【従三位とは何位?】読み方・位階一覧と16階の序列を解説
従三位の読み方は「じゅさんみ」です。「従」を「じゅう」、「三位」を「さんい」と読むのではなく、歴史的な位階の名称として「じゅさんみ」と読みます。
従三位が何位に当たるのかを理解するには、正一位から従八位までの全体像を把握する必要があります。大正15年(1926年)10月21日に公布された位階令第1条では、位階を16階と定めています。
その序列は、正一位を最上位として、正位と従位を交互に配置する構造です。従三位は上から6番目に位置します。
| 順位 | 位階 | 従三位との関係 |
|---|---|---|
| 1位 | 正一位 | 上位 |
| 2位 | 従一位 | 上位 |
| 3位 | 正二位 | 上位 |
| 4位 | 従二位 | 上位 |
| 5位 | 正三位 | 一つ上の位階 |
| 6位 | 従三位 | 基準となる位階 |
| 7位 | 正四位 | 一つ下の位階 |
| 8位 | 従四位 | 二つ下の位階 |
| 9位 | 正五位 | 下位 |
| 10位 | 従五位 | 下位 |
| 11位 | 正六位 | 下位 |
| 12位 | 従六位 | 下位 |
| 13位 | 正七位 | 下位 |
| 14位 | 従七位 | 下位 |
| 15位 | 正八位 | 下位 |
| 16位 | 従八位 | 最下位 |
ここで注意したいのは、従三位のすぐ下が従四位ではないという点です。間には正四位が入ります。したがって、従三位は正四位より上、従四位よりも上に位置します。
また、現在の位階令には「正四位上」「正四位下」「従四位上」「従四位下」といった区分はありません。これらは古代の律令制における細分化された位階の名称です。歴史上の人物を調べる場合には、時代ごとの制度の違いにも注意が必要です。
【正三位・従三位・従四位の違い】「正」と「従」で何が変わる?

従三位と正三位、従四位の違いは、位階における序列です。同じ三位でも正三位の方が従三位より上位に置かれ、従三位は従四位より上位に位置します。
正三位と従三位の違い
正三位と従三位は、どちらも三位に属する位階ですが、「正」が「従」より上に位置するため、正三位の方が高い序列です。
この正・従という区分は、古代の中国の官制などにも見られる考え方と関係し、日本の律令制度にも取り入れられました。位階における主たる等級と、それに対応する従位を区別する仕組みです。
正三位は従三位より一段上の位階であり、同じ三位であっても完全に同格というわけではありません。
従三位と従四位の違い
従三位と従四位では、まず所属する等級が異なります。従三位は三位、従四位は四位に属します。
古代の朝廷では三位以上が特に高い身分として扱われ、四位・五位の官人とは待遇や政治的な立場にも違いがありました。
従三位以上は公卿層と結び付く重要な位階でしたが、従四位は原則としてその下の階層に属します。ただし、参議などの官職に就いて公卿に含まれる四位の人物も存在したため、位階だけで当時の政治的地位を判断することはできません。
位階は現代の役職や職業と同じではない
従三位を現代の官僚の役職や企業の役職に直接置き換えることはできません。
現代の日本では、国家公務員の職位や企業の役職とは別の栄典制度として存在しています。したがって、従三位だから特定の大臣や官僚と同等の権限を持つという意味ではありません。
歴史上の従三位と、2026年現在の従三位は、同じ名称を使っていても制度上の役割が大きく異なっています。
【従三位の歴史と由来】冠位十二階から位階令まで
従三位の歴史を理解するには、日本の位階制度そのものがどのように発展したかを知る必要があります。
日本の位階制度の起源は、推古天皇11年(603年)に制定された冠位十二階にさかのぼります。聖徳太子が創設したとされるこの制度は、氏族の家柄だけでなく、個人の能力や功績に応じて官人の序列を示そうとしたものです。
603年・冠位十二階の成立
冠位十二階では、官人の地位を冠の色などによって区別しました。大徳・小徳、大仁・小仁など12段階の冠位を設け、朝廷に仕える人々の序列を明確にしました。
その後、制度は何度も改定され、天武天皇14年(685年)には冠位六十階が成立します。さらに、飛鳥浄御原令を経て、701年(大宝元年)の大宝令によって律令制の位階制度が整備されました。
大宝令・養老令によって体系化
大宝令の位階制度では、親王、諸王、諸臣などの身分に応じて異なる位階体系が設けられました。
養老令では、諸臣について正一位から少初位下までの30階を基本とする体系が定められました。特に一位から三位までは正位・従位の2区分、四位から八位までは正位・従位に加えて上下の区分が設けられていました。
この仕組みは、現在の16階の位階制度とは異なります。古代の従三位を調べる場合には、正四位上・従四位下などを含む当時の序列を参照する必要があります。
明治以降の制度改革
明治維新を迎えると、従来の朝廷の官職や身分制度は大きく変化しました。近代国家の行政制度が整備されるなかで、位階も従来の官職との結び付きから、国家への功績を評価する栄典としての性格を強めていきます。
そして、大正15年(1926年)10月21日に位階令が公布され、正一位から従八位までの16階が定められました。
戦後には位階令が改正され、現在の制度へと引き継がれています。内閣府の栄典制度に関する説明では、位階制度の起源を冠位十二階に求め、約1400年の歴史を持つ日本固有の栄典制度として位置付けています。
【公卿と従三位の関係】なぜ三位以上が特別だったのか
従三位という位階を歴史的に理解するうえで欠かせないのが、公卿(くぎょう)との関係です。
公卿とは、古代から中世の朝廷において政治の中枢を担った上級貴族・高官を指す言葉です。太政大臣、左大臣、右大臣、大納言、中納言、参議など、朝廷の重要な政務を担当する人々が含まれました。
三位以上が朝廷の上級層を形成
律令制では、三位以上の官人は「貴」と呼ばれ、四位・五位の官人とは異なる待遇を受けました。
従三位以上は公卿層の中心的な位階であり、朝廷の政治における重要な地位と結び付いていました。
ただし、公卿は単純に従三位以上の人全員を指す言葉ではありません。官職との関係も重要で、後世には四位であっても参議などの官職に就いて公卿に含まれる人物がいました。
位階と官職はどのように結び付いていたのか
古代の朝廷には、官位相当制という仕組みがありました。これは、官職に対応する位階を定め、原則としてその位階に見合った官職に就くという制度です。
つまり、位階は単なる名誉称号ではなく、政治的な職務や朝廷内での待遇とも密接に関係していました。
従三位に昇進することは、単に数字が一つ上がるという意味ではありません。朝廷における政治的な序列や社会的な待遇に関わる、大きな意味を持つ出来事でした。
武士の時代にも位階は重要だった
鎌倉時代から江戸時代にかけても、位階制度は存続しました。ただし、時代が進むにつれて制度の実態は変化しています。
武士が朝廷から官位や位階を受けることもあり、将軍や大名などの地位を示す際にも用いられました。国立国会図書館の2026年1月20日更新の調査案内でも、明治維新まで官職・位階制度が続いた一方、中世から近世にかけて制度の内実が大きく変容したことが説明されています。
そのため、平安時代の公卿が持つ従三位と、江戸時代の武士が受けた従三位を、同じ政治的権限を示すものとして扱うことはできません。
【2026年最新】現代の叙位制度と従三位を授ける仕組み
2026年現在、従三位は現役の官僚や政治家が職務上の階級として使うものではありません。国家や公共に対して功績を残した人物が亡くなった際、その生涯の功績をたたえるための栄典として運用されています。
内閣府の栄典制度に関する説明でも、現在の叙位は、国家・公共への功績があった人の死亡に際して、その功績をたたえ、追悼の意を表するものとされています。
叙位とは何か
叙位(じょい)とは、国が個人に位階を授与することです。
現在の制度では、内閣の助言と承認に基づき、天皇の国事行為として行われる栄典の一つです。勲章を授与する叙勲、特定の善行や業績をたたえる褒章と並ぶ制度ですが、それぞれ目的や審査の仕組みは異なります。
従三位は、この叙位によって授けられる位階の一つです。
従三位の叙位基準は決まっているのか
従三位を授ける際には、故人の生前の功績や社会への貢献などが総合的に考慮されます。
対象となる功績は、国家・公共に関係するものであり、政治、行政、教育、文化、学術、社会活動など、さまざまな分野に及びます。
ただし、特定の職業に就いていたから自動的に従三位になるという仕組みではありません。役職や肩書だけで一律に位階が決まるわけでもなく、功績の内容や規模、生涯にわたる活動などを踏まえて判断されます。
また、叙位と叙勲は別の制度です。2025年の内閣府の地方分権改革に関する公表資料でも、両制度は審査基準が異なり、過去に勲章を受章している人であっても、叙位については別途審査する仕組みであることが示されています。
従三位はどのような人に授けられるのか
従三位は16階の中でも上位に位置する位階です。そのため、国家・公共に対して長年にわたり顕著な功績を残した人物の顕彰という意味合いがあります。
ただし、従三位に該当する人物の職業や経歴を一つの型に当てはめることはできません。学術研究者、教育関係者、行政関係者など、異なる分野の功績が対象になり得ます。
重要なのは、単に著名だったかどうかではなく、国家・公共への貢献がどのような内容で、どの程度評価されるかという点です。
【死後叙位とは?】故人に従三位が授けられるまで
現代の従三位を理解するうえで、特に知っておきたいのが死後叙位です。
死後叙位とは、亡くなった人物に対して、その生前の功績を評価し、位階を授与することを指します。現在の日本では、叙位は基本的に故人を対象として運用されています。
位階令第3条・第4条が定める死後の叙位
位階令には、死亡に関係する叙位について第3条と第4条の規定があります。
第3条では、位階を授けられる対象となる人が死亡した場合、特旨によって死亡の日にさかのぼって位階を追賜することができると定めています。
つまり、生前の功績に対する評価を、死亡日付で授与する仕組みです。
一方、第4条では、故人であっても勲績が顕著な人物に対し、特旨によって位を贈ることができるとしています。
このように、位階令は死亡時の追賜と、すでに故人となっている人物への贈位について規定しています。
叙位の手続きでは何が確認されるのか
叙位の実務では、故人の功績や経歴を確認するための資料が必要です。
2025年に内閣府が公表した地方分権改革に関する資料では、叙位の協議に関係する主な書類として、審査票、功績調書、履歴書、刑罰等調書、除籍抄本などが挙げられています。
これらは、候補者の功績や経歴、審査に必要な事項を確認するための資料です。叙位は単に故人の知名度や社会的な評判によって決まるものではなく、行政上の確認と審査を経て行われます。
叙位の結果は官報で確認できる
叙位の発令は官報に掲載されます。官報は国の法令や公示事項などを国民に知らせるための公的な情報媒体です。
2025年4月1日には官報の電子化が実施され、官報発行サイトに掲載される電子データが正本となりました。2026年現在も、叙位・叙勲に関する発令は官報で確認できます。
特定の人物が従三位を授けられたかどうかを調べる場合は、報道記事だけでなく、官報の叙位に関する公示を確認することが確実です。
【従三位に関するよくある誤解】知っておきたい4つのポイント
誤解1:従三位は現代の政治家の役職である
従三位は現代の政治家や公務員の役職ではありません。現在は国家・公共への功績を評価する栄典として、主に故人に授けられています。
誤解2:従三位は正三位と同じ序列である
正三位と従三位は同じ三位の区分に属しますが、正三位の方が上位です。位階令でも正三位が5番目、従三位が6番目と明確に区別されています。
誤解3:従三位になれば必ず勲章も授与される
叙位と叙勲は別の栄典制度です。位階を授けることと勲章を授与することは同じではなく、それぞれ異なる審査基準があります。
誤解4:従三位は古代から現在まで同じ制度である
名称は受け継がれていますが、制度の内容は時代によって変化しています。古代の30階を基本とする律令制と、現在の16階を定めた位階令は区別して理解する必要があります。
【従三位とは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:従三位の読み方は何ですか?
A1:従三位は「じゅさんみ」と読みます。日本の位階制度における正式な名称です。
Q2:従三位は全部で何位中の何位ですか?
A2:現行の位階令が定める16階のうち、上から6番目です。正三位の下、正四位・従四位より上に位置します。
Q3:従三位と正三位ではどちらが上ですか?
A3:正三位が上です。同じ三位でも、正位は従位より高い序列に置かれています。
Q4:従三位と従四位ではどちらが上ですか?
A4:従三位が上です。両者の間には正四位があります。
Q5:2026年現在、従三位は生きている人にも授与されますか?
A5:現在の制度運用では、国家・公共への功績があった人が亡くなった際に、その生涯の功績をたたえる叙位として行われています。
Q6:従三位と叙勲は同じ意味ですか?
A6:異なります。従三位は位階の名称で、叙位によって授けられます。叙勲は勲章を授与する制度であり、審査基準も異なります。
Q7:従三位に選ばれるための明確な職業や年齢の条件はありますか?
A7:特定の職業や年齢だけで自動的に決まる制度ではありません。国家・公共への功績、経歴などを踏まえた審査によって判断されます。
まとめ:従三位は日本の歴史と現代の栄典をつなぐ重要な位階
従三位は「じゅさんみ」と読み、現行の位階令では正一位から従八位までの16階のうち、上から6番目に位置します。正三位より下であり、正四位・従四位より上に当たる位階です。
その歴史は、603年の冠位十二階に始まる日本の官人序列制度にまでさかのぼります。古代には公卿を中心とする朝廷の上級官人と深い関係があり、政治的な地位や社会的な待遇を示す役割を担っていました。
しかし、明治以降の制度改革と戦後の運用変更を経て、現在の従三位は国家・公共に功績を残した故人を顕彰する栄典として位置付けられています。
2026年現在も位階令に基づく16階の序列は維持されており、叙位の発令は官報で確認できます。
従三位という言葉を見かけたときは、単に「昔の貴族の位」と理解するのではなく、古代の官位制度と現代の栄典制度という二つの側面を区別することが大切です。名称の背後には、日本の政治制度や社会の変化を映し出す長い歴史があります。
【プロの結論】 従三位を正しく理解する最大のポイントは、位階の順位と時代による制度の違いを混同しないことです。現代の従三位は官職の序列ではなく、生涯にわたる公共への貢献をたたえる栄典です。この違いを押さえれば、歴史上の公卿から現代の叙位発表まで、従三位という称号の意味を正確に読み解けます。
参考にした公的・歴史資料:e-Gov法令検索「位階令」、内閣府「日本の勲章・褒章」、国立国会図書館「官職・位階を調べる」、内閣府の地方分権改革に関する公表資料。