【重要な注意点】腎臓病の人はカリウムの摂りすぎに要注意
カリウムは塩分対策に役立つ栄養素ですが、誰もが積極的に増やしてよいわけではありません。特に注意したいのが、慢性腎臓病(CKD)などで腎機能が低下している人です。
腎臓には、血液中の余分なカリウムを尿として排出する働きがあります。しかし、腎機能が低下すると十分に排出できなくなり、血液中のカリウム濃度が高くなる高カリウム血症を引き起こす場合があります。
国立循環器病研究センターは、血液中のカリウムが増えすぎると不整脈や心停止につながる危険性があると説明しています。
腎臓病なら全員がカリウム制限をするべき?

必ずしもそうではありません。慢性腎臓病と診断された人でも、腎機能の程度や血清カリウム値によって食事管理の方法は異なります。
腎臓病の初期段階で血清カリウム値が正常な人と、高カリウム血症がある人では、必要な食事管理が違います。腎臓病という診断名だけで、野菜や果物を一律に避けることは適切ではありません。
カリウム制限の必要性を判断する際には、次のような情報が参考になります。
- 血液検査で確認する血清カリウム値
- eGFRなどから評価する腎機能
- 慢性腎臓病の進行度
- 服用している薬の種類
- これまでの高カリウム血症の有無
- 食事内容や排便状況
日本腎臓学会のCKD関連の食事療法に関する2026年の検討資料でも、カリウム制限は一律に実施するのではなく、血清カリウム値や患者の状態を踏まえて調整する考え方が示されています。
カリウム制限が必要な場合の食品の選び方
医師からカリウム制限を指示されている場合は、バナナ、キウイ、アボカド、ドライフルーツなどを自己判断で増やさないようにしましょう。
また、野菜やいも類は、細かく切って水にさらす、ゆでこぼすなどの調理方法によってカリウムを減らせます。国立循環器病研究センターによると、食品によっては、こうした調理方法でカリウムを調理前の5分の1から2分の1程度まで減らせる場合があります。
ただし、減少量は食品や調理条件によって異なります。必要な制限量も個人差があるため、医師や管理栄養士から具体的な調理方法と摂取量の指導を受けてください。
自己判断でカリウムサプリメントを使わない
食品からカリウムを摂取する場合と、サプリメントなどで高濃度のカリウムを補給する場合では、摂取量や体への影響が異なります。
特に腎機能に不安がある人や、血圧・心臓の治療薬を服用している人は、サプリメントやカリウムを含む減塩調味料を使用する前に医師や薬剤師に相談しましょう。
減塩とカリウム摂取は健康管理の基本ですが、安全性を優先し、検査結果に合わせて食生活を調整することが大切です。
【よくある誤解】塩分を排出する食べ物について知っておきたいこと
水を大量に飲めば塩分は排出される?
水分補給は体の正常な働きを維持するために必要ですが、水を大量に飲めば余分な塩分がすぐに排出されるわけではありません。ナトリウムの排泄は主に腎臓が担っています。
無理に大量の水を飲むと、かえって体調を崩す可能性があります。特に心臓病や腎臓病などで水分制限を受けている人は、医師の指示に従ってください。
塩分を摂りすぎた翌日にバナナを食べれば解消できる?
バナナにはカリウムが含まれていますが、1本食べるだけで前日に摂取した塩分を帳消しにできるわけではありません。
大切なのは、その後の食事で塩分を控え、野菜や果物を適量取り入れることです。特定の食品に頼らず、数日単位、さらに長期的な食習慣として改善していきましょう。
カリウムが多い食品ほど健康によい?
カリウムの含有量が多い食品が、すべての人に最適とは限りません。腎機能が低下している人や高カリウム血症の人には、摂取量の調整が必要な場合があります。
また、アボカドやさつまいものようにエネルギーや炭水化物も含む食品は、食事全体のバランスを考えて取り入れる必要があります。
【塩分を排出する食べ物】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:塩分を排出する食べ物で最もおすすめなのは何ですか?
A1:ほうれん草、ブロッコリー、枝豆、じゃがいも、バナナ、キウイなど、カリウムを含む食品がおすすめです。特に、ほうれん草は生の可食部100g当たり690mgのカリウムを含みます。野菜、果物、いも類を組み合わせて摂取しましょう。
Q2:バナナとキウイではどちらがカリウムを多く含みますか?
A2:文部科学省の食品成分データベースでは、可食部100g当たりバナナは360mg、緑肉種のキウイは300mgです。含有量だけを比較するとバナナのほうが多くなります。ただし、実際の摂取量は果実の大きさによって異なります。
Q3:塩分を摂りすぎたときは何を食べればよいですか?
A3:腎機能に問題がなく、カリウム制限も受けていない場合は、ほうれん草、ブロッコリー、バナナ、キウイ、じゃがいもなどを取り入れる方法があります。同時に、麺類のスープを残す、加工食品を控えるなど、次の食事から減塩を意識しましょう。
まとめ:塩分を排出する食べ物は減塩とカリウム摂取の両立がポイント
塩分対策に役立つ食品として、カリウムを含む野菜、果物、豆類、いも類が挙げられます。ほうれん草、アボカド、枝豆、ブロッコリー、バナナ、キウイなどは、毎日の食事に取り入れやすい食品です。
2026年現在の公的な基準では、成人男性のカリウム摂取目標量は1日3,000mg以上、女性は2,600mg以上です。一方、食塩相当量は男性7.5g未満、女性6.5g未満が目標とされています。
毎日の食生活で意識したいのは、次の3点です。
【プロの結論】健康的な塩分対策の3原則
- 食品選び:野菜、果物、豆類、いも類を組み合わせ、カリウムを食事から適切に摂取する。
- 食事の改善:しょうゆやみその使いすぎを避け、加工食品や麺類のスープなどからの食塩摂取を減らす。
- 健康状態の確認:腎臓病や高カリウム血症がある場合は、自己判断でカリウムを増やさず、医師や管理栄養士に相談する。
特別な食品を大量に食べる必要はありません。朝食にバナナを加える、昼食に野菜の副菜を添える、夕食にほうれん草やブロッコリーを使うなど、小さな工夫を積み重ねることが大切です。
塩分を減らすだけでなく、カリウムを含む食品をバランスよく取り入れる。その両方を続けることが、血圧管理や将来の心血管疾患予防につながる食生活の基本です。
参考にした公的資料・専門機関の情報
本記事の栄養基準、食品成分、食事例、健康上の注意点は、以下の公的資料・専門機関の情報に基づいています。
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」および「e-ヘルスネット」:カリウムの目標量、ナトリウムの働き、摂取状況。
- 文部科学省「食品成分データベース」「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」:野菜、果物、豆類、いも類のカリウム含有量。
- 日本高血圧学会「血圧を下げるための減塩と増カリウムの正しい知識」:ナトカリ比、食事例、減塩の実践方法。
- 国立循環器病研究センター「食事療法について」:腎機能低下時のカリウム管理と調理方法。
- 日本腎臓学会「CKD診療における食事療法に関する検討資料(2026年)」:腎臓病患者のカリウム摂取管理。