再び犯罪が発生するという構造的な問題に対応するものだ。

愛知県警が公表した2025年上半期の取組では、暴力団構成員等の検挙人員は137人だった。主な検挙事例として、弘道会傘下組織の組長らによる祭りの露店出店権の不正取得に関する詐欺事件や、参考人に対する証人威迫事件などが挙げられている。

また、歓楽街で活動する匿名・流動型犯罪グループについても、風俗店、性風俗店、オンラインカジノなどの賭博店、客引きやスカウトといった事業への関与を問題視している。こうした収益の一部が暴力団の資金源になっている実態がうかがわれるとして、部門横断的な取締りを進めている。

【暴力団対策法・愛知県暴排条例】名古屋市が進める排除活動

弘道会を含む暴力団に対する規制は、警察の捜査だけで成り立っているわけではない。国の法律、愛知県の条例、名古屋市の行政措置、事業者や地域住民による暴力団排除活動が組み合わさっている。

暴力団対策法による規制

暴力団対策法の正式名称は「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」。1991年に制定され、1992年に施行された。

同法は、一定の要件を満たす団体を指定暴力団として指定し、構成員による暴力的な要求行為などを規制する制度を設けている。不当要求に対する中止命令や再発防止命令など、行政的な措置も重要な役割を果たす。

六代目山口組をめぐっては、2015年8月末の分裂以降、神戸山口組、池田組、絆會との対立抗争が問題となってきた。2020年1月には六代目山口組と神戸山口組が特定抗争指定暴力団等に指定され、その後、池田組と絆會にも同様の指定が行われた。

2026年4月に公表された警察庁の2025年報告書でも、関係団体の指定期限の延長や警戒区域の見直しが記載されている。2025年に抗争終結の意向が報じられたことと、法的な規制が解除されることは別問題である。

愛知県暴力団排除条例の役割

愛知県暴力団排除条例は、県、事業者、県民それぞれの責務や、暴力団排除の基本施策、禁止行為などを定めている。

特に、暴力団排除特別区域における禁止行為は、歓楽街などの地域から暴力団の活動基盤を取り除くための重要な仕組みだ。

愛知県警の2025年上半期資料では、条例改正に伴う周知活動として、次のような内容が取り上げられている。

- 暴力団員の名義利用等の禁止。
- 祭礼やイベントへの暴力団関与を防止する措置。
- 暴力団事務所の開設・運営を禁止する区域の追加。
- 暴力団排除特別区域における客引き・スカウト等への規制対象の拡大。

このように、条例の対象は暴力団員本人だけではなく、暴力団と関係する事業者や、歓楽街の経済活動にも広がっている。

名古屋市の暴力団排除活動と2026年の行政措置

名古屋市では、2012年4月1日に名古屋市暴力団排除条例が施行された。

同条例では、市が行う公共工事などの入札や公の施設の利用について、暴力団の利益につながる場合に排除措置を講じることを定めている。また、市民が暴力団の威力を利用することや、暴力団員に不当な利益を供与することも禁止している。

祭礼や興行などの主催者にも、暴力団を行事運営に関与させないための措置が求められる。市は、地域で暴力団排除活動を行う団体に対して、活動資材や啓発物品を支援する制度も設けている。

さらに、2026年9月18日更新の名古屋市公式資料では、暴力団関係事業者を市の契約などから排除する措置が明示されている。

対象となるのは、工事や物品購入、業務委託などの調達契約、公有財産の売却・貸付、公の施設の指定管理者の指定などだ。

排除要件には、役員などに暴力団員がいる場合、暴力団員が経営に実質的に関与している場合、暴力団員に資金や便宜を供与している場合などが含まれる。調達契約における排除期間は、要件によって12か月、6か月、3か月などに設定されている。

市民からの通報などを基に市が警察に照会し、警察が該当性を確認する仕組みも整えられている。これは、暴力団への資金流入を防ぐだけでなく、公共事業や行政サービスの公正性を守るための対策でもある。

【名古屋弘道会に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:名古屋弘道会とは何ですか?

弘道会の通称的な呼び方で、名古屋を拠点とする六代目山口組の二次団体を指す。独立した別組織の名称ではない。

Q2:弘道会と六代目山口組の関係は?

弘道会は六代目山口組の二次団体に当たる。警察庁は弘道会が六代目山口組を事実上支配していると記述し、両組織と傘下組織への集中取締りを進めている。

Q3:弘道会の歴代会長は誰ですか?

初代・司忍、二代目・髙山清司、三代目・竹内照明、四代目・野内正博と報じられている。2025年9月に野内正博が四代目会長に就任した。

Q4:弘道会の2025年の検挙人数は何人ですか?

警察庁の2025年統計では、弘道会直系組長等が4人、弘道会直系組織幹部が13人。合計17人で、六代目山口組直系組長等の5人は別枠である。

Q5:2026年現在、弘道会の構成員は何人ですか?

弘道会単独の確定した構成員数は、今回参照した警察庁の公表資料からは特定できない。2025年末の愛知県全体の暴力団勢力は約770人で、全国は約1万7,600人となっている。

Q6:名古屋市ではどのような暴力団排除対策をしていますか?

名古屋市暴力団排除条例に基づき、公共工事や行政契約から暴力団関係事業者を排除する措置を実施している。また、地域の暴力団排除活動に対する支援も行っている。

Q7:暴力団から不当な要求を受けた場合はどうすればよいですか?

相手と直接交渉せず、警察や暴力追放運動推進センターなどに相談することが大切だ。愛知県警の暴力団相談窓口は052-951-7700、緊急時は110番。相談者や関係者の秘密を厳守する旨も案内されている。

まとめ:名古屋弘道会の2026年を読み解く3つのポイント

名古屋弘道会、すなわち弘道会は、1984年の結成から現在まで、六代目山口組の中核を担ってきた組織である。司忍、髙山清司、竹内照明という歴代会長の人事は、山口組本体の権力構造とも密接に結び付いてきた。

2025年9月には野内正博が四代目会長に就任したと報じられ、2026年には新体制の動向が注目されている。一方、警察庁が公表した2025年の検挙統計では、弘道会直系組長等4人、直系組織幹部13人が検挙されており、警察による上位幹部への集中取締りが続いている。

今後の動向を判断する際には、次の3点が重要だ。

1. 組織人事: 四代目体制への移行と六代目山口組本体の幹部人事。
2. 警察の取締り: 主要幹部の検挙、資金獲得犯罪の解明、犯罪収益の剝奪。
3. 社会からの排除: 愛知県暴力団排除条例と名古屋市の行政契約・地域活動を通じた資金流入の防止。

暴力団の構成員数が減少していることは、社会全体の排除活動が一定の成果を上げていることを示す。しかし、匿名・流動型犯罪グループとの関係や、犯罪収益を通じた経済的な結び付きには引き続き警戒が必要だ。

2026年の弘道会を理解するためには、歴代会長の交代だけでなく、警察庁の検挙統計、愛知県警の資金源対策、名古屋市の暴力団排除施策を合わせて見ることが欠かせない。組織の実態を判断するうえで、最も信頼できる基準は、肩書や噂ではなく、継続的に公表される公的な記録と具体的な取締りの結果である。

主な参考資料:警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」(2026年4月)、愛知県警察「暴力団総合対策」「令和7年業務重点関連資料」、名古屋市「名古屋市暴力団排除条例」「名古屋市が行う契約等からの暴力団関係事業者の排除」、神戸新聞、FRIDAY、Smart FLASH、日刊ゲンダイの関連報道。