【5】神社本庁を離脱した神社一覧!鶴岡八幡宮・金刀比羅宮の理由
神社本庁の問題を考えるうえで、見逃せないのが有名神社による離脱だ。
全国約8万社を包括する組織から、歴史ある神社が離れるという動きは、単なる事務手続きではない。神社本庁の運営方針や宮司人事、包括関係のあり方に対する異議申し立てという側面がある。
神社本庁を離脱した主な神社

これまでに離脱が報じられた主な神社をまとめると、次のとおりだ。
- 日光東照宮(栃木県):1986年
- 気多大社(石川県):2010年
- 富岡八幡宮(東京都):2017年
- 金刀比羅宮(香川県):2020年
- 鶴岡八幡宮(神奈川県):2024年
- 荏柄天神社(神奈川県):2024年
- 白旗神社(神奈川県):2024年
これは代表的な事例であり、過去の離脱神社を網羅した一覧ではない。離脱の背景も神社ごとに異なる。
金刀比羅宮はなぜ神社本庁を離脱した?
2020年11月17日、神社本庁からの正式な離脱を発表した。
背景には、神社本庁との信頼関係をめぐる問題があった。
特に問題となったのが、2019年11月の大嘗祭関連行事だ。
金刀比羅宮側は、神社本庁から届けられるはずだった祭典に関する供え物の幣帛料が、祭典までに届かなかったことなどに不信感を強めたと報じられている。
また、神社本庁の不動産売却問題が発覚した2018年以降、通常の負担金とは別に求められる特別寄贈金を納めることを停止していた。
ただし、幣帛料の取り扱いについては、香川県神社庁側が、ほかの神社と同様の扱いであり、特別な嫌がらせではなかったと説明している。
双方の説明には違いがあり、単純に一方だけの主張で全体を判断できる問題ではない。
金刀比羅宮は2020年10月20日に文部科学大臣から離脱に伴う規則変更の認証を受け、単立の宗教法人として独自に運営する道を選んだ。
鶴岡八幡宮が神社本庁を離脱した理由
源頼朝との関係でも知られ、全国的な知名度を持つ。
2024年3月、鶴岡八幡宮は神社本庁から離脱する方針を明らかにした。同年6月3日には神奈川県が規則変更を認証し、正式な離脱が実現した。
当初、離脱通知には理由が明記されていなかった。
しかし、2024年6月20日に吉田茂穂宮司が記者会見を開き、離脱の背景を説明した。
宮司が問題視したのは、神社本庁の統理という宗教的権威が尊重されず、執行部による独善的な組織運営が続いているという点だった。
会見では、内部から組織の正常化を目指すことを断念したとの趣旨を説明している。
この問題は、百合丘職舎売却問題や総長人事紛争と無関係ではない。鶴岡八幡宮は2022年にも、神社本庁の組織運営の透明化を求める動きに関わっていた。
つまり、離脱は突然の判断ではなく、長期間にわたる組織運営への不信感が背景にあったと理解できる。
一方、神社本庁側は、引き続き法令を順守した法人運営を行うとの立場を示している。
荏柄天神社・白旗神社も離脱
鶴岡八幡宮の離脱と同じ2024年には、鎌倉市の荏柄天神社と白旗神社も神社本庁から離脱した。
この2社は、鶴岡八幡宮の吉田茂穂宮司が兼務していた神社だ。
報道によれば、3社が足並みをそろえて離脱することになった背景には、共通する組織運営上の問題意識があった。
この動きによって、神社本庁と有力神社との関係が改めて注目されることになった。
神社本庁を離脱すると参拝できなくなる?
これはよくある誤解だ。
神社本庁から離脱しても、神社が宗教施設としての活動を停止するわけではない。
離脱した神社は、神社本庁の包括下にある宗教法人から、単立の宗教法人として独立した運営形態に移る。
主に変わるのは次のような部分だ。
- 神社本庁との包括関係がなくなる。
- 宮司や責任役員などの人事を独自に決定できる。
- 本庁の規程に基づく管理・指導の対象から外れる。
- 本庁への負担金など、包括関係に伴う財政上の関係が変わる。
- 神職の資格や研修などについて、本庁の制度との関係を整理する必要がある。
重要なのは、神社そのものの祭神、由緒、地域の氏子との関係まで消滅するわけではないことだ。
鶴岡八幡宮についても、離脱後の参拝や神社運営に影響はないとの説明がなされている。
したがって、神社本庁からの離脱を理由に、参拝を控えたり、御朱印や祈祷を一律に心配したりする必要はない。実際の授与品や祈祷の受付状況は、それぞれの神社の案内に従えばよい。
【6】神社本庁の2026年最新の現状は?評判と実態を検証
2026年10月現在、神社本庁は設立80周年を迎え、全国の神社を包括する組織として活動を続けている。
では、百合丘職舎問題や総長人事紛争を経た現在、何が変わったのだろうか。
2026年現在の田中総長・鷹司統理の体制
2025年6月4日に発足した役員体制では、次の人物が主要な役職を担っている。
- 統理:鷹司尚武氏
- 総長:田中恆清氏
- 副総長:吉川通泰氏
- 常務理事:間島誉史秀氏、小佐野正史氏
2025年の役員改選では、田中氏と吉川氏がそれぞれ総長・副総長に指名された。任期は3年間と発表されている。
2026年の國學院大學関係者向け会報にも同じ主要役職が掲載されており、神社界の活動報道でも田中総長と鷹司統理の在任が確認できる。
神社本庁の2026年の活動
2026年5月11日付の神社新報では、神社本庁設立80周年を記念し、鷹司統理と田中総長による特別対談が掲載された。
また、神社本庁の公式発表では、2026年5月に訪日外国人向けの神社参拝動画を追加している。
さらに、2026年7月28日に発生した熊本地震に関連して、8月4日には田中総長名義の談話を公表。神社本庁が災害対策本部を設置し、地元の神社庁と連携して被害状況の調査を進めると説明した。
神社新報の2026年10月5日付報道では、田中総長が9月20日に熊本県を訪問し、被災した神社の状況を視察したことも伝えられている。
このように、2026年の神社本庁は、組織としての通常業務や災害対応、神社文化の発信を継続している。
ただし、これらの活動実績と、過去の不動産問題や内部統制に対する説明責任は別の問題だ。
神社本庁の評判が悪化した理由は何か
神社本庁に対する批判が強まった背景には、主に4つの要因がある。
第一に、資産管理への疑問だ。
百合丘職舎の売却では、裁判所が売却価格や契約条件、承認過程に不審な点を認めた。全国の神社から集まる資金や組織の財産を、どのような基準で管理するのかという疑問が生じた。
第二に、内部告発への対応だ。
不動産取引に疑問を呈した元職員が懲戒処分を受け、その処分が最高裁まで争われて無効となった。この経緯は、組織内部のチェック機能が適切に働いていたのかという疑問を残した。
第三に、幹部人事の混乱だ。
総長の選任をめぐる紛争は約2年半に及び、最高裁で司法判断が確定するまで組織の意思決定に混乱が生じた。
第四に、有力神社の離脱だ。
金刀比羅宮や鶴岡八幡宮のような知名度の高い神社が離脱したことで、神社本庁の組織運営に対する不信感が広く知られるようになった。
これらが重なった結果、「神社本庁やばい」という検索につながっていると考えられる。
神道政治連盟と神社本庁は同じ組織なのか?
もう一つ、混同されやすいのが政治との関係だ。
神社本庁には、関係団体として神道政治連盟がある。
神社本庁の公式サイトでも、神道政治連盟は神道精神を国政に反映させるための活動を推進する関係団体として紹介されている。
ただし、神社本庁と神道政治連盟は同一の法人ではない。
そのため、神道政治連盟の政治的活動や関係者の発言を、そのまま全国の神社や神社本庁に加盟するすべての神職の総意として扱うことは適切ではない。
【プロの結論】神社本庁の問題は組織の透明性と説明責任にある
一連の問題を整理すると、最も重要なのは、神社本庁の存在そのものを否定することではない。
神社本庁は、戦後の神社界を支えるために設立され、神職の養成、祭祀の振興、全国の神社間の連携などを担ってきた。
その役割には、現在も一定の意義がある。
一方、全国約8万社を包括する組織だからこそ、一般企業以上に財産管理や人事の透明性が問われる。
特に、次の3点は今後の評価を左右する。
1. 資産管理の透明化: 不動産売却や基本財産の処分について、客観的な評価と十分な情報開示が行われるか。
2. 内部告発者の保護: 組織の問題点を指摘した職員や関係者が、不当に排除されない仕組みが整備されるか。
3. 人事・意思決定の透明化: 統理、総長、役員会、評議員会の権限と責任が明確に運用されるか。
これらが改善されなければ、2024年に終結した人事訴訟のような問題が再び発生する可能性を残すことになる。
【神社本庁やばい】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:神社本庁は不祥事を起こした組織なの?
A1:百合丘職舎の不動産売却をめぐり、東京地裁は価格や契約条件、承認過程に不審な点があったと判断した。また、内部告発に関連した元職員2人への懲戒処分は最高裁で無効が確定している。ただし、幹部による背任行為そのものが裁判で確定したわけではない。
Q2:神社本庁を離脱した神社には参拝できないの?
A2:通常どおり参拝できる。神社本庁から離脱しても神社自体がなくなるわけではない。鶴岡八幡宮も離脱による参拝への影響はないと説明している。
Q3:田中恆清総長は2026年現在も総長なの?
A3:はい。2025年6月4日に任期3年で総長に再任され、2026年10月現在も総長として活動していることが確認できる。統理は鷹司尚武氏が務めている。
Q4:金刀比羅宮と鶴岡八幡宮はなぜ離脱したの?
A4:金刀比羅宮は神社本庁との信頼関係や祭典に関する対応への不信感などを理由に2020年に離脱した。鶴岡八幡宮は神社本庁の組織運営や統理の権威の扱いに問題があるとして2024年に離脱した。
Q5:2026年現在、神社本庁の問題はすべて解決したの?
A5:総長人事をめぐる訴訟は2024年に最高裁の判断が確定し、2025年には新しい任期の役員体制が発足した。一方、百合丘職舎問題をめぐる組織の説明責任や、離脱した神社との関係などがすべて解決したと確認できるわけではない。
まとめ:神社本庁は本当にやばいのか?2026年に知っておきたい判断基準
「神社本庁やばい」という検索が増える背景には、百合丘職舎の売却問題、元職員への懲戒処分、総長人事をめぐる紛争、そして有名神社の離脱という具体的な出来事がある。
特に重要なのは、次の3つだ。
- 百合丘職舎売却問題では、裁判所が取引価格や契約手続きに不審な点を認めた。
- 元職員2人への懲戒処分は2022年に最高裁で無効が確定した。
- 総長人事をめぐる訴訟は2024年に終結し、2025年には新たな任期の役員体制が発足した。
2026年現在、神社本庁は設立80周年を迎え、全国の神社を包括する宗教法人として活動を続けている。しかし、組織が活動を継続していることと、過去の問題に対する信頼が回復したことは同じではない。
また、神社本庁から離脱した神社であっても、神社の歴史や信仰、参拝の価値が失われるわけではない。
読者が覚えておきたいのは、神社本庁という包括組織への評価と、個々の神社の信仰・祭祀・参拝を分けて考えることだ。
神社本庁の今後を判断するうえでは、幹部人事の安定だけでなく、資産管理の透明性、内部告発への対応、加盟神社との信頼関係がどこまで改善されるかを見ていく必要がある。
主な資料:裁判所公開の2021年3月18日東京地裁判決、神社本庁公式発表(2024年・2025年・2026年)、文化庁宗教法人関連資料、神社新報、毎日新聞、TBS NEWS DIG、宗教情報リサーチセンター。