【谷本夫妻の逮捕から判決まで】2025年から2026年の事件経緯

目次

モームリ事件は、単なる家宅捜索や逮捕で終わったわけではありません。運営会社の起訴、経営者交代、刑事裁判、判決という段階を経て、2026年8月に東京地裁の判断が示されました。

事件の重要な動きを時系列で整理します。

2025年10月22日:アルバトロスに家宅捜索

モームリ社長妻

警視庁は2025年10月22日、株式会社アルバトロスに家宅捜索を実施しました。

問題となったのは、退職代行の利用者を弁護士に紹介し、その見返りとして紹介料を受け取っていた疑いです。

10月24日、アルバトロスは公式サイトで家宅捜索を受けたことを認めました。会社は顧問弁護士との契約解除や役員体制の見直しを発表し、管理体制の再構築を進める方針を示しました。

2026年2月3日:谷本慎二と妻の志織を逮捕

2026年2月3日、警視庁は谷本慎二容疑者と妻の志織容疑者を弁護士法違反(周旋)の疑いで逮捕しました。

逮捕当時、慎二氏は37歳、志織氏は31歳と報じられています。

逮捕容疑では、弁護士資格を持たない2人が、退職希望者の勤務先との交渉に関する法律事務を弁護士に紹介し、報酬を得ていたことが問題視されました。

2026年2月24日:夫婦と運営会社が起訴

東京地検は2月24日、谷本夫妻と法人としてのアルバトロスを弁護士法違反の罪で起訴しました。

紹介を受けていた弁護士2人も、弁護士法違反(非弁提携)の罪で在宅起訴されています。

つまり、事件は退職代行会社だけの問題ではなく、紹介を受けて対価を支払った弁護士側にも刑事責任が問われる展開となりました。

2026年4月1日:谷本慎二が代表取締役を辞任

アルバトロスは2026年4月1日付で代表取締役を変更しました。

後任には、浜田優花氏が就任しています。

4月23日の公式発表では、外部専門家の助言を受けながら法令順守と内部管理体制を強化し、モームリの新規受付を再開することが公表されました。

2026年5月26日:東京地裁で初公判

谷本夫妻とアルバトロスの初公判は、2026年5月26日に東京地裁で開かれました。

報道によると、慎二被告と志織被告はいずれも起訴内容を認めました。

検察側は、顧問契約を結んでいた弁護士側の提案を受け、紹介料を労働組合への賛助金などの名目で受け取る仕組みがあったと説明しています。

また、弁護士法人オーシャンの代表弁護士と志織被告との間で、紹介料の名目に関するやり取りがあったことも公判で取り上げられました。

2026年6月5日:検察側が懲役刑を求刑

論告求刑公判で、検察側は次の刑を求めました。

- 谷本慎二被告:懲役2年
- 谷本志織被告:懲役1年6月
- アルバトロス:罰金200万円

検察側は、174人分の紹介を繰り返したことや、紹介料の受け取りを別名目で処理していたことを重視しました。

一方、弁護側は反省や収益の返還などを主張しました。

2026年8月28日:東京地裁が夫婦と法人に有罪判決

2026年8月28日、東京地裁は谷本夫妻とアルバトロスに対して有罪判決を言い渡しました。

この判決によって、事件は逮捕・起訴段階から具体的な刑事責任が判断される段階へ進みました。

【弁護士法違反とは】退職代行モームリ事件で問われた法律の問題

弁護士法72条が禁止する非弁行為

事件の中心となったのは、弁護士法72条です。

同条は、弁護士や弁護士法人ではない者が、報酬を得る目的で法律事務を取り扱ったり、法律事務をあっせんしたりすることを業として行うことを原則として禁止しています。

これが一般にいう「非弁行為」の問題です。

東京弁護士会の非弁護士取締委員会も、退職代行サービスと弁護士法違反について解説しています。

退職の意思を本人に代わって会社へ伝えることと、法律問題について会社と交渉することは、法的に区別しなければなりません。

例えば、次のような行為は注意が必要です。

- 退職したいという本人の意思を会社に伝える。
- 未払い残業代の支払いについて会社と交渉する。
- 有給休暇の取得や退職条件について法律上の交渉を行う。
- 慰謝料や損害賠償の請求について相手方と話し合う。

特に後半のような法律問題を扱う場合、弁護士資格のない事業者が本人に代わって交渉することは、非弁行為に該当する可能性があります。

弁護士を紹介するだけでも問題になるのか

モームリ事件で重要なのは、運営会社が自ら法律交渉を行ったかどうかだけではありません。

弁護士法72条は、報酬目的で法律事務を周旋する行為も規制しています。

つまり、会社が法律問題を抱えた利用者を弁護士につなぎ、その対価として紹介料を受け取る仕組みも問題になります。

東京弁護士会の解説でも、法律問題の処理を他者に有償であっせんする行為について、非弁行為となる可能性が説明されています。

今回の事件では、利用者174人を弁護士2人に紹介し、紹介料を受け取ったことが裁判で認定されました。

そのため、単に「弁護士を紹介しただけ」という説明では済まない問題だったのです。

退職代行サービスそのものが違法になったわけではない

ここは読者が誤解しやすいポイントです。

2026年8月28日の判決後、アルバトロスは公式発表で、今回の判決は紹介料の受領に関するものであり、退職代行モームリのサービスそのものに対する司法判断ではないと説明しました。

つまり、退職代行サービスという事業形態そのものが一律に違法と判断されたわけではありません。

問題となったのは、法律事務に関する有償紹介と、その金銭の受け取り方です。

利用者にとっては、退職の意思を伝えるだけのサービスなのか、法律上の交渉まで担当するのかを見分けることが大切です。

【2026年8月28日の判決内容】谷本夫妻の有罪理由と執行猶予

2026年8月28日判決

東京地裁が言い渡した刑は、次のとおりです。

被告・対象 判決内容 求刑
谷本慎二 懲役2年・執行猶予3年 懲役2年
谷本志織 懲役1年6月・執行猶予3年 懲役1年6月
株式会社アルバトロス 罰金200万円 罰金200万円

174人への紹介が重く評価された

判決では、2023年6月から2025年2月までの約1年8カ月にわたり、退職希望者174人を弁護士2人に紹介したことが認定されました。

東京地裁は、この行為について弁護士制度の公正で円滑な運営に影響を及ぼしかねない大規模かつ職業的な犯行と評価しました。

また、裁判所は、紹介料を得るリスクを認識しながら、利益を優先して法令順守を軽視した点を問題視しました。

一方で、弁護士側から別の名目で処理すれば問題ないと説明されていた事情にも触れ、夫妻だけに責任を帰すことはできないという趣旨の判断も示しています。

ただし、そうした事情があっても、経営者として法令順守を軽視した責任は免れないというのが判決の考え方でした。

なぜ実刑ではなく執行猶予が付いたのか

谷本夫妻には、いずれも執行猶予3年が付いています。

その背景として報じられているのが、紹介料の返還や再発防止に向けた対応、今後は退職代行業務に関与しないという意向などです。

ただし、執行猶予が付いたからといって無罪になったわけではありません。

2人とも有罪判決を受けており、刑事責任が認定されています。

執行猶予は、一定期間、刑の執行を猶予する制度です。判決内容と無罪・有罪の区別を混同しないことが大切です。

弁護士側にも有罪判決が出ている

この事件は、アルバトロスと谷本夫妻だけで完結していません。

紹介を受けた弁護士側も起訴されていました。

2026年6月5日には、弁護士法人オーシャンと代表弁護士の梶田潤被告に対して有罪判決が言い渡され、弁護士側にも責任が認められています。

さらに、2026年10月7日には、弁護士法人みやびと代表弁護士の佐藤秀樹被告にも有罪判決が出ました。

報道によると、佐藤被告には懲役2年・執行猶予3年、弁護士法人みやびには罰金200万円が言い渡されています。

この点からも、モームリ事件は退職代行会社による一方的な問題ではなく、紹介する側と受け入れる側の双方に責任が問われた事件だったことが分かります。

【モームリ社長夫妻の現在】新代表・浜田優花による運営体制

谷本慎二に代わって浜田優花が代表取締役に就任

2026年10月30日時点で、株式会社アルバトロスの代表取締役は浜田優花氏です。

会社の公式発表によると、浜田氏は2026年4月1日付で代表取締役に就任しました。

2026年10月7日には、アルバトロス公式サイトが浜田氏のインタビュー掲載を発表しています。

同社の説明によれば、浜田氏は2024年に入社し、広報担当を経て代表取締役に就任した人物です。

新体制では、外部専門家や弁護士によるリーガルチェック、内部管理体制の強化などが掲げられています。

モームリは2026年10月現在も営業を継続

事件後、モームリのサービスがどうなったのかも気になるところです。

アルバトロスは2026年4月23日に新規受付の再開を発表しました。

さらに、2026年10月20日には累計利用者51,935人分のデータを公開しています。

同社の発表では、2026年9月30日までの利用者データを集計し、営業再開後の約半年間で退職確定件数が2,090件に達したとしています。

これは会社自身が公表した数字ですが、少なくともサービスが終了したわけではなく、新体制のもとで営業を続けていることが確認できます。

谷本夫妻は現在どうしている?

谷本慎二氏と谷本志織氏は、事件当時のようにアルバトロスの経営を担う立場ではありません。

慎二氏は2026年4月1日に代表取締役を辞任しており、会社の公式情報では浜田優花氏が後任として掲載されています。

また、8月28日の判決では、夫妻が今後退職代行業務に関与しないと述べていたことも、執行猶予付き判決の背景として報じられています。

一方、判決後の2人の具体的な勤務先や生活状況、夫婦関係のその後については、会社から詳しい発表はありません。

現時点で確認できる大きな変化は、夫妻から浜田氏へ経営体制が移り、会社が新たな運営方針を掲げていることです。

【モームリ社長の妻】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:退職代行モームリの社長の妻の名前は?

A1:谷本志織被告です。谷本慎二氏の妻で、株式会社アルバトロスの元執行役員・退職支援事業部長として報じられています。

Q2:谷本志織の年齢はいくつ?

A2:2026年2月の逮捕報道では31歳、2026年8月28日の判決報道では32歳とされています。

Q3:谷本夫妻はなぜ有罪判決を受けた?

A3:弁護士資格がないにもかかわらず、退職希望者174人を弁護士2人に有償で紹介し、紹介料を受け取ったことなどが問題となりました。夫には懲役2年・執行猶予3年、妻には懲役1年6月・執行猶予3年が言い渡されています。

Q4:モームリは現在も営業している?

A4:はい。株式会社アルバトロスは2026年4月23日に新規受付を再開しました。現在の代表取締役は浜田優花氏です。

Q5:谷本夫妻は離婚した?

A5:離婚を公表したという確かな情報はありません。夫婦関係の現在について、会社や本人から詳しい公式発表は確認されていません。

まとめ:モームリ社長の妻・谷本志織と事件から学ぶべきこと

退職代行モームリの社長の妻は、元執行役員の谷本志織氏です。

夫の谷本慎二氏とともに株式会社アルバトロスの事業に関与し、弁護士への有償紹介をめぐる弁護士法違反事件で刑事責任を問われました。

事件の重要なポイントを振り返ります。

- 妻の正体: 谷本志織氏。元執行役員・退職支援事業部長。
- 逮捕日: 2026年2月3日。
- 問題となった行為: 退職希望者174人を弁護士2人に有償で紹介。
- 紹介料: 利用者1人当たり1万6500円。
- 判決日: 2026年8月28日。
- 夫の判決: 懲役2年・執行猶予3年。
- 妻の判決: 懲役1年6月・執行猶予3年。
- 会社の判決: 罰金200万円。
- 現在の運営体制: 浜田優花氏が代表取締役を務める新体制。

【プロの結論】事件の本質は退職代行と法律業務の境界線にある

この事件から読み取れる最大の教訓は、退職代行サービスにおいても、利用者を守るための法律上の境界線を曖昧にしてはいけないということです。

退職の意思を伝えることと、未払い賃金や慰謝料などの法律問題を交渉することは別の業務です。さらに、法律事務を扱う弁護士への紹介であっても、報酬目的のあっせんには法的な問題が生じます。

退職代行サービスを利用する側も、料金の安さや知名度だけで判断するのではなく、次の点を確認する必要があります。

1. 誰が会社への連絡を担当するのか。
2. 未払い賃金や有給休暇などの交渉には誰が対応するのか。
3. 弁護士や労働組合との関係が明確に説明されているか。
4. 紹介料や提携関係について不透明な仕組みがないか。
5. 法令順守や個人情報管理の体制が整っているか。

モームリは新体制で営業を継続していますが、過去の有罪判決によって失われた信頼を取り戻すには、継続的な法令順守と透明性のある運営が欠かせません。

谷本夫妻の事件は、退職代行ビジネスの成長だけでなく、サービスを提供する企業の責任と、法律専門職との適切な関係を考えるうえでも重要な事例となっています。

今後は、株式会社アルバトロスの新体制がどこまで内部管理を徹底し、利用者からの信頼を回復できるかが注目されます。